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親父の気まぐれ鯛焼き ロシアンルーレット風味~潮風を添えて~
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【フツウの鯛焼き】
「うーん……」
『後から餡子を包む方式』という画期的な案を、さっそく板谷へ提案してみたところ。当の店主は、いまひとつ渋い顔だ。
まあまあまあ、と板谷を促して実際に試してみると、
「……包んだ時点で、味が変わってしまうんですねー」
「む、しかし包むのをおじさん以外がやれば、どうやら変わらんようじゃの」
薄野 五月
が頬張った鯛焼きは、出汁のきいたおでん味。彼が鯛焼きを完成させた時点を境にして、味が変化するらしい。
試しにその工程を
立井 駒鳥
が代わってみると、普通の餡子味のままに鯛焼きが出来上がるのだが、
「鯛焼きを焼くってのは、生地を焼いて餡を包み込む、そうしてはじめて完成と言えるわけで……」
板谷にしてみれば、そこを人任せにするのは、どうにもしっくり来ないらしい。
呉井 陽太
もうなずき、
「『感情』が条件なら、おじさんの気の乗らないようなことは、しないほうが良いかも知れないねぃ」
「……そういえば。さっきも……」
陽太の斜め後ろに立つ
榊 彩斗
は、先ほど自身のろっこんで見た光景……それほどに遠くない過去ではあったが、そこでの板谷はいずれも沈み込んでいて、悲しそうな苦しそうな、そんな表情を終始浮かべていたと語った。
そもそも今回の異変は、板谷が新作メニューでも開発するかと考えたところに端を発しているのだ。本来の工程からこれ以上外れてしまうのは、確かに板谷のろっこんへ、良い影響は与えないかもしれない。
「タイ焼き屋さんの……気分が良くなれば……」
と、彩斗は言うものの。
先ほど少しばかり持ち直したのはどこへやら、糸口を掴みつつも肝心のところが見えてこないことに、板谷はがっくり。もはや絶望的なまでの表情を浮かべる彼の気分を高揚させるのは、ひどく難しいことのように思われた。
うーん……と考え込む一同。
「それなら……良いものがあるよ?」
「……恵御納さん?」
五月が振り向くと、そこに立っていたのは、
恵御納 夏朝
だ。その左手には、いつもの猫さんパペット。そして右手には、愛用のスマートフォン。
その、画面に映されているもの。
「おじいさん。これ、見てみて……? きっと、気に入ってもらえると思うから」
「あん……? なんだい、お嬢さん」
それを、憮然としている板谷の眼前へ向けて、掲げて見せると……。
「……おおっ! こいつはまた、可愛らしい猫じゃねえか」
なんとまぁ。ぱあっ、と、板谷の顔が輝いた。それはもう、文字通りに光り輝いてしまいそうなほどに、実にイイ笑顔であった。
夏朝が彼に見せたのは、彼女の誇る秘蔵の猫写真ファイルの中から選び出した、とびきりの一枚だったのだ。
「あっ、親父さん、その笑顔です! そのまま、鯛焼きを焼いてみてくださいー」
「え? お、おお、そうだったね。いやぁお嬢さん、良いものを見せてもらって……え、写真はまだまだたくさんある? そりゃあぜひ、お目にかかりたいもんだねぇ……!」
五月に促され、思わず手を止めていた板谷は、ほくほくとした顔で作業を再開する。
寝子島は、たくさんの猫が暮らす島。そこへ古くから住み着いているお年寄りなどには、無論、無類の猫好きも多かったりするわけで。
板谷もその例には漏れなかったらしく、夏朝のとっておき猫写真の威力にもう、デレデレである。
かくして焼き上がった、
椿 美咲紀
の夏野菜をふんだんに投入した三つの鯛焼きは、
剣崎 灯子
、
ティナ・フォルトゥス
、
橘 明里
の元へ。
灯子とティナは明里を心配しつつも、これが実に10個目、頑として自分で食べ切る! という決意も固い彼女と共に……三人同時に、ぱくり。もぐもぐもぐ。
固唾を飲んで見守る人々の前で……瞬間。かっ! と、三人の目が見開かれると、がたんと立ち上がり。
そして、口々に叫んだ。
「う……うまーい!!」
「ふ、普通だわ。普通のたい焼きだわ……!」
「オイシイのーっ!!」
いまひとつな鯛焼きに味覚を蹂躙され続けた三人。彼女たちに今、まばゆいばかりの笑顔が戻ってきた。
それは何と、板谷が55年こだわり続け、そして愛され続けた、変わらない逸品。
普通の、餡子味の餡子の……まさに、これぞ鯛焼き! という代物であったのだ。
「……うん? しかしさっき入れとったのは、椿の野菜じゃったような……」
とまぁ、駒鳥は一瞬首を捻ったものの。
「しかし、ま、いいかの? おじさんが元気になれば、それで何よりじゃからな」
「そーそー立井さん、細かいことは気にしないのですよ!」
駒鳥と美咲紀は、朗らかに笑い。
小躍りしそうなほどに喜ぶ板谷を、夏朝は、微笑ましく眺めた。
つまるところ、纏めるとこうである。
板谷の授かったろっこんとは、彼が『鯛焼きと認識したもの』に対して、それを『彼自身が完成させた時』に、『ランダムに中身の味を変化させる』もの。
ランダムにと言いつつも、地道な統計調査の結果、そこにはある程度の規則性を見出すことができた。板谷の『感情の変化』によって、その味の振れ幅には、明らかな偏りが見受けられたのだ。
