逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！｜リアクション

逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！

「おおう？　たまちゃんの胸がなんかいつもより小さくなってるー！」
　回転院環の反応は、比較的あっさりとしていた。
「着痩せするタイプがそうでもないタイプに！」
　回転院の巨乳さんなバストは、普通さんな胸に変化していた。
「まあ結局見た感じの変化はそんなにないんだけどねー」
　少々胸元がすかすかしているが、外から見る分には大きな変化は無いように思える。シャツのボタンがはじけ飛んでしまった人に比べれば、実に慎ましやかな変化である。
「こ……これが、プラズマの力っ」
　その、シャツのボタンを弾け飛ばした人、種子島タネは普通さんなお胸が巨乳さんへのマジカルチェンジしていた。
　そしてプラズマの偉大さを感じていた。
「すごいわプラズマ！　宇宙人なんていなかったのよ！」
　圧倒的な重量感に酔いしれ、宇宙人をdisり、プラズマをageているが、その理由は不明である。
「あぁ、でも服のサイズ的に微妙よね。どうしたものかしら……」
　プラズマを讃称しながら現実的な問題に首をかしげる種子島。なにせ、水着特設売り場。売っているものは水着をはじめとしたマリンスポーツ関連用品。下着やトップスなどは会場に売っているはずもなかった。
　ちなみに。

《プラズマ【plasma】①血漿（けっしょう）。プラズマ②自由に運動する正・負の荷電粒子が共存して電気的に中性になっている状態。放電中の放電管内の気体、電離層、恒星の外気などはこの状態にあると考えられる。》（『広辞苑　第六版』（岩波書店）より引用）

　との事で、なにやらよく分からないが、おそらく胸の急成長には一ミクロンも関係ないものと思われる。

「まぁ、おっぱいが増えた事に感謝は必要でも理由なんて要らないわよね！」
　プラズマ様ありがとう！　すべての疑問をプラズマへの感謝で流し、種子島は納得する。　
「よーし、新しい下着と服を買いに……」
　その時、確かに種子島の体はプラズマ（のようなもの）を知覚した。
　確かな予感。感じる視線に振り返れば、その先には回転院。
「あれは……胸がはちきれているけれど、間違いない！　魂の片割れちゃんっ」
　自分の視線に応え、振り返った種子島に、頬を緩める回転院。
　彼女たちはプール開きの際、魂で契った運命の姉妹（ソールシスター）。お互いの名前はまだ知らない。
　お互いの視線が絡み、ゆっくりと微笑み合う。どちらからとも無く歩み寄る、その足取りに迷いは無い。
　そして確信する。もはや、名前も、言葉も不要だと！
「そう、私達に必要なのはこの魂の共鳴！　身体のぶつかり合い！　肉体言語よ！」
　ボタンが飛んだシャツの隙間からたわわな胸を覗かせた種子島が吼える。
「血は繋がっていなくとも、魂で深く繋がりあった、僕たちは姉妹なんだ！　そこに名前や言葉なんて要らない！」
　確信を持って回転院が叫ぶ。
　双方の声が屋上に響き渡り、ゆっくりと歩み寄っていた二人は同時に駆け出す。
「今なら言える！　バストパワープラスッ！」
「マイナスとプラスは惹かれあう！　電磁砲的友愛豪腕！」
　戦隊ものやロボットものを連想させる、よく分からない決め台詞を叫びながら、二人はプロレスごっこを開始した。
「……言葉が要らない割りに」
「良く喋るのぉ……」
　ぼそりと呟いたのは、相変わらずベンチでスケッチを続けていた旅鴉と、同じくマイペースに男性用水着を選んでいる夏神零だった。
　
　　