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Melt Sinner
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その日は、早番だった。特に残業もなく真っ直ぐに家に帰れた
斑鳩 遙
だったが、家に帰っても眠る気になれずにフラリと外へ出た。向かう先は寝子島イリュージョンランド、二十年前に閉鎖されて廃墟となった遊園地。無表情で佇む回転木馬に、動く事のないコーヒーカップ。蔦に呑まれて静かに老朽化していく観覧車の前まで来た時、遙の耳にか細い旋律が届いた。息を呑むほど美しい透き通った歌声に、親友のピアノの音色が重なる。
音楽界のメフィストフェレス、魔弾の奏者と呼ばれたピアニスト、時任彼方の突然の自殺。遺書はなく、動機は不明、何故彼方が死に至ったのか、就職してから疎遠になっていた遙は予兆に全く気付かなかった。
彼方との出会いは、木天蓼大学のキャンパスだった。エキセントリックな言動から溢れ出すカリスマ性で一目置かれる有名人だった彼方は、何故か遙を見初めて傍に置いた。何故と問うても、彼方は理由を言わなかった。誰かと友情を交わすのに、理由が必要なのかと、からかうように言っていた。ただの天才の気まぐれだったのか、それとも遙に何かを感じたのか、今となっては分からない。
彼方は大抵、遙の質問に明確な答えを出さなかった。何故と問えば、何故と返すような意地悪さがあった。ただ一つ、何故音大に進まなかったのかと問うた時だけ、彼方は明確な答えを出した。
「何を学ぶんだ?」
彼方は真顔でそう返した。音大に進んだところで、何も学ぶ事はない、自身の持つ奏者としての技術に、彼方は絶対的な自信を持っていた。確かに彼方はとんでもない性悪だったが、技巧の冴えは凄まじかった。一度聴くと中毒になるような、悪魔に魂を売った人間特有の演奏。聴く者の魂を捕らえ、自身の世界に引きずり込む力。一度聴けば、誰もが彼の演奏の虜になる。
―― だから彼方は、命を縮めたのだろうか。
野外音楽堂の壊れたピアノの前に立ち、遙は音の出ない鍵盤に指を置いた。指先が覚えている、ごく簡単な旋律を紡ぐ。
彼方は遙を『はるか』と呼んだ。いくらやめろと言っても聞かずに、からかうような調子で、何かあるたびに「はるか」と声をかけた。未だに「よう」よりも「はるか」の方が通りが良いのは、彼方のせいだろう。彼方亡き今となっては、誰もその愛称で呼ぶ人間はいないけれども。
友を喪い、初めて分かる、遙という人間の虚無さ。喪失感、孤独感、世界から隔絶されてしまったかのような、言いようのない不安。死の直前の演奏を聴いていれば、彼方の異変に気付けたのだろうか。自殺を、止められたのだろうか?
無知だった、鈍感だった。結局遙は、時任彼方と言う人間を何も理解していなかった。誰よりも彼方に近いと自負していながら、結局遙は何も分かっていなかった。
今となっては、もう遅い。何もかもが、手遅れだ。
指が止まり、凶暴な衝動に駆られて鍵盤を乱暴に叩く。音の出ないピアノから不協和音が響く事はなかったが、遙の耳には確かに耳障りな音が聞こえた気がした。
彼方は、悪魔のような男だ。死んでから一層輪郭を濃くして、遙に付き纏い続ける。何故死んだのか、必ず自殺の真相を突き止める。そうして無理矢理にでも目的を捏造しないと亡霊の呪縛は解けず、永遠に彼方に支配されたままになってしまう。
何故彼方は死んだ? 彼方は遙に、何を伝えたかった?
彼方は、何故と問えば、何故と返すような男だった。明確な答えを自分から出す事はなかった。知りたければ、自分の力で解いてみると良い、そんな声が聞こえた気がして、遙は小さく息を吐いた。
いつの間にか、歌声は聞こえなくなっていた。彼方のピアノを髣髴とさせるような、悪魔に魂でも売らなければ出す事の出来ない独特な旋律だった。薄くかかった雲に滲む満月を見上げ、遙はそっと寝子島イリュージョンランドを後にした。旧市街地のアパートに帰り、棚からファイルを抜き出すと、ファイリングされていた楽譜を取り出してテーブルの上に広げた。踊るように並ぶ音符を指先で撫で、丹念にページを捲る。所々、思い出したように書かれた彼方の字、断片的な言葉で綴られた曲の簡単なイメージや、注意すべき箇所、テンポの補足、そこから何か手掛かりを掴めないかと必死になって考え、遙は眼鏡を外すと目頭を押さえた。
彼方は何故死を選んだのか、死を選ばなければならない理由は何だったのか。その死は回避する事が出来たものなのか。答えはまだ闇に閉ざされている。
机の上に置かれた時計草が視界に入り、遙は眼鏡をかけると長く伸びた蔓に目を向けた。そろそろ蔓を誘引しないと、絡んでしまうかもしれない。……彼方が好きだと言っていた時計草、彼の死の間際まで、彼の近くにあった花。
遙はベッドに倒れこむと、目を閉じた。脳裏に彼方のピアノの音色が蘇る。耳にした者の心を捉える、悪魔の旋律。決して忘れる事はないだろう残響に、束縛され続ける ――。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月13日
参加申し込みの期限
2014年02月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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