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【新入生歓迎会】挑め! 新入生歓迎大祭、略して……新歓祭!
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●『寝子島☆美食クラブ』見参!
「八番、ライト担当兼役者
アガサ・プレラチ
。露払いに小技を披露します」
ざわざわとざわめきが、さざ波のように広がっていきました。
それは彼女が、『寝子島☆美食クラブ』所属であることを表にしたからのようです。このところ徐々に、名の知れてきた謎の部活なのです。
新歓の舞台には一年生しか立てないわけではありません。三年生ながらアガサは、非公認部活動『寝子島☆美食クラブ』の一員としてステージに立ったのでした。
軍服のような特注コスチューム、頭には大学帽(いわゆる角帽)、白衣を肩からかけています。
スポットライトを操作する、舞台には上がる……両方やらないといけないのが辛いところ、
「その前に、ライトのテスト開始。少々お待ちください」
と言うとアガサは掌に収まる小型リモコンを操作し、自分にスポットライトを当てるのでした。
「ライトや追尾機能のオンオフ、色の切り替えも……ん、簡単ですね」
赤、黄、緑と色を変えたりブラックライトにしたり、動いて自分を追わせたり……と、短時間で一通り試してうなずきました。
この自動追尾型スポットライトはアガサ得意の発明品ですが、完成したのは新歓祭開幕の直前で、満足にテストする時間がなかったのです。彼女のステージはこれから始まる『寝子島☆美食クラブ』の舞台のオープニングアクトであると同時に、ライトのテストを兼ねているのでした。
「さて、それでは順々にスポットライトを強めて……」
とライトの光を強化していった彼女ですが、
「あ」
突然、絶句して動きを止めました。
再びざわざわと、客席がざわめきます。一体なんの「あ」なのか。
ですがおもむろにアガサは、
「……これ以上やっては日焼けしてしまいますね。美白でいきたいと思いますので」
そんなことを言うと、ライトの出力を落としました。ライトで日焼けするものでしょうか? いやいや、アガサの発明品ならありえるかもしれません……などと含みを持たせつつ、
「失礼、それでは参りましょう。取り出しましたるこのペットボトル……飲み口が大きいのが見えますでしょうか?」
彼女は透明なペットボトルを手にして、観客によく見えるように振ります。キャップも普通のボトルより大きく、五百円玉ほどもありました。
「ここに十円玉をたくさん入れます。はい、ざらざらざら……」
十数枚ほど入れました。さらに、用意した水差しから、ペットボトルに透明な水を注いだのです。
「それではこのペットボトルを今から、硬貨で一杯にしてみせましょう」
はいっ、と強くシェイクして見せるとなんと…………ボトルの中身はすべて水になってしまいました。
「……成功しませんでしたか」
ふっと自嘲気味に笑いますが、これはこれで手品としては素晴らしい。大きな拍手が返ってきました。(実は手品ではなくアガサの『ろっこん』だったりするのですが)
「ええ、こういう結果になりましたがどうか、観客の皆さんは絶対に真似しないでください」
読者の皆さんも、もちろん真似しては駄目ですよ。できるできないはともかくとして。
「それでは我ら『寝子島☆美食クラブ』の舞台、とくとご覧ください」
アガサが下がると……なにやら不穏なBGMが流れはじめました。ずん、ずん、と重低音が下腹に響くようなドラムンベースです。
そして突然、すべての照明が落ちました。
忽然、客席の一箇所が浮かび上がります。そこに強いスポットライトが当たったのです。
目にも鮮やかなピンク。それは
葛城 璃人
のバルーンドレスでした。
璃人はテーブルにあった黒いカードを手にしました。どうやら『寝子島☆美食クラブ』会員たるを証明するもののようです。
カードを取ると、璃人はステージに向かって歩みを進めました。
璃人ばかりではありませんでした。
立て続けにぱっ、ぱっ、と次々、客席にスポットライトが灯ったのです。
闇の中、円形の光を浴び、浮かび上がるは美食クラブの勇士たち。
加瀬 礼二
が二本の指でカードを手挟み、颯爽とステージに向かいます。
千子 茶々丸
も立ちます。ころりとそのポケットから小銭が落ちましたが気にせず。
スケッチブックに鷲を描いて
高尾 日菜
が、
外套を翻し、
月ヶ瀬 朔夜
が、
さらに
