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勿忘草の誘い
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【月と星の香り】
花風 冴来
はふらりと危うげな足取りで喧騒から逃げるように静かな所、静かな所へと彷徨い歩いていた。
顔色は冴えず、今にも倒れそうな在り様だ。
しかし冴来は気を失うわけにはいかなかった。
(だめ……ここで気を失ったら、私はまた……ッ!)
冴来を苛む焦燥感。
徐々に正気を蝕んでいる狂気への恐怖。
(壊したい、全てを、こんな世界、壊れてしまえば良い)
気が緩むと、そんな黒く澱んだ欲望がすぐに顔を出して冴来の心を塗りつぶし始める。
(何を考えてるの、私……! 駄目よ、そんな考えは、駄目……!)
そうして偶然辿り着いたのが『Herbe d’ amour』。
冴来はそこがなんの店かはわからなかったが、少しでも自分の正気を保たせてくれるようなものを求め、縋るような思いで勿忘草のプレートがかけられたドアを開く。
(綺麗……)
中に入ってドアに凭れかかったまま、冴来はうっとりと店の中に所狭しと並べられた香水瓶達を眺めた。
薄暗い店内を照らすシャンデリアの光が反射し、色とりどりの瓶はキラキラと宝石のように光り輝く。
(ああ、全部欲しくなってしまう。綺麗なものは好き。綺麗、綺麗だから壊したい。欲しい、壊したい……)
そんな黒い欲望に耐えるようにぎゅっと己の体を抱きしめながら冴来がドアから離れて店の奥へ移動すると、カランコロンと軽やかなドアベルの音と共に明るい声が飛び込んできた。
「こーんにちはっ!お邪魔しますですよ~」
夏らしい水色のリボンで二つに結った蜂蜜色の髪を揺らしながらひょっこり顔をのぞかせたのは
葛城 璃人
だった。
買い物途中だったのか、既に腕の一本は買い物袋に占拠されている。
どこからどう見ても可愛らしい少女なのだが、璃人はれっきとした「少年」だった。
「こんなお店があったんですね~。ふむふむ、香水……新作のデザインに生かせそうな感じがするですよー♪」
次に作る服は香りを連想させるようなデザインはどうだろうなどと考えながら璃人は目を輝かせて店内を見て回る。
璃人は元々服作りが趣味だったが、最近はキャットアイランドというネットの中にある電脳都市でもお店を立ち上げている。
現実では着られないような服もそこでは楽しめるので、最近璃人のデザインの幅はぐんと広がった。
ただ、最近璃人の可能性が広がったのは単に活動場所が増えたからだけではない。
時には背中を押し、時には隣に並んで励ましてくれる存在があるからこそでだった。
「この瓶、可愛いのです! でも、もうちょっと柔らかい香りの方が良いですかねー。こっちのは、うーん好きな香りですけれど、こうじゃなくって……」
香水を手にとって楽しげに悩んでいる様子の璃人に、冴来は羨望の眼差しを向ける。
(私も、あんな風に笑えたら、あの子のように幸せだったら……)
『あの子ってだぁれ?』
不意に頭の奥に他らならぬ自分の声が響く。
その問いかけに冴来の全身が総毛立った。
(あの子は、あの子! 今、目の前にいるあの子よ……!)