板谷の感情が、喜や楽などの正の方向へ近づくにつれ、誰しもが美味しいと思えるようなもの、甘味など鯛焼きの具材としても近い味に変化する確率が高くなる。
逆に、怒や哀などの負の感情が高まるにつれ、鯛焼きとしてふさわしい具材からは遠のき、万人受けしない味、人によっては受け付けないシロモノが出来上がる可能性が高くなる。
「感情やコンディションによって味が変わるのは、神魂がなくとも良くあることだ。味をみれば、料理人の不調というのは直感で解ってしまうもの……『シェフの気まぐれ』というやつだな」
「お、それいただきだぜ!」
旅鴉 月詠
の発した言葉を
握 利平
が拾い、唐突にろっこん名も付けられた。
もれいび、板谷 喜三也。ろっこん名は、『シェフの気まぐれ』。である。
月詠は続ける。
「苦節55年、今までに作ってきた鯛焼きの味を、あたりまえのものだと思ってしまってはいなかっただろうか? 常に意識しながら作っていただろうか? 長く続けていれば、時には当然のことを見失ってしまうこともあるだろう。そんな時に、新しい味の開発に乗り出したことで、本来の鯛焼きの味にかすかな変化が生じた。このろっこんは、本来なら気づかないほどに小さなその変化を、過大にさせるものなのだろう」
「ええと……それでつまり、私はこのろっこんとやらを、どうしたらいいんで?」
板谷は首を傾げる。無理も無い、ついこの前まで、そんなものとはついぞお目にかかったことも無かったのだから。
発動の条件が分かった上で、問題も残されている。板谷の調子の良いときは、誰が食べても美味しい鯛焼きが焼きあがる確率も高まるが、いかんともしがたい強烈な味が出来上がる確率もゼロでは無い。その逆、調子の悪い時もまた然り、である。
ある程度のコントロールは可能と分かったものの、それは現時点では決して完全では無く、これではとても、客に『普通の鯛焼き』を提供することはできない。
「確かにこいつは、このろっこんちゅうのは、面白いもんです。しかし、私ゃ……」
「……ミステリー鯛焼きだッ!!」
利平が板谷の肩をぽむっとやりながら、叫んだ。びくりとする板谷をよそに、拳を握り締めつつ、彼は力説する。
「夏と言えばミステリーっ! ミステリーと言えば、そう! 鯛焼きだっ! 食べるまで何味か分からないミステリー鯛焼きで、この夏、勝負を賭けようぜ! おやっさん!」
「い、いやしかし、私ゃ」
「そうなのだおっちゃんやめちゃダメなのだ!」
ぐぐいと身を乗り出し、
後木 真央
も畳み掛ける。
「おっちゃんの熱意が通じてこんなろっこんを授かっちゃったんだと思うのだ。神さまの愛は理不尽だけどでもおっちゃんの鯛焼きが神さまに愛されたってことなのだ、だから辞めないでほしいのだ! 『味はヒミツのロシアンルーレット』で売り出そうなのだ~!」
板谷が改めて、周囲を見回してみれば。そこには、エネルギッシュなパワーに満ち溢れた若人たちが、真摯な表情で彼を見つめ、うなずいている。
板谷はもともと、ネガティブに物を考えてしまうタチなのだろう。今回の異変が起こったとき、真っ先に彼が考えたのは店を畳むことであり、湧き上がるのは諦めの念だった……利平も、真央も、こんなにも前向きで明るく、力強いというのに。
板谷は、自分の手を眺める。実に55年間もの間、ひたすらに鯛焼きを焼き続けてきた、皺だらけの手。
そうだ。ここで諦めてしまっては、こいつは単なる、しょぼくれたジジイのみすぼらしい手ではないか。その皺だらけの手は、かつては職人としての自分の証であり、誇りでもあったはずなのに。
「…………やれやれ。俺も歳を取ったモンだ。若いヤツらにゃかなわねえ」
自嘲の笑みを浮かべる彼の顔には、深く年輪のような皺が刻まれてはいたが。
「しかし、俺にも、鯛焼き屋のプライドってえモンがある。このまま引き下がったんじゃあ、負け犬だ。こいつは神サンがくれた思し召しで、そして試練でもあるんでしょう……そいつに挑んでみるってのも、考えてみりゃあ面白い」
板谷がろっこんの扱いを習熟し、レベルアップしていけば、いつかは完璧なコントロールが利くようになるのかもしれない……いささか気の長い話ではあったが、いずれはそんな域へと至ることだって、できるかもしれない。
それまで、この若い連中がやってみせたように、自分も必死に足掻いてみる……そんなのも、きっと悪くは無い。
板谷は、そう思ったのだ。
「分かったよ、坊ちゃん嬢ちゃん。この板谷 喜三也、鯛焼き一筋55年の矜持に賭けて、やってのけて見せましょう!」
この時、店先に湧き上がった拍手や大声援、そして気勢を上げる板谷の姿は、ねこったーや口コミなどによって大きな広がりを見せ、以降も店は繁盛したという。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年05月11日
参加申し込みの期限
2014年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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