夏だ！　海だ！　大雪だ？！｜リアクション

夏だ！　海だ！　大雪だ？！

「どうやら彼女達が元凶らしいな」
　刀は麗子と瓢を見つけると、海をその背に庇う。
　彼女と彼の目的がカップル撃破なのは見て取れた。
　刀と海は、まさに飛んで火にいる夏の虫。
　麗子が刀と海を見つけ、ふふふっと笑う。
「次から次へと……お望みどおり、吹き飛ばしてあげるわ！」
　麗子が吹雪で吹き飛ばすより早く、刀の脳裏に浮かぶ撃鉄が落ちるほうが早かった。
　ガキンッと音を立てて落ちる撃鉄は、加速のトリガー。
　海を抱きしめるように庇い、高速で吹雪を避け、そして麗子から遠ざかる。
『むりしないで！』
　海が涙目で訴える。
　短い言葉に込められた思いは、刀への心配が。
「うん……ありがとう」
　海の気持ちが痛いほど伝わってきて、刀は不意を付かれた様に胸により一層の愛情が溢れるのを感じる。
（小山内を危険に晒すわけにはいかないからな）
　麗子と戦って勝つ自信はあった。
　だがカップルであるというだけで攻撃対象にしてくる麗子から、海を守り続けるのは難しい。
　悲鳴をあげることも、助けを呼ぶ事もできない海を、危険に晒したくはなかった。
　だから、刀はあえて麗子と戦わず、加速で海と浜辺から離れる道を選んだ。
　海は、ホッとしたように刀に身を寄せた。