如月 庚
が、
天衣 祭
が、
三ヶ島 葵
が、
いずれもがカードを手にするや舞台に吸い寄せられるように、スポットライトに包まれ歩み出したのです。
ざっ、ざっ、と進む彼らはいずれも(レプリカの)軍装。
軍服の国籍所属階級章はいずれも別ながら、異様なまでに統一感のある動きで軍靴を慣らします。
突如軍隊が、この場所を占拠したのかと錯覚しそうです。その一方で、高い美意識もあります。
観客たちは呼吸を忘れたように、彼らの進軍を見守りました。
瞬間、確かに『寝子島☆美食クラブ』は、この空間を支配したのでした。
ところが……。
重低音の行進曲に一瞬、カキョンと甲高い異音が混じりました。
同時に、ぶちっと音楽も途切れてしまします。
「あっ、間違えた……!」
どうやら音響係の不手際のようです。エコーのかかった声がします。
「あわわっ、この声も入ってる! ごめんっ!」
声が拾われていることに気づき、
納 十一
は早口で告げてマイクのスイッチを落としました。十一は放送席に入り込み、「面白そうだから裏方やっちゃうぞー」と『寝子島☆美食クラブ』ステージの音響係を(ほとんど独断で)担当していたのです。
講堂天井裏の放送室、
「うーん、説明書も見ずに『テキトーにやっちゃえ』って操作しちゃったからなー」
失敗失敗、とつぶやいて、十一は再度BGMのスイッチを押しました。
「……?」
黒いカードを握ったまま、スポットライトの中で立ち尽くしていた葵ですが、音楽が再開されたので気を取り直して行軍を再開しました。
力強く階段を上がって、軍装の一員に加わります。
かくて全員終結、複数のスポットライトが混じり、ステージが照らし出されました。
壇上には横一列に居並ぶ軍服。
いずれも不敵な面構え。
なんとも壮観ではありませんか。
ただし璃人だけはまだピンクのドレスでした。けれどご心配なく、
「キラキラーなのですっ♪」
どこから出したのでしょう、魔法のステッキを手にすると、璃人はこれを握って一振りしました。
さあこれよりしばし、いわゆるバンクシーン風演出をお楽しみ下さい。
璃人の背景が、星とリボンが乱舞するものとなりました。
そんな中ステッキは七色の光に包まれ、璃人の手を離れて空中に飛び回転。
回転。
まだ回転、回転……ッ!
十数回転して七色の光を四方八方、撒き散らして璃人の手に戻ったのですが、そのとき既に璃人の姿は、フリル付きスカートに改造したオリジナル軍服に変わっていたのです。変身完了というわけですね。
ですがその驚きも冷めやらぬうち、
ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!
客席は飛び上がりました。
礼二が警笛を力の限り吹き鳴らしたからです。
「
刮目!
我らが総統……いや、部長、『岩国ソワカ』さんの入場です!」
その声に応じるように荘厳なBGMが……BGMが?
「……おかしいな」
庚は手元のリモコンスイッチをカチカチと押しました。さっきの妙なミスもそうですが、遠隔操作のBGMボタンがきちんと動作しません。と言うのも実は、放送席では十一が、操作盤を勝手に触ったせいだったりするのですが。
再び、放送室。
「なんか赤いのがピコピコ点いてる? 押せって言うのかなー?」
十一はようやく異変に気づいて、カチリとそのスイッチを押しました。
これでステージには、荘厳な音楽が流れ出したのです。
再開となります。
黒いマントを羽織ったその人は女王のように、しずしずとステージに上がりました。
鋭角に尖った目、
やはり尖った印象の眼鏡、
気のせいか視線までが、ナイフのように尖った印象があります。
「キャハハア! イカにもタコにもスルメにもぉー! この私が
岩国 ソワカ
ちゃんです! ……よろぴく♪」
なんという存在感でしょう。彼女が登場した途端、明らかに空気が変わりました。
圧倒的なオーラのなせるわざなのでしょうか。小さな体ながら、彼女にはブラックホールのような吸引力があるのです。あの海原会長ですらかすんでしまうほどの。
いつの間にかステージ上に用意された黒い玉座、これにどっかとソワカは腰を下ろしました。長い脚を組んで座って、
「さあ、はじめるとしましょうか」
彼女は宣言したのです。
「寝子島☆美食クラブ、その成り立ちの寸劇をね!」
すると舞台は暗転します。
ですが数秒でほの明るくなりました。
なんと、舞台には誰もいなくなっています。
おや……と観客が感じる頃合いを見計らって、ステージ端にスポットライトが点灯しました。
