はじめてのおさぼり？｜リアクション

はじめてのおさぼり？

「……おおおおかしいのだ校舎閉まってるのだ締め出されたのだ！？　開けてくれなのだ～、遅れて悪かったのだ反省してるのだ～！！」
　檻の中の囚人よろしく、鉄格子を掴んでガタガタ揺すって真央は懇願した。
　しかし休日の校庭には人影はなく、誰もお願いを聞いてくれない。

　真央は頭を切り替えた。さっきまで床に転がって、ダダをこねていた幼児の様に、スタスタ歩き出す。
「フッ、こんなこともあろうかと抜け道探して正解だったのだ」
　敷地を、ぐるりと一周。
　真央は裏手から、学校への侵入を成功させた。

「うまくいったのだこのまま教室まで……？」
　廊下をひた走る真央の脇を、一陣の風が過ぎる。

　クマの縫いぐるみを小脇に抱えた長身の男子生徒、鈴木修一郎だ。
「フハハハハハ！　こんなに探しているのに、何故誰もおらんのだっ！！」
「ファッ！！！？　なななな何があったのだ！！！」
　体のギアを上げて、真央は髪をオールバックにした眼光鋭い修一郎に並ぶ。
　同時にコーナーリングに差し掛かると、直角に走り抜けた。
「落ち着くのだ真央ちゃんもここにいるのだ何があったのだ！」
「普段より早く登校してみたのだが、一向に誰も来ないのだ！　これは一体何事だ？　まさか皆、病で伏せっているのでは……いや、事故か何かに巻き込まれている可能性すら、あるではないかッ！」

　ききーっ！

「事故なのだ！？　もしやまた神魂絡みの事件なのだそれは一大事なのださっき会った皆はその事きっと知らないと思うのだこうしちゃいられないのだ報せに行くのだー！！」

　たーん、どどどど！

「ぐぬぬ、考えたら心配でたまらなくなってきた。よかろう！　待っているがいい、我が友たちよ！　この私が今、救出に向かおう！　授業どころではない、学校を飛び出すぞ！」

　こうして、忙しく情報交換（？）した二人は、銘々好きな方角へ飛び出して行くのだった。