何となく、誰かに呼ばれたような気がした。
けれどそれは多分、気のせいだった。
それでも心の奥深く、人恋しい寂しさが疼いて、読んでいた本から顔を上げると、窓から吹き込む風を胸いっぱいに吸い込んだ。
夏の風は緑の匂いがして、空は青く澄んでいる。土曜日の昼下がりにずっと部屋にいるのが勿体無い気がして、そっと家を抜け出した。
行き先があるわけではなかった。ただ何となく、気のむくまま歩いていると、知らない道に出た。
霧がかったような空気はヒンヤリと冷たく、ボンヤリと浮かぶ景色は見慣れないものだった。
静まり返った街に人の気配はほとんどない。道沿いに立ち並ぶお店にも人影はなく、大きな道路にも関わらず車の往来はない。
喫茶店と雑貨屋の間の小さな空き地に、木の看板が立っていた。漢字を指先でなぞりながら、下に書かれたローマ字を声に出す。
「えんのげんろ?」
縁の幻路。聞いたことのない通りの名前に、思わず首を傾げる。
ローマ字の下には更に、15:00~18:00と書かれている。腕時計に目を向ければ、現在は15時を少し過ぎた辺りだった。
18時を過ぎれば、元の場所に帰れるのだろうか? 微かな不安を抱えながらも、真っ直ぐに伸びる大通りを歩き出した。
普段なかなか接点のない方と縁を結んだり、友達との絆を深めたり、不思議な世界でのんびりとした一時をお過ごし下さい。
何となく誰かに会いたくて、ただそれだけの感情があれば縁の幻路に来る事が出来ます。
縁の幻路
ボンヤリとした霧がかかった真っ直ぐな一本道です。どこまでも道が続いており、道の終わりはありません。
大通りの脇には細道がいくつもあり、迷路状になっているため一度入り込むと迷ってしまいますが、細道は必ず大通りに繋がっています。
300mくらい先までは見えますが、それ以上は霧が濃くなっていてよく見えません。
大通りの両側にはお店が立ち並んでいますが、店員の姿はありません。
細道にはお店はなく、住宅が並んでいますが、全ての扉には鍵がかかっており、人の気配もありません。
看板にあるとおり、18:00を過ぎれば自動的に元の世界に戻って来れます。入り込んだ場所からズレた場所に戻ってくる場合もあります。
戻ってきた時、縁の幻路内のお店で入手したものは手元に残ります。
大通りにあるお店
喫茶店:珈琲豆や紅茶の茶葉、軽食の材料が豊富にあり、キッチンには「ご自由にどうぞ」と書かれた紙が置いてあります
雑貨屋:可愛い小物が所狭しと並んでおり、レジには「一人一つまで」と書かれた紙が貼ってあります。二つ以上持って外に出ようとすると、ドアが閉まって出られなくなります
駄菓子屋:懐かしさを感じるお菓子が並べられており「ご自由にどうぞ」と書かれた紙が店の前に貼ってあります
お店以外の施設
公園:砂場と滑り台、ブランコが二台と二人がけのベンチがあるだけの小さな公園です
遊園地:小さな観覧車とホラーハウス、速度の遅いジェットコースターがあります。係員はいませんが、乗り物自体は動いています
図書館:膨大な量の本が、見上げるほど高い本棚に納められています。本棚の数も多く、迷路のように配置されています
その他、お店や施設の希望がありましたらアクションにお書き下さい。
お友達と一緒に縁の幻路の中を探索したい方はGAでお願いします。
今回のシナリオでは、アドリブSAの方は交友関係のない方とも絡む可能性があります。
交友関係のある方とだけ絡みたいという場合はBCをお勧めします。
沢山の方と交流したいと言う場合は、是非コメントページをご活用下さい。
NPCが縁の幻路中に迷い込む事はありませんが、NPCの事を話すなど、名前のみでしたら出すことが出来ます。