逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！｜リアクション

逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！

「はぁ……とりあえずはこれで良いか」
　男子トイレの個室で八神修は深くため息をついた。
「みゃあ、みゃーあ」
　バスケットから子猫のパトラが困ったようにみゃあみゃあ鳴き声を上げて、八神を見上げる。
「ごめんごめん、お待たせ。パトラも、変だって分かるんだな」
　医薬品売り場で調達した包帯を胸に巻きつけサラシ代わりにした八神。さすがの頭脳派である。
　やさしくパトラの耳の間を撫でてやる。
「解決方法を見つけるから、それまで我慢してくれるかい？」
　子猫にはありえない大きな胸の膨らみが気になるのか、パトラはずっと不機嫌だ。
「ふみゃ……」
　言い聞かせる八神の声に、しぶしぶ返事をすると、バスケットの中で小さく丸まる。が、いつもと違う身体のせいか、どこか落ちつかな気だ。
「とはいえ……どうしたものかな」
　脱いでいたシャツを羽織り、ボタンを嵌めながら八神が首をかしげる。
　ねこったーは桃色な叫びが木霊し、軽い炎上騒ぎになっていて、とてもじゃないがまともな情報を拾えそうも無い。
「よし……これなら、触られなければバレないだろう」
　巨乳への変化でなくて良かった、とちっぱいに変化してしまった胸元を確かめるように押さえる。
「パトラ、とりあえず買い物を済ませながら情報を集める。いい子にしてくれるかい？」
　バスケットの中から小さな返事が聞こえる。八神は目を細めると男子トイレを後にした。

「これは……」
　パトラと一緒にペットコーナーにやってきた八神はきょとん、と目を見開いた。
　ペットふれあいコーナーにいる動物たちが、皆おろおろと動き回り、しょんぼりした鳴き声を上げていた。
「もしかして、ここにいる動物たちも……あ、パトラ？」
　バスケットからパトラがぴょんっと飛び出し、ふれあいコーナーにいた子猫に近寄る。
「うみゃー……うみゃうみゅー」
　しょんぼりと俯く子猫はどこか人間臭い。
「みゃー、うみゃみゃ、みゃーにゃ……」
　パトラがまるで慰めるように小さな前足で子猫をたしたしと叩けば、まるで友人の肩を叩いて励ましている人のようだ。
　愛らしい光景に八神も目を細める。
　鼻先を近づけて匂いを嗅ぎあい、触れ合って挨拶をすると、二匹の猫がぎゅっとくっついた。
「まぁ、子猫ちゃん達が……可愛いわねぇ」
「うふふふ、まるで、ハグしてるみたいね」
　じゃれ合う様子を見た奥様方がうふふおほほと微笑み会う。
（このご婦人方は、被害にあっていないのか……となると……）
　考え込んだ八神の足元にパトラが駆け寄ってきた。
「みゃあ！」
　ご機嫌な声で鳴き八神の脚にすりよってくる。
「パトラ？　どうしたんだい？」
　屈んでパトラを抱き上げると、八神は目を丸くした。
「……パトラ、どうやって戻ったんだい？」
　パトラの大きすぎる胸元は元通りのちっぱいに戻っている。
「みゃうっ！」
　くい、とパトラが首をめぐらす先には……。
「あらあら、みんな仲が良いのねぇ」
　雄雌を問わず、くんずほぐれつまるでハグをするようにじゃれ合う動物達の姿があった。
「これは……」
　パトラをバスケットに戻すと、八神がその様子を真剣に見つめる。
　その目はするどく光り、彼の優秀な頭脳がフル回転し始めたことを告げていた。