逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！｜リアクション

逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！

　夏神零はこの騒動に落ち着き払っていた。
　と、いうのも彼は肉体の変化に慣れっこだったのだ。
「またか……時間経過では治らぬのか？」
　雄っぱいがちっぱいにマジカルチェンジしたところで、女体化や巨乳化を経験済みの身としては、だからどうした、である。
　回転院と種子島のプロレスごっこを横目に見ながら、新作の水着を手に取ってみる。
「……試着は、しても無意味でござろうなぁ」
　恐ろしく不恰好になること請け合いである。
「仕方ない、緊急ということで、予定変更でござるな」
　水着を選ぶのを諦めて、夏神は女物の服を購入することに決めた。
「まったく……こんなことなら、女子用の制服を着ていれば問題なかったでござろうに」
　そういう問題ではないだろうが、素肌に男子用のブレザーでは、確かに不都合だろう。柔らかい胸が固い生地に擦れてなんとも不愉快だ。
「服が必要なのか？」
　そんな夏神に気がついた咲州寄居子が声をかけてきた。
「ん？　お主は……」
「男でもサイズ変わったら大変だよな。大丈夫、すぐ作るから」
　訳知り顔で頷くとポケットから貝殻を取り出し、ろっこん【鎧有為】を発動させる。
「ほら、とりあえず解決するまでこれを」
　差し出されたのは【鎧有為】で作られた防具、ビキニアーマー。
「遠慮するでござる。拙者はさほど困っていないゆえ」
　しかし、どうみてもただの貝殻ビキニな防具を一瞥すると、夏神はきっぱり断った。
「え」
　なぜ断られたのか、ときょとんとする咲州に背を向けて、夏神はすたすたと歩き去る。
「……サイズ、間違えた、か？」
　手に残されたビキニアーマーを見つめて首をかしげる咲州だった。