はじめてのおさぼり？｜リアクション

はじめてのおさぼり？

●うっかりの反対の、そのまた反対なのだ！

「あああああああああああああああああああ！！　真央ちゃんまたやらかしちゃったのだぁぁああああ！！？」
　泣いた、笑った、コケた。

　ずどどどどどん！

　何かが転がり落ちる音が、絶叫と共に築６０年の寮に響き渡った。
　慌てて穿いた制服のスカートを足に引っかけて、後木真央は階段から転げ落ちた。
　大丈夫、スカートの下は七分丈黒パンツ。猫柄プリントのおぱんつ、もしくは褌は見えてないよ、セフセフ。
　頭は辛うじて、背負った赤猫リュックがクッションになって、ダメージを受けずに済んだ。

　ごろごろ転がったまま薄っぺらい壁にぶつかって、その勢いでどばぁっ！　っと垂直に跳ね起きる。

　点々と脱ぎ散らかした服も、そのままに。
　興奮した猫みたいに瞳孔を全開にして、真央は学校へ走った。

　さて。良い子の皆さんに、ここまでの経緯を説明せねばなるまい。

　何度も繰り返している通り、本日は学校はテスト休みなのである。
　だから真央もそのつもりで、の～んびりアイスを舐めながら猫ウォッチングなどしていたのだ。
　そんな時に、制服姿のののこ一行と出くわした。

「ののこちゃーん！　あおいちゃーん！」
「あ、真央ちゃん！」
「夏朝ちゃんに、円ちゃんに、瑠奈ちゃん、他の皆もオハヨーなのだ♪　皆で制服でどこへ行くのだ？」

　無邪気な真央の問い掛けに、一行が固まる。
「え、えーとぉ……今日だけ、ちょっと自分にご褒美なんて、どうかなぁって？」
「自分にご褒美、なのだ？」
　歯切れの悪い夢宮瑠奈に、アイスを舐めるのをやめて、真央はパチパチ瞬きをした。
「今日だけっ！　おねがーい、私たちが学校サボってるって、見過ごして真央ちゃん！」
　ののこが拝み倒した。
「学校、サボ、り……？」
　真央の手から、アイスがボトリと滑り落ちた。（スタッフが美味しく頂きました）

「マジなのだっ！？　真央ちゃん今日お休みだと思っていたのだこれ以上サボると学校生活大ピンチなのだすぐ戻るのだ～！」

　どぴゅーん！

「待って、後木さん……！」
　恵御納夏朝が事情を説明しようと追いかけたものの、陸上部の脚力には敵わず、真央の姿はあっという間に見えなくなっていた。

「行っちゃった……」

このページにイラストを設定する