逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！｜リアクション

逆転！？大騒動～これじゃ水着が着られない～雄っぱいもあるよ！

　同時刻、同じく試着室で、歓喜に震える人がいた。
「……つ、ついに……」
　高機能パットをその手から取り落とし、肩にかかる重みに震える。
「私の時代が来ましたわーっ！！」
　財前華蓮はぐっと拳を握り締め、ちっぱいさんから巨乳さんへと、マジカルチェンジした胸元を嬉しそうに撫でた。
「ふふふ、ふふふふふ、これが私の真の姿……もうパットなど必要ありませんわっ！」
　ふくよかな胸を手に入れた興奮の前には、なぜ？　等という疑問は浮かばないようだ。
「これが私のあるべき姿……今までは私の美しさを妬む何者かによって私のバストが封印されていたんですわね！」
　クスクス、と優雅に、そしてちょっぴり危ない微笑を浮かべながら、たわわな胸を強調するように鏡の前でポージングを繰り返す。
「ふふっ、こうしてはいられませんわ！　真の姿を取り戻した私にふさわしい水着を選ばなくては！」
　財前は意気揚々と試着室を出て、なんだか不思議な事になっている水着売り場に繰り出したのだった。

「……ゴクリ」
　うっかり生唾を飲み込んでしまった青少年をだれが責められようか。
　おっぱいを確認したり、はちきれそうな胸元を隠したり、乙女も乙男（オトメン）も、ちょっと恥らっている姿が実に眼福である。
　中にはちょっとアレな反応を見せている人達もいるが、水着売り場にいる多くの人々は恥じらいつつ戸惑っている。
「はっ、そうじゃないっ！　フツウを守らないとっ」
　ムッツリーニカタナこと御剣刀は、ぶんぶん首を振って煩悩を追い払う。
「先ずは周囲の状況を確認して……」
　当然、周囲はぽろりもあるよ！　なノリで「ブラが……」とか「や、苦しい……」なんて、下着がずれちゃったり、はちきれそうなボタンを緩めるべきかでも見えちゃうかも……なんて葛藤している乙女と乙男（オトメン）の園である。
　そう、みんな忘れないでね！雄っぱいもあるよ！
　当然、ムッツリーニカタナこと御剣刀の胸も雄っぱいから普通さんにマジカルチェンジしている。
「みんな自分のおっぱいを確認している…………じゃなくて！　目のやり場に困るな……」
　ごほんっ、とわざとらしく咳払いをする。早くこの事態を何とかしなければ、色々な意味で危機である。
「また神魂……なんだろうが、どうやったら元に戻るんだ？　時間がたてば戻るだろうか？」
　人々の様子を見ながら会場を歩く。屋上は胸のサイズが変わって衣服がはちきれそうな人やスカスカになってしまった胸元を押さえて困り果てている女性が続出している。
　その中に、元に戻った人がいないか、何か解決のヒントはないか、と観察する御剣の視線は、時々胸元を凝視していた。
「……はっ、い、いかんっ。フツウを守らなくては！」
　赤くなってぶんぶん煩悩を振り払う御剣とは対照的に、さわやかな笑顔を浮かべる男がいた。

　

　　

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