逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！｜リアクション

逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！

・リアクションは様々です

「ハーイル、おっぱーい！」
　ははははは、とアメリカナイズされた爽やかな笑みを浮かべて、敬礼するのは横嶋下心。
　御剣とは対照的に、なんのためらいもなく、水着売り場の惨状を心から堪能している。
「夏！　海！　プール！　水着！　水着といえば！　女体！　女体といえば！　おっぱい！」
　何を言っているのか、最早意味が解らない。意味は解らないが、彼が欲望に忠実であることだけははっきりと理解できる。
「ただの水着に興味ありません！　水着のサイズ、つまり貴方のおっぱいさんのサイズに興味があります！」
　きっぱりとした宣言に胸を反らせばぶるんぶるんと震える豊満なおっぱい。そう、横嶋の胸はその尽きぬ欲望を表すかのように、巨乳さんへとマジカルチェンジしていたのだ！
「おやー、あそこに居るのは……」
　豊かな胸を揺らしながら、スケッチブックを広げる小柄な少女に近づいていく。
「やぁ、こんにちは、君も水着を買いに着たのかい？　セクシーペインター！」
　無駄に爽やかな笑みを浮かべながら、屋台の傍に設置されたベンチの一つに座っている旅鴉月詠に声をかける。
「……なんだ、横嶋か」
　スケッチブックからちらりと視線を上げた旅鴉の反応はいたって淡白だ。
　上げた視線はすぐにスケッチブックに戻り、さらさらと鉛筆を動かす。
「ふふふっ、君はどんな水着を着るのかな？　ちょっとそこの辺りの話を詳しく聞きたいんだけどな～」
　旅鴉のつれない反応などなんのその、ずずいっと身を乗り出すと、スケッチブックのページが目に入る。
「ふぉっ！　女の子がいっぱい！　でも実物のほうが萌え！」
「……見て解らないのか……」
「解らないな！　女の子のおっぱいを描くより見たほうが素敵だよ！　実際に触って揉んで頬ずりしたほうがもっと素敵だけどね！」
　無駄な爽やかさでも誤魔化しきれない変態オーラが光る。
「……という訳でその慎ましやかに愛らしいちっぱい様を揉ませでぶべしっ」
　旅鴉は胸に伸びる手に気がつくと、すばやくスケッチブックを斜め上方に突き上げた。スケッチブックの角が横嶋の顎をしたたかに打ち付ける。
「私は今年のデザインと流行、その傾向について調査するので忙しいんだ」
　言葉通り、彼女のスケッチブックは新作水着のデザインを写したもの、人気作品を踏まえて新たなデザインを生むためのラフやメモでいっぱいだ。
「おっぱいと戯れたいなら他を当たれ」
　実にめんどくさそうに言い置いて、旅鴉はデッサン（でいいのか？）を再開したのだった。
「ふぁい……マイペース天然どSとかご褒美ですぅ」
　顎をさすりつつ身悶える横嶋も旅鴉に負けず劣らずのマイペースである。