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- 学年：職業
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睡魔と戦え！ リターンズ
【講堂：社会】
頬杖うたた寝していた志波 拓郎、段差を踏み外してガクっとなった感覚で飛び起きる。
「！？ ……眠ってたか……」
誰かに感謝されていたようなされていないような、というか日本史の授業を受けていた気がするのだが。
「ここ……講堂？」
中間試験会場だった講堂に自分一人だけ。暗記科目に頭を悩まされ続ける日々を思い出すので、ここはあまり好きではない。
と、講堂の扉が開き、外の熱気と共に日本史担当の若杉 勇人が登場する。
「よう志波、相変わらず暗記系に悩まされているようだな」
気さくな声が講堂にこだまする。
「ええ……覚えようとするけど……眠くなって」
「志波、お前の好きな戦国武将は誰だ？」
「え……？」
「なんだいないのか？ それだからダメなんだよ。好きな武将とか嫌いな武将とか、熱い戦とかヘンテコな名前の法令とか、そうやって感情を持ちながら歴史と遊ばないから、眠たくなって頭に入らないんじゃね？」
「な……なる……ほど」
「お前はもう少し感情の起伏を出したほうがいいよ。そこで今日はこんな課題を用意してみました」
「……？」
若杉先生の手によって再び開かれる講堂の扉。陽光に照らされて、見覚のあるシルエットが浮かび上がる。
「あれは……」
サンマさん。眼鏡を装着し、黒ブーメランパンツを履いている。
「ファ！？」
それは明らかに、拓郎の苦手な存在——兄になぞらえた格好をしている。身長体格もそっくりだ。しかもサンマさんといえば、中間試験でも散々馬鹿にされた軽いトラウマも蘇る。
「サンマさんが出してくる歴史の問題に答えていけ。特別に教科書を参考にしてもいいぞ。あと、サンマさんに捕まったらゲームオーバーね」
「え……ちょ……」
「いざ開戦！」
講堂の扇状に広がる卓に乗り上がり、サンマさんが拓郎目がけて直進してくる。
「ひっ」
サンマさんにだぶる——苦手な兄の姿。拓郎は、歴史の教科書を手に取り走り出した。
「第１問。鎌倉幕府が成立した年は？」
ダッシュしながら平然とした声で、サンマさんから問題が出される。歴史の基本だ。教科書を見なくても分かる。
「……いい国作ろう……１１９２！」
「外れ。１１８５年」
「おいおい志波、改訂されたって教えられただろ」
「く……」
「ほらほら早く逃げないとサンマさんに捕まるぞ。捕まったら日本史は赤点だと思えー」
「第２問……」
サンマさんの追走を振り切り、講堂を逃げ出る拓郎。彼の敏捷は見逃さなかった。すれ違い様、若杉先生の額に「睡」の字があることを……。
（あれ、これって前にも……）
教科書をめくって答えを探しながら、記憶をたぐり寄せる。
（もしかして……夢かこれ）
「さて、次の赤点候補がやって来たな」
拓郎を見送った若杉先生は、一番前の席でポカンと口を開け座っている灰色の髪の少年の前に立った。現実で睡魔に負けて、この世界へ転送されてきたばかりだ。
「はて？ 教室にいたと思ったんじゃが」
老人口調で首を傾げる立井 駒鳥。
「立井、お前も苦手なものがあるんだってなあ」
見上げた駒鳥は戦慄した。どこから出てきたのか、若杉先生は冷蔵庫に寄りかかっている。そして冷凍室からアイスの包装を取り出したのだ。
「夏といったらやっぱこれよ」
包装を破り、ソーダ味の氷菓子にかぶりつく。それを見ているだけで駒鳥は全身に鳥肌を立てる。
「というわけでお前の課題はこれな」
アイスを駒鳥に向けて放る。慌てて避けようとするが、頭上から落ちてきたのは数えきれないくらいのアイスの包装たちだった。
「それを一口でも食えたら、お前の勝ち」
「……」
駒鳥は言葉も出ない。アイスの発する冷気だけで意識が飛びそうだ。
「そしてもう一つの苦手なものにもお越しいただきました」
講堂の扉がまたまた開かれる。そこには駒鳥のよく知った人物がいた。
「ファ！？」
悪戯好きの兄……に見えたが、よく見たらサンマさんだった。しかし姿形はよく似ている。
「お前も兄が苦手なんだなあ。まああのサンマさんに捕まったら負けだから、追いかけっこしながらアイスを食うこと。いいな」
「追いかけっこ！？ 俺は追いかけられるのが……」
「いざ開戦！」
サンマさんが弱り切ったヒナのような駒鳥を襲う。駒鳥、咄嗟に上着を脱いでアイスをいくつか包むと、冷たいのに耐えつつ抱きかかえた。
「くっ」
つかみ掛かるサンマさんの手を避け、講堂の外へと飛び出した。
（なんでこんな目に……俺は授業を受けたいのに……！）
志波 拓郎
苦手：兄 対決：兄扮したサンマさんに追われながら歴史テスト
立井 駒鳥
苦手：兄、冷たいもの、追いかけられること 対決：兄扮したサンマさんに追われながらアイス克服