『違うでしょ?私が本当に羨ましいのは』
その先は、駄目。
冴来の目の前が真っ暗になろうとした、その時。
「あのー……」
「!?」
冴来がハッと我に還ると、すぐ目の前に璃人の顔があった。
何やら心配そうな顔で冴来を覗き込んでいる。
「大丈夫ですか? 顔色がお悪いようですけど……それとも、りぃ、ちょっとうるさかったでしょうか? もしそれで不快な思いをしてたらごめんなさいですよ~」
申し訳なさそうに謝る璃人の様子に、冴来は慌てて仮初の自分を取り繕う。
「だ、大丈夫よ。少し、目眩がしただけなの。外が暑かったせいかしらね? 心配させてこちらこそごめんなさい、お気遣い感謝するわ」
冴来が自信に満ち満ちた仮初の姿を演じれば、璃人は安心したのかほっと安堵の息をついていた。
「あっ!」
「え?」
唐突に璃人が大きな声を出し、冴来はきょとんと眼を見開く。
「お姉さんの持ってる香水、とっても可愛いのですっ!」
璃人が指差したのは冴来がなんとなく手を伸ばした香水瓶で、落ち着いたブラウンのリボンが結ばれ星のラベルが貼られている。
「気になるなら、どうぞ?」
冴来が手渡した香水はまずローズやジャスミンの華やかな香り。そして少し時間をおくとその中に甘いスウィートオレンジ、それにバニラの香りが顔を覗かせるものだった。
「これですっ! これならあの人に合いそうなのです!」
「あら、誰かへの贈り物を探していたの?」
冴来の問いに璃人の表情が、というか動きが、むしろ時間がピタッと止まる。
「え!? あ、あれ、りぃお洋服のイメージに合う香水を探してたつもりが、いつの間にかっ、はわわわわわわっ!!」
熱を帯びた頬を両手で包み込むように隠しながらあからさまにうろたえている璃人の姿に冴来はころころと笑う。
「おかしな子ね、困る必要なんてないでしょう?」
「で、でも、いきなり香水なんてプレゼントして変に思われないでしょうか……」
不安げな璃人に対して冴来は余裕を含んだ笑みを浮かべて髪をかきあげた。
「贈り物をしたい人なんでしょう? だったら何も思われないより、変にでも思って貰った方がいいじゃない」
「そ、そう、ですかねー……」
ぐぬぬ、としばし悩んだ璃人だったが、結局最後は男を見せた。
「ええい、勇気を出すのです! これ、プレゼント用にお願いしますですーっ!!」
「よーし、よく言ったぜ、少年! オッサンは恋する男子を応援するぜ―!!」
「きにゃー!! 誰が恋する男子ですかー!!!」
今までのやりとりをずっと見ていたらしく、待ってましたと言わんばかりの満面の笑みとウインクとサムズアップでもってカウンターで待ち構えていた由季也に璃人が真っ赤な顔で抗議する。
(……大切な人の香り、か)
冴来の脳裏に一人の少年の姿が過る。
(あの人は、月。白銀の月。綺麗な、綺麗なお月様……)
芳しい薔薇の香りも好きだが、今は甘く官能的な香りを纏うと澱みの中に引きずり込まれそうで怖い。
ならば彼の様な、白くて優しい、自身を包み込んでくれるような優しい香りを纏っていたいと冴来は思った。
自分を狂気から守ってくれるような清らかな香り。
「ねぇ、店主さん」
「ん?」
璃人の分のラッピングを終えた由季也に冴来は自分の欲しい香りのイメージを伝えた。そして、できれば同じものを2本欲しいと。
(渡す勇気もないし、渡せたとしても受け取っては貰えないかもしれない……でも)
奇しくも先程同じように悩んでいた子の背中を押したことが、冴来を決心させたのだった。
由季也は少し悩んだ後、棚の中から要望に適った香水を選んで冴来の前に置く。
ペールブルーの液体で満たされた三日月形の香水瓶。ボトルには特殊な加工が施されているのか、光が当たると普通のガラスよりきらきらと輝き青白く光って見える。
「『Claro de la luna』。この香水の名前」
「クラーロ デ アルーナ……」
「月は人を狂わすと言うが、暗い闇の中を往く不安な旅人を優しく照らして導くのもまた月の光だ」
二つの月の内、一方には青い薔薇のついた白いリボンを、もう一方には青い薔薇のついた黒いリボンを巻いて由季也は冴来に語りかける。
「セレネの御加護が君にあらんことを」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
本条小鹿
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年01月26日
参加申し込みの期限
2014年02月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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