逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！｜リアクション

逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！

・ようこそ！大騒動の屋上へ！

　男性陣が興奮の雄たけびを上げるのも無理は無い。
「やー、なんでぇー？」
「んっ、苦しい……」
　黄色い悲鳴や悩ましげな声がもはや何サラウンドなのかよくわからないほどあちこちから響いてくる。
　そしてここは屋上新作水着特設会場。
　目に嬉しいキュートだったりセクシーだったりする水着が沢山。
　胸元を押さえたり、揉んじゃったりしている女性がいっぱい。
　これでハッスルするな、という方が無理がある。
　が、人々は天国にダイブすることは叶わなかった。

「……むないたが、まないた……」
　男性用試着室で、七峯亨は現実に打ちのめされていた。
「い、いや、筋肉が減っただけだ！　まさかそんなっ」
　パーカーを羽織り、黒地にファイアペイントが施されたパンツスタイルの水着を合わせてみる。
　ボタンを明けたシャツからシルバーのネックレスが覗き、トレードマークのサングラスととても似合っている、が。
「決……まらねぇ……！」
　大柄で男くさい容貌の七峯だが、その体の一部だけが妙に女性的だ。そのせいで、普段なら文句なしに七峯の容姿を引き立てるであろう衣服が完全に浮いていた。
　ぽすっ、と思わず問題の体――胸――に触ってみる。
　硬くは無い。だが、膨らみを感じるほどではない。しかし、平らでは絶対にない。
　消失した筋肉の盛り上がりとほぼ同等程度だろうか、手のひらにふにゃりと吸い付く胸は、そうちっぱい！

「仕方ない、選ぶのは諦めよう……また来れっかな」
　ため息をつき、試着室を出て、水着を戻す。
　とんだ厄日だ、とはならない！
　そう、試着室を一歩でればそこは、おろおろしたり、興奮したり、様々な反応を見せる女性達（含む男性）が一杯いるのだ！
　これでハッスルするな、という方が無理だろう。（大事なことなので二回言いました）
「せっかくなら、この水着Girlsの天国、じっくり堪能してから帰るぜ！」
　きらり、と七峯の瞳が光る。
「特　等　席　で、な！」
　そう、この男は残念ながら、桃色破廉恥小隊、通称ＰＥＣの隊員なのであった。

　PECといえば……。
「ヌォォ！？　俺の細マッチョボディにたわわに実った果実が！？」
　わきわき、と自分の胸を鷲掴む冴木竜司。彼もＰＥＣに所属するロリコン変態紳士である。
「これが……何でもできるといわれた二つの悪魔の実」
　ごくり、と喉をならし、巨乳さんへと奇跡の変貌を遂げた胸を揉んでみる。
「フォォ！　こ、これが女の子特有の感触！」
　柔らかく、暖かい。
　自分についている、というのが若干残念ポイントだが、人生初めての歓喜の前に、そんな些事はどうでも良い。
「俺は、俺はまた一つ男の階段を上ったんだな……」
　祝！　胸揉みDT卒業！
　冴木の脳内にはファンファーレが鳴り響き、紙ふぶきが舞う。
「すばらしいっ……こうなれば、次のステップを目指すべきっ」
　人の欲には限りがない。
　自身の胸を存分に揉みしだいた冴木は、次なる欲望を見つけてしまう。
「ちっちゃいおっぱいも、ふつうなおっぱいも、揉んでみたい！」
　幸い水着売り場には色んな胸を抱えてあたふたしている女性（含む男性）が大勢いるではないか。
「胸の大きさに貴賎なし！　あくまで紳士的に！　合法的に！　俺は胸を揉む！」
　この瞬間、冴木にとって屋上は、水着売り場から様々なおっぱいを揉む会場へとその意味を変えた。

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