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人気の無い館の庭に置かれた白いベンチに腰を下ろし、ロベルトが「楽しみにしてるよ」と一言声をかける。ヴァイオリンの弦を確かめていた征一郎が不敵に笑うと背を伸ばし、立ち上がった。
「この曲は人前では滅多に演奏しねぇから、有り難く思え」
どうせここは現実の世界ではない。夢にも似た淡い別世界なのだから『本気』で演奏しても問題ないだろう。長い指で弦を押さえ、弓を引く。柔らかな音が紡がれ、緩やかに旋律を繋いで行く。曲は次第に激しくなり、ヴァイオリンをよく知らないロベルトから見ても難しいと分かる曲を持ち前の技術力でカバーしていく。難易度が高く、表現が難しい曲を、絶対的な自信と天性の才能で奏でる。狂騒的で、透明感のある尖った綺麗な音は、聴く者を魅了する。
自称するだけあって、征一郎の才能は本物だった。素晴らしいと、素直に思う。普段の自信溢れる言動も、これだけの力があるなら頷ける。それに比べて自分は……。緩やかに綻びそうになる嫉妬の花を、意識的に押さえ込む。才能ある人間だって、努力はしている。天賦の際に胡坐をかいているだけの人間は落ちていくと知っている。だから無闇に妬んだり、責めたりしてはいけない。才能があり、幼い頃から期待をかけられている人間は、凡人以上の努力で期待に応えようとしている。そんな事は知っている、分かっている。それでも、才能を渇望する心は黒い嫉妬の炎に焼かれてしまう。それはとても弱い事で、乗り越えなければならない事だと分かっている。けれど乗り越えるべき壁はとても高くて……。
征一郎がヴァイオリンを弾くたび、聴衆は歓声を上げていた。華やかな声は心地良く、気分が高揚していく。音色はより透明に鋭く尖り、世界に音を突き立てていく。
“この”世界の支配者は、僕だ ――
世界の全ての音を統べるかのような興奮により一層力をこめた時、プツリと音を立てて弦が切れた。世界から音が消失し、自分の鼓動だけが五月蝿いほど正確なリズムを刻み、背中に冷たい汗が滑り落ちる。目を向ければロベルトが驚いたような顔で耳に手を当て、呆然と宙を見つめている。ここでなら、最後まで曲が弾けると思った。けれどこの世界でも、征一郎の音は途切れた。血の気が引くような感覚に、ふらつく足を何とか前に進め、ロベルトに駆け寄る。ロベルトの茶色い瞳が征一郎を見上げ、その瞳の中に、無意識的に嫌悪の感情を探してしまう。嫌われたくないと瞬間的に思い、自分のした事を考えて自嘲する。散々嫌われるような言動をとっておいて、嫌わないで欲しいなんて、今更言えるわけがない。
ツンと服の裾が引っ張られ、征一郎は恐る恐るロベルトに目を向けた。
『顔色が悪いけど、大丈夫?』
クセのある字で書かれた言葉に、心配そうな表情は、少しも征一郎を責めていなかった。
『素晴らしい演奏だったよ。だから、最後まで聞けないことをとても残念に思う』
お前は……と、聞こえない事を忘れて喋りだし、征一郎は唇を噛むとロベルトの手から紙とペンを取った。
『怒ってないのか?』
『怒るわけない。聞きたいって言ったのは僕だ』
『でも』
征一郎が書いている途中で、ロベルトが紙とペンを取る。
『嫌じゃなかったら、また聞かせて』
逃れたかった、罪の意識から。逃げたかった、過去の呪縛から。辞めようと思った、そうすれば、誰も傷付けないで済むから。でも、手放せなかった。ヴァイオリンが、好きだから。これしかないから。嫌われたくないから、自分から嫌われて、誰も傷付けたくないからわざと遠ざけて、寂しいのに平気なふりをして孤独になって。好きなら、向き合わなければいけない。嫌われたくないなら、努力しなければいけない。分かっているのに、逃げてばかりで……。
不意に視界に入ってきた人物に、征一郎は目を見開くと立ち上がった。寝子島クラシック同好会の後輩の春哉と望春が、心配そうな顔で征一郎とロベルトの顔を見ている。何かを言っているようだが、声が聞こえないため分からない。ロベルトが耳が聞こえない事を簡単に書いて説明し、春哉が何度かペンを握る。望春に何かを告げ、急に手を握られて驚く。咄嗟に振り解こうとするが、春哉の握る力は強かった。
『手を繋いでると、少しは不安が和らぐと思うんです』
音が聞こえないと、不安になりますからね。と春哉が呟き、聞こえない事を思い出してペンを握るが、征一郎がそっと制する。書かなくとも、何を言っているのかは分かった。空いた片方の手に何かが乗せられ、見れば雑貨屋で見ていたオルゴールがあった。
『気にしてたみたいだから持ってきたんだけど、余計なお世話だったらごめん』
申し訳なさそうな顔をするロベルトに、征一郎がポケットの中から同じデザインのオルゴールを出して押し付ける。
『さっき弾いた曲のオルゴールだ』
『これ、自分に?』
顔を見ずに頷く。ロベルトが考え込みながら言葉を書き、不安そうな顔で征一郎を見上げる。
『デザイン同じだし、お揃いになっちゃうけど』
『構わない』
征一郎の書いた四文字は乱雑だったが、口元はかすかに微笑んでいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
30人
参加キャラクター数
31人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年04月05日
参加申し込みの期限
2014年04月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年04月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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