悩ましげに頭を抱えながら、庚が舞台袖より登場します。
「今から語るのは奇妙な運命に導かれた者達の序章だ……さぁ、始めるとしよう。美食クラブ第一話『帝王、死す!』」
またも消灯。けれど今度は待たせません。
次にスポットが当たったのは天衣祭です。
「聞いた話だがこの寝子島には、落神伝説なるものがあるという」
祭は腕組みしながら舞台中央に進みました。
「それに興味を持ち入学してみたこの学校……だが、そもこの落神伝説の内容はどういう意味なのか? 君の意見を聞きたい」
言いながら祭は、ステージ袖に控えている(つまり客席からは見えない)庚に視線を向けました。
『え? 俺?』と視線で庚が問い返すと、
『そうだよ』と同じく視線で祭は答えます。要するにアドリブしろということ。
『無茶振りだなオイ!』視線で庚は言うものの、それくらいこなせなくてはナレーション担当とは言えますまい。マイクを取ります。
「昔々、寝子島に神様が落ちてきた……という落神伝説については皆、知っていることだろう。混沌を引き起こしたこの神だが、海を見ることによって鎮まった。
私見を述べよう。この伝説のテーマは『出会い』であると。
神というのはあくまでその要素で、本質は『山の民と海の民が出会ったこと』にあるのではないか、そう考えたい。古代の人々にとっては大きな意味がある出会いだったのだろう。
そしてここに! 新たな『出会いから始まる伝説』がはじまろうとしている!
言うまでもない、『寝子島☆美食クラブ』の伝説である!
」
「ほう、巧くまとめたものよ」
祭は、ふっと笑んで客席を見渡しました。
「私も徒手空拳で伝説に挑むわけではない。五感には多少、自信がある。その証拠を見せよう。ふむ……客席の最後列、その、矢絣の着物の方!」
「私?」
獅子尾 優華
はいきなり指名されて目を丸くしました。
祭が言ったように、優華の本日の装いは、紫の矢絣着物に紺色無地の行灯袴にブーツを合わせるという、大正時代を彷彿とさせるような組み合わせでした。さらにはここに割烹着を合わせ、黒く長い髪は三角巾で留めて女給さんに扮しております。
優華は本日、給仕役を務めているのです。接客の仕事は経験したことのない彼女ですが、家で厳しくしつけられてきたので、立ち居振る舞いに隙はありません。
「そう、君だ。おっと……動かないでいてほしい。そのブーツの色を当てよう」
優華でなくても戸惑うことでしょう。
たしかに彼女はブーツ履きですが、ステージにはかなり距離があります。しかも客席は満員でさらには暗がり、履物が見えるとはとても思いません。仮に見えたとしても一瞬出たか出ないかの程度……常人ではまず、言い当てることなどできないでしょう。
そもそもブーツだと見破ったところからしてなかなかのものですが(草履の可能性だってあるわけですし)、そこまでは推理できないでもない。活動的なブーツを選んだという想像なら簡単に成り立ちます。ですが色までわかるとは思えないのです。
風紀委員として会場警備も務める優華です。彼女はひそかに視線を走らせました。
隠しカメラの類が設置されている可能性もあるからです。ぱっと見ではありませんでしたが。
人伝いでマイクが手渡され、優華は言いました。
「1年2組 、風紀委員会所属の獅子尾優華です。……それでは当ててみて」
祭はうなずきました。切り揃えられた前髪の下、目にすべての意識を集中します。
逆に言えば、視力以外の五感を絶ちます。
これが、祭の『ろっこん』能力でした。任意の五感を絶つことで、残る五感を際だたせるというもの。絶つ部分が多いほど、強化の度合いも強まります。
見えました。わずかですが、確実に。
「黒。ヒールも黒で、靴紐はないタイプ。飾り金具がついている」
「……正解ね」
どっと客席がわきました。
「ありがとう」
と言って祭は寸劇に戻ります。
「入学し、ふと拾ったこの黒いカード……これは何かの導きか」
「あなたも同じカードを?」
日菜が姿を見せました。彼女の周囲を鷲が舞っています。彼女が舞台に上がる直前、スケッチブックに鷲の絵を描いていたことを覚えているでしょうか。この準備作業で召喚した鷲なのです。これが日菜の『ろっこん』というわけでした。
「ああ、この鷲? ルーくん、って言うの。私の友達」
と告げて彼女は、伸ばした腕の先にルーくんを止まらせました。
「学校で迷子になっていたら、中庭の噴水の前で岩国さんから黒いカードを渡されたんだよね……。カードの裏にあった地図を目印に来てみたんだけど……」
このとき、
