寝子島★トマト祭り｜リアクション

寝子島★トマト祭り

「トマトがいっぱい食べられると聞いて、参上だぜ！！　真っ赤なトマト♪　真っ赤なトマト♪」
　好奇心に紅茶色の瞳を輝かせて上機嫌なのは、剣崎灯子だ。
　照りつける日差しもなんのその、仔犬を思わせる軽いフットワークで、あちらこちらを見て廻っていた。

「トマト祭りねえ……」
　そう呟いたイタリア系米国人のピーター・ビアズリーは、自称写真家だ。
　くたびれたシャツを着た彼は、首からカメラのストラップを提げている。ただし型はかなり古く、フィルムも入っていないので、実際に写真を撮影する事は不可能だった。
「うん、おじさんも参加すんのか？」
　天真爛漫な灯子の問い掛けに、ピーターは少し遠い目をして頷いた。
「昔、本場のトマティーナに行ったことがあってね……何だか懐かしいねえ」
　気さくなピーターは、灯子を話相手に思い出話に花を咲かせた。
「そう言えば、パロ・ハボンはやらないのかな？」
「パロ・ハ……？　何だそれ？」
「日本語だと、石鹸棒の意味だね。石鹸を塗って滑りやすくした棒の先に、生ハムを括り付けて皆で取り合うんだよ」
「へええ！　そういうのって、燃えるな！　とーこもやってみたかったなー」
「はは、そう簡単にはいかないよ。石鹸を塗ってあるから滑るし、しかも結構高いときたもんだ。おまけに登ってると放水までされるから、生ハムを手に入れるのは容易な事じゃないんだ」
「ふうん、そうなのか～……でも、とーことしては難しければ難しいほど、挑戦したくなるな！」
「ほお、大したガッツだね。そういえばあの時、うちのかみさんもハッスルして生ハムを……」
「あ！　トマト競技、エントリーはこちらだってさ！　おじさんも、いこいこ！！」
　満面の笑顔の灯子に、シャツの裾を引っ張られてピーターは顎を摩った。
「ふむ。まあこんなおじさんでも賑やかしにはなるでしょうし、参加賞トマト一箱っていうのもいいね。ひとつ参加してみようかね」
「あ、そう言えば。おじさん名前なんてーの？　ちなみにとーこは、剣崎灯子ってーんだ」
「灯子君か、よろしくね。私はピーター・ビアズリーだよ」
「ああ、よろしくな！」

「トマト祭りて、やってみたかってん！　冬馬と協力プレイや！　楽しみつつ守るで！　情熱的に、レッツトマティーナ♪」
　祖父母に代わってシーサイドタウンの画材店『とらんぷ堂』の店番をしている、体育科の２年、服部剛は小柄な弟分の七葵冬馬を引き連れての参戦だ。
　剛はTシャツにツナギを穿いて、袖の部分をベルト代わりに腰で巻いている。頭にはゴーグルを装着し、ちょっと見では整備士のようだ。
「生き残るで、ふゆちゃん！　剛さんが守ったる」
　二人とも生き残れたら？　じゃんけんでええんちゃう☆　朗らかに笑う剛。
　一方、すっかり兄貴分の剛に懐いている冬馬は「男は汚れなんて気にしないぜ！！」と、普通に体操服でやって来ていた。
　受付を済ますと、競技が始まるまで一回りしようと、剛は冬馬を引っ張って出店へ。
　しかしこれには冬馬、渋面を作った。
「えーっ、トマトって野菜だろ！　俺、野菜嫌いなんだって……！」
「食わず嫌いは感心せえへんで？　ええから来いや、剛さん奢ったる！」

★トマト料理出店一覧★

＜出店・管理人/料理＞

■宇佐見望月＆花厳望春/ダブルトマトパスタ＆トマトのコンポートとトマトゼリー

■旅鴉月詠/リゾットとトマト鍋

■納利悟＆畑耕作（NPC）/きゅうりの漬物スティックとうざく＆マシュマロアイスのトマトジャム添えとトマトスムージー

＜野菜の直売＞

■猫鳴館（後木真央＆邪衣士）/猫鳴館で育てた新鮮野菜の販売