おうちに帰る前に｜リアクション

おうちに帰る前に

　電車に揺られながら、今日のことを思い出す。
　ただの帰り道なのに、けっこういろんなことあったわね、と黒依アリーセは小さく笑う。
（なんだか、いい詞が書けそう）
　家に着くまでまだ時間はある。彼女は電車に揺られながら、膝のメモ帳にペンを走らせた。

　帰り道に出逢う　アナタは短い挨拶だけ
　最初の一言　迷う間に　遠くなった背中
　長い影の指先で　肩を叩いて呼び止める　
　振り返る？　そんな訳無い

　帰り道に想う　揺れる電車といつもの景色
　明日も逢える　誤魔化した　自分の心を
　車窓越しの夕日　空と海を紅く染める
　眩しくて？　涙零れる

　帰り道に揺れて　心を巡る言の葉記す
　大好きの気持ち　記す筆　途切れず踊る
　メモ帳に並ぶ　正直な想い達
　恥ずかしくて　言葉に出来ない

　そんな、何の変哲もないある日の帰り道から数日経った日。
　
　八神修の家に後木真央からのプレゼントが届いた。
　中身は彼がほしがったマカロンのクッションと、前から買おうと思っていた医学書だった。マカロンはともかく医学書なんてどこで見つけてきたのか。無邪気そうにみえるがさすが新聞部員、親友のリサーチ力はあなどれない。
「ん……これは？」
　そしてもうひとつはいっていたのは、ブックカバーだった。
　表紙の部分には、見慣れた猫のアップリケがついている。どうやら手作りなのだろう。
（真央……ありがとうな、大切に使わせてもらう）
　ここまで思ってくれる親友がいるという幸せ。
　母に報告したい、と八神はふいにそう思った。
　天国の母はきっと喜んでくれるだろう――

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あとがき

担当マスター：花村翠
ファンレターはマスターページから！

こんにちは、花村です。

約１年ぶりのシナリオとなりました。
相変わらずみなさんのアクションがとても面白く素敵で、
とてもワクワクしながら書かせていただきました！

帰り道シナリオ、実は以前に一度出したことがあったのですが、
前回も今回もたくさんの方にご参加いただけてとても嬉しいです。
放課後っていうのは、友達との寄り道や部活、委員会、意味もなく学校に残ってだべるとき……
などなど、けっこう学生時代の思い出として残る時間帯ですね。
そして社会人の方にとっては待ち望んだアフター５！

このたびは、ご参加誠にありがとうございました。
またご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。

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