「……ということはご同輩ですか……」
眼鏡の弦をきゅっと上げ、茶々丸が姿を見せました。
「盗み見をするつもりではありませんでしたが、お二人……祭さんにはその視力、日菜さんにはその立派な鷲、というように、他人より秀でたものがあるようですわね。お恥ずかしながら私にも、ちょっとした一芸がありますの」
「見せてもらっていいかなぁ?」
という葵に「はい」と返事して、茶々丸は正面を向き、
「実はここに来る途中、硬貨を落としてしまって……先ほどお金を拾ったかた、いらっしゃいます!?」
客席に呼びかけたのです。
「拾ったけどー!」
と、一人の生徒が声を上げました。
ぴん、と一房立った髪が印象的、眠たげな目をした少年です。けれどその瞳はきらきらと、黒真珠のような輝きをたたえていました。
「……あ、もちろんネコババなんて考えてないよー。ちゃんと戻ったら返すつもりだからね-!」
左右に手を振る少年は、
千鳥 雅人
なのでした。彼は確かに、茶々丸が落とした500円玉を拾ったのです。
雅人も先の優華と同様、給仕として活動しているのです。動いているから落とし物回収も素早いというわけですね。なお彼には、エプロンと三角巾がなかなかよく似合っております。
「実はその硬貨は一芸のタネというわけで……」
「一芸のタネ?」
なんとも不思議なことを言うものです。一房飛び出した雅人の髪が、くにゃりと『?』の形に変形しました。
「ええ。ですから、力をお借りしてよろしいですか?」
「いいよー!」
雅人はマイクを使っていないのに、その快活な声はよく響きます。
にこりと茶々丸は微笑しました。
そのとき庚を始めとして既に登場したメンバーたちが、うんしょうんしょと協力してバーベルを運んできました。なんとも重そうです。
しかしこれを見るが早いか、
「お恥ずかしながら私の一芸は、この力……はいっ!」
と、片手で軽々と茶々丸はバーベルを持ちあげたのでした。
「わーっ! すごーい!」
率先して拍手しながら、雅人はなんとも奇妙な気分を味わっていました。なんだか体に力が入らないような……半分ほどどこかに持って行かれたような……その感覚はすぐ消えましたが。
舞台袖から声がしました。
「そーそー、だから……んー?」
葵のようです。
「ま、まさかこれが噂のブラックカード……ではないんだねー……」
と言いながら葵は、ナチ親衛隊 (Schutzstaffel)のレプリカ軍服姿で意味深な笑みを浮かべ、舞台中央に進み出ました。
「もしかしてみんなも、このカードが縁で集まったの~?」
葵は問い、どうやらそうらしいと察した様子で、
「それで、なにか一芸をする流れ……というわけだね~? 隠し芸大会の招待状だったりして~」
あははと間延びした口調で笑うと、葵は舞台袖に戻り鉢植えの花を持ってきました。デジカメも持っています。
「じゃー私もやっちゃうねー。よく見てないと一瞬で終わっちゃうよ~」
鉢植えを高く掲げてもう片方の手でデジカメを操作。
パチリ。
花の写真を撮りました。
花は最初からあまり元気がなくしおれていたのですが、なんということ、葵が撮影するなり、みるみる枯れてしまったのです。
「それっぽいかなー?」
客席からは驚嘆の声が上がります。
さて、ここまでのメンバーは皆、堂々とやってきたのですが、朔夜は違うようです。
「あの……これは、一体どういう集まりですか?」
あきらかに戸惑いながら、そろそろと袖より姿を見せたのでした。
「美食クラブということですわね」
茶々丸が言うと、「ええっ」と朔夜は大げさにのけぞりました。
ここで庚のナレーションです。
「月ヶ瀬は思う……」
というわけで朔夜の気持ちを表現するためか、彼のナレーションは裏声っぽく変化しました。
「そんな! 普通のクラブだと思って入ったのに、そんなの聞いてない! なんてこったい!」
で、このナレーションに合わせて彼女は実に実にオーバーに、踊るがごとく身振り手振り、いかにショックが大きかったかを示すのです。実際がどうだったかはともかくとして。
ところが急に朔夜は態度を豹変させました。なんだか居丈高に言い放ちます。
「一芸を披露せよということですが」
次の台詞を言うのには実に抵抗がありましたが、台本に書いてあるので仕方がない……泣く泣く(といっても偉そうな演技は続けながら)朔夜は言います。
「私の力はあまりにも危険ゆえ、月夜にしか発動ができないよう封印がかかっています。いずれお見せする時が来るでしょう……ククク……」
――私のキャラと違うんですけど!
