Riches have wings｜リアクション

Riches have wings

　金に羽が生えて飛んでいったから、それを集めるのを手伝って欲しい。
　それから困っている人たちに届けるのも。
　堀和哉の元に花風ももからそんな電話がかかってきた。
（金に羽が生えるなんてあるのか……？）
　見ていなければ当然の疑問である。
　けれどももが嘘をつく、とは和哉には到底思えなかったし、風に煽られて飛んでいったのが飛んでいるように見えたんだろうと思った。
　人助けをすること自体には和哉も異論はない。
「和哉さん……お願い」
「ああ、わかった。だからももはそんなに心配しなくてもいい」
「ありがとうっ」
　電話越しにも、ももが笑ったのがわかる。
　その嬉しそうな笑顔を想像すると、ぽっと胸にあかりが灯ったようだった。
「じゃあな」
　電話を切ってもその余韻は残っていた。残っていたが、現実もやってくる。
　お金を探して拾うのはいいとしても誰がお金をどれくらいなくしたのかなんてちっともわからなかった。
（とりあえずねこったーでも見てみるか）
　そう思って再び携帯に手を伸ばすと、なにやらギシギシと嫌な音が頭上から聞こえてきて、和哉は思わず上を見た。