ある一夜の夢噺｜リアクション

ある一夜の夢噺

　千鳥雅人は目を擦りながら周囲を見回した。
　もう朝かと思えば、まだ夜のようだ。
　藍色の空に星が沢山瞬いている。
　もう一度見回して、いつの間にか外にいることに気が付いた。
　また寝ながら出歩いてしまったのか……一瞬そう思うが違うらしい。
　夜にしては周りが静かすぎる。
　そこでまだ夢の中だと、雅人は判断した。

（夢の中だったら、思ったことがそのまま実現できたりするのかなあ？）

　雅人は黄色い夢飴を口に入れた。
　星の綺麗な空を思い浮かべる。
　目を瞑って、願いを込めて。
　飴の効果もあるのだろうか。
　ふわーっと身体が浮く感じがして、目を開けると空の上にいた。
　フワフワ漂う雲のように、雅人は空を飛んでいる。
　普段日常では目にすることができない光景に、雅人は満面の笑みになる。
　星空には手が届きそうなほど近く、地上はとても遠い。
　地上から見るのとはまた違った寝子島に、心が躍った。

　空で星の観賞を十分楽しんでから、雅人は、飴を舐め終わる前に地上に降りた。
　それから戻るための青い夢飴を探しに行く。
　アタリは付けている。

（駄菓子屋さんに隠してるかな？）

　黄色い夢飴が少しだけ口内に残っているので、そのままふわふわーっと旧市街に向かう。
　よく行く駄菓子屋に着いて、黄色い夢飴とはおさらば。
　これから青い夢飴を探すのだ。

（木を隠すには森の中ーっていうもんね！）