ねばねばギブアップ！？｜リアクション

ねばねばギブアップ！？

●納豆一過

「大丈夫！？　こーたろーく……ごめん、ちょっと離れて」
　蜘蛛の巣から落ちた荒太郎を助け起こそうとしたかなえだが、納豆の糸だらけで思わず距離を取ってしまった。
「うー、とうふちゃんに嫌われちゃった？！」
「ご、ごめんごめん、堪忍や～」
「今水で糸落とすから待ってて～」
　手洗い場で顔を洗い始める荒太郎だった。

「大丈夫か、椿」
「うわあん、ぶちょー、怖かったです～！　はっ、カメラ、スマホは？」
　まだ手に持っていたスマホをチェックする。
「糸ばかりで、肝心な蜘蛛の写真が保存できてない！　がーん。納豆も蜘蛛ももう嫌～！」
　美咲紀はがっくりと、糸のついた服を着替えに教室へ戻っていった。
「壁や床についた糸も水で流そう。汚水処理にも使う吸着性が床の埃すら取るだろう。
　丁度いい床掃除だな。おっと、俺のノートがこんなところに。濡れないでよかった」
　修がノートを回収しホースの水で掃除をしていく横で、春樹はまだ眠っていた。
「修ちゃん、すごいコントロールなのだ！」
「実は、新聞部だけじゃなく射撃部と化学部でもあるんだよ」
　ライフルのフォームをして笑う修。
「この蜘蛛、どうしようか」
　刀の声に修が答える。
「食品保管用の大型コンテナに仕舞えば殺さず済む。神魂の影響ならやがて普通の蜘蛛になるからな」
「なるほど」
　刀が答えて食堂のおばちゃんの元へ向かおうとしたとき、二匹の蜘蛛は縮み始めた。
　手を洗った修は再び席につく。
「さあ、食事の続きだ」
「ご飯が無事でよかった」
　刀も心ゆくまで納豆メニューを食べ始める。
「うん美味い！　おばちゃん、これどうやって作るの？」
「ああ、それはね……」
　戻ってきた普通の学食のおばちゃんが説明する。
「こういうの良いよな、これからも時々やってよ」
「とんでもない、２度とごめんだ！　水まいたの僕だけじゃないし……」
　斗南が叫ぶ。
「問答無用。食堂内で火事騒ぎを起こした罰は受けてもらうよ。あの騒ぎで逃げちゃった子が多くて余ってるからねえ」
　寧々が斗南の肩にぽんと手を置く。
　目の前には納豆大盛りメニュー。
　絶望する斗南だった……

（僕は騒ぎを起こさないで本当に良かった……）
　斗南に同情しつつそっと学食を抜け出そうとする米太郎のお腹がぎゅるると鳴る。
（しかしお腹すいたなあ……）
「あー、ねえ君」
　まだ眠い目をこすりながら、春樹が美味しそうなメロンパンを差し出した。
「お昼食いっぱぐれたんなら、よかったら食べてよ」
「えっ、いいの？！　ありがとう！」
　自分好みのメロンパンを善意で提供する春樹に、米太郎は心から感謝した。
「どういたしまして。佐藤さん、お待たせ、行こうか」
「にゃー」
　目を輝かせ春樹を見送る米太郎は、まだ受難が続くことを知る由もなかった。
　大事に抱えたそれが唐辛子入り激辛メロンパンだなんて……

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あとがき

担当マスター：天村花海
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ご参加ありがとうございます。

書いていて納豆が食べたくなりました。
けれどリアクション見直しの際出てくるミスが、切っても切っても消えない納豆のねばねばにも思えてきたのでした……
納豆と蜘蛛の嫌いな方、ごめんなさい。

学食のおばちゃんはほかにも『○○デー』を考えていそうですね。
リクエストボックスなんかも置いてあるかもしれません。

それでは、またのご参加をお待ちしております。

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