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Melt Sinner
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いつも賑やかな猫鳴館も、たまには静かになる時がある。日付が変わった深夜、寝静まった寮生達に気を使いながら、
邪衣 士
はそっと寮の外に出ると空を見上げた。昼間の熱気を溶かすような冷たい風が、ぼうぼうに生えた雑草を揺らし、どこからかビニール袋が飛んでくる。そろそろ、雑草を取った方が良いだろう。生えるままに任せていては、いずれ猫鳴館は雑草に埋もれてしまうかもしれない。寮生で協力してやれば半日で終わるだろうが、雑草取りを積極的にやってくれる人が何人いるだろうか。士はどうしたら良いか考えながら、ビニール袋を掴むと小さく丸めてゴミ置き場に捨てた。
空は満天の星空で、大きな満月が淡い光を放っている。時折滲んだように光が陰るのは、薄い雲が遮るからだろう。ボンヤリと空を見上げていると、どこからともなく綺麗な歌声が聞こえて来た。高い声は透明感があり、何を言っているのかまでは聞き取れなかったが、哀愁を帯びた旋律は士の心に強く訴えかける何かがあった。士は目を閉じ、歌に聞き入った。
ふと、家族の事を考える。考えれば考えるほど、怒りがこみ上げてくる。母親の治療をせずにいた父親に……。ふつふつと湧き上がった怒りは士の心を掻き乱し、ふっと我に返る。本当は、父親に怒りを感じているわけではない。士が怒りを向けるべき矛先は……。
春に一度だけ、実家に帰った。父親に母親の治療を行わなかった理由を尋ねたが、結局は答えてもらえなかった。答えられない理由があるからこそ、言えないんだ。士は何倍にも膨れ上がった怒りに唇を噛み締めながら猫鳴館へと帰ろうとして、兄に呼び止められた。
兄は低く落ち着いた声で、母親自身が治療を拒んだのだと告げた。最初は、信じられなかった。母親は、自分の病気が治らない事を知っていた。けれど、お金があれば延命ならいくらでも出来た。そしてその時、邪衣家には丁度良く有り余る大金が手に入っていた。それなのに、何故母親は治療を拒んだのか? 無理にでも、治療を続ける事は十分出来たはずだ。それなのに、何故?
憤る士を見つめる兄の目は、軽い軽蔑を含んでいた。物分りの悪い子供を目の前にした時のように、小さく溜息をつきただ一言「察しろ」と冷たく言い放った。自分の頭で考えて答えを出せ、そう言いた気な兄の顔に、士は眉根を寄せながら考え込んだ。
母親は性格上、苦しまずに死にたいと言うような人ではない。これ以上辛い治療に耐えたくないからと、死を選んだわけではないはずだ。それなら、何故? 悩む士の前で、兄の瞳が失望へと変わる。
「お前はもう少し、自分を優先しろ」
溜息とともに吐き出された言葉を最後に、兄は士に背を向けた。その時はどういう意味なのか良く分からず、数時間考えて理解した。そしてその瞬間、今までとは別の怒りがこみ上げてきた。
母親は、子供の頃の士が本来士自身のために使う時間を、自分のために使って欲しくなかったのだろう。その分の人生を、無駄にして欲しくなかったに違いない。
治らない病だったとは言え、母親の死を早めたのは何者でもない、士自身だった。士のために死を選ぶと言う事は、ある意味自殺と同じことで……そこまで母親を追い詰めたのは、士だった。自分自身に腹が立つ。母親の真意を見抜けなかった自分に、何も知らずに父親に怒りをぶつけ続けた自分に。
父親は、理不尽な士の怒りを黙って受け止めていた。何も言わずに、士が自分のせいだと勘違いしているのならそれで良いとでも言うかのように。今更謝ったところで、どうにもならない。そしてきっと、謝れば父親は笑って許してくれるだろう。そういう人なのだ。
真実を知った今なら、父親と歩み寄れる。けれど今更、父親に何と言って良いのか分からない。父親は母親を見捨てたわけじゃなかった、そう安堵する心と、それを知ったところでどうすれば良いのかと悩む心がぶつかり合う。何も知らなかった……否、知ろうとしなかった自分の鈍さ加減に嫌気が差す。情けないし、許せない。士に向いた怒りの矛先は、上手く自己消化できずに結局父親へと向いてしまう。
もっと早く、言ってくれていたら良かったのに。何故教えてくれなかったのか? 愚問だと、分かっている。幼い士に『君のために死んだ』など言えるはずがない。
唇を噛み締め、空を仰ぎ見る。いつの間にか、あの美しい歌声は聞こえなくなっていた。代わりに、士の耳に父親の声が響く。
『俺は家族を絶対に裏切らない』
父親は、よくそう言っていた。けれど士は、その言葉を信じる事が出来なかった。もしもその言葉を信じていれば、兄に言われる前に母親の気持ちに気づいていただろう。母親は士を思って治療を止め、父親は士を思って何も言わず、兄は父親を思って士に助言をした。そして、士は自分の感情だけに突き動かされて怒りを爆発させていた……。
士はやり場のない怒りに、強く拳を握った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月13日
参加申し込みの期限
2014年02月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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