頬杖うたた寝していた志波 拓郎、段差を踏み外してガクっとなった感覚で飛び起きる。
「！？ ……眠ってたか……」
誰かに感謝されていたようなされていないような、というか日本史の授業を受けていた気がするのだが。
「ここ……講堂？」
中間試験会場だった講堂に自分一人だけ。暗記科目に頭を悩まされ続ける日々を思い出すので、ここはあまり好きではない。
と、講堂の扉が開き、外の熱気と共に日本史担当の若杉 勇人が登場する。
「よう志波、相変わらず暗記系に悩まされているようだな」
気さくな声が講堂にこだまする。
「ええ……覚えようとするけど……眠くなって」
「志波、お前の好きな戦国武将は誰だ？」
「え……？」
「なんだいないのか？ それだからダメなんだよ。好きな武将とか嫌いな武将とか、熱い戦とかヘンテコな名前の法令とか、そうやって感情を持ちながら歴史と遊ばないから、眠たくなって頭に入らないんじゃね？」
「な……なる……ほど」
「お前はもう少し感情の起伏を出したほうがいいよ。そこで今日はこんな課題を用意してみました」
「……？」
若杉先生の手によって再び開かれる講堂の扉。陽光に照らされて、見覚のあるシルエットが浮かび上がる。
「あれは……」
サンマさん。眼鏡を装着し、黒ブーメランパンツを履いている。
「ファ！？」
それは明らかに、拓郎の苦手な存在——兄になぞらえた格好をしている。身長体格もそっくりだ。しかもサンマさんといえば、中間試験でも散々馬鹿にされた軽いトラウマも蘇る。
「サンマさんが出してくる歴史の問題に答えていけ。特別に教科書を参考にしてもいいぞ。あと、サンマさんに捕まったらゲームオーバーね」
「え……ちょ……」
「いざ開戦！」
講堂の扇状に広がる卓に乗り上がり、サンマさんが拓郎目がけて直進してくる。
「ひっ」
サンマさんにだぶる——苦手な兄の姿。拓郎は、歴史の教科書を手に取り走り出した。
「第１問。鎌倉幕府が成立した年は？」
ダッシュしながら平然とした声で、サンマさんから問題が出される。歴史の基本だ。教科書を見なくても分かる。
「……いい国作ろう……１１９２！」
「外れ。１１８５年」
「おいおい志波、改訂されたって教えられただろ」
「く……」
「ほらほら早く逃げないとサンマさんに捕まるぞ。捕まったら日本史は赤点だと思えー」
「第２問……」
サンマさんの追走を振り切り、講堂を逃げ出る拓郎。彼の敏捷は見逃さなかった。すれ違い様、若杉先生の額に「睡」の字があることを……。
（あれ、これって前にも……）
教科書をめくって答えを探しながら、記憶をたぐり寄せる。
（もしかして……夢かこれ）
「さて、次の赤点候補がやって来たな」
拓郎を見送った若杉先生は、一番前の席でポカンと口を開け座っている灰色の髪の少年の前に立った。現実で睡魔に負けて、この世界へ転送されてきたばかりだ。
「はて？ 教室にいたと思ったんじゃが」
老人口調で首を傾げる立井 駒鳥。
「立井、お前も苦手なものがあるんだってなあ」
見上げた駒鳥は戦慄した。どこから出てきたのか、若杉先生は冷蔵庫に寄りかかっている。そして冷凍室からアイスの包装を取り出したのだ。
「夏といったらやっぱこれよ」
包装を破り、ソーダ味の氷菓子にかぶりつく。それを見ているだけで駒鳥は全身に鳥肌を立てる。
「というわけでお前の課題はこれな」
アイスを駒鳥に向けて放る。慌てて避けようとするが、頭上から落ちてきたのは数えきれないくらいのアイスの包装たちだった。
「それを一口でも食えたら、お前の勝ち」
「……」
駒鳥は言葉も出ない。アイスの発する冷気だけで意識が飛びそうだ。
「そしてもう一つの苦手なものにもお越しいただきました」
講堂の扉がまたまた開かれる。そこには駒鳥のよく知った人物がいた。
「ファ！？」
悪戯好きの兄……に見えたが、よく見たらサンマさんだった。しかし姿形はよく似ている。
「お前も兄が苦手なんだなあ。まああのサンマさんに捕まったら負けだから、追いかけっこしながらアイスを食うこと。いいな」
「追いかけっこ！？ 俺は追いかけられるのが……」
「いざ開戦！」
サンマさんが弱り切ったヒナのような駒鳥を襲う。駒鳥、咄嗟に上着を脱いでアイスをいくつか包むと、冷たいのに耐えつつ抱きかかえた。
「くっ」
つかみ掛かるサンマさんの手を避け、講堂の外へと飛び出した。
（なんでこんな目に……俺は授業を受けたいのに……！）
志波 拓郎
苦手：兄 対決：兄扮したサンマさんに追われながら歴史テスト
立井 駒鳥
苦手：兄、冷たいもの、追いかけられること 対決：兄扮したサンマさんに追われながらアイス克服
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2014年02月12日
- 参加申し込みの期限
-
- 2014年02月19日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年02月19日 11時00分