心の叫びは封印しておきましょう。大体、台本によれば朔夜の役は『20番:常識人(笑)』とあるではありませんか。気になります。『(笑)』というのが。非常に。
ここで璃人が駈け込んできました。
「ふふっ、面白いことになってきましたね~♪」
綺羅星のごとく集いし一堂を眺めて、
「それでは皆さんを集めた主、我らが帝王ことソワカさんをご紹介いたしましょう」
と告げ、魔法のステッキを一振りして光のシャワーを振りまきました。
ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!
再び客席は飛び上がりました。
そう、礼二の警笛です。
「こちらです」
と舞台袖に向かって恭しく一礼する彼はまるで貴公子、警笛を手にするポーズ一つとっても絵にになります。
礼二が頭を上げ、芝居がかった仕草で指を鳴らすと、用意していた薔薇の花弁が、頭上から紙吹雪のように降り注ぎました。
そしてこの薔薇の花が作った道を……そう、鋭い眼をしたソワカが歩んできたのです。
彼女は再度、王座につくと、
「キャハハア! よく集まりましね、選ばれた者たちよ! 今日よりこのメンバーで『寝子島☆美食クラブ』を結成しますよぉー!」
高らかに宣言したのでした。
「美食クラブ……ってことは、美味しいもの探すのかなぁ。ねぇ、ルーくんどう思う?」
日菜が首をかしげると、それを待っていたかのようにソワカは椅子を蹴り立ち上がりました。
「ただの美食クラブぅ……? 甘い甘い」
ばっ、片手を前方に出すと、ソワカのマントが翼のようにはためきました。
「
我々の目的は落ちてきた神の捕獲、及び学校の合法的支配ィ! これを機に大々的に構成員の募集をかけるといたしましょう! おいでなさい、志(こころざし)ある者よ!
」
ドジャァ~ン! 百のシンバルを同時に鳴らしたような効果音が炸裂しました。
このとき彼女の膝元に、貴公子礼二がひざまずいていました。
彼はソワカの黒い手袋を脱がせ、手の甲ではなく指先に口づけて言います。
「嘘は甘く、真実は苦い。帝王の指先はまるで毒をはらんでいるかのよう……つまり貴女の言葉は紛れもない真実なのですね」
恍惚の表情を見せる礼二です。目には情熱。まるで恋する乙女のように。
「その野望……私も一口乗ろう」
舞は宣誓し、葵もニヤリと笑みました。
「学校の合法的支配……ふっふふー、そのときは覚悟するんだよー……」
「ツマラナイ日常ならばいっそ壊してしまえ……なーんてね、なのですっ」
と言うのは璃人、主旨は前向きですがなにやら物騒です。
そんな一堂とは別に、茶々丸は腕組みしました。
「というか、宣戦布告を学級委員がしてどうするのよ……私の目標は生徒会会計なのに……あ、海原会長、生徒会役員選定の機会には、よろしくお願い申し上げますわ」
と、さりげなくアピールするのでした。……さりげなく?
最後に朔夜が一歩進み出て、
「というわけで美食クラブは新規加入者・挑戦者募集中! 私たちの戦いはこれからです!」
どーんと呼びかけて、終了!
なんというか、圧倒されるばかりの寸劇で、客席からは拍手すらありません。手を叩くことすら忘れてしまったかのようです。
「仕方ないですね……」
この反応を見てソワカは意を決しました。
「それでは皆様、ご機嫌よう。ですがお忘れなく……我々は帰ってくるでしょう……必ず!」
と言うなり、『自爆スイッチ』と書かれた玉座のボタンを押したのです。
たちまち王座から、もくもくと湧き出る煙にぱちぱち火花。これに紛れて彼女は……いえ、ソワカのみならず『寝子島☆美食クラブ』の面々はすべて姿を消しました。これが、『帝王、死す!』というタイトルの意味だったようです。
「次回予告!
もつれた糸は手繰り手繰られ相寄る運命。巨大なキャンバスに描かれた壮大なる茶番。
そして、帝王は叫ぶ……『スゴクイィ!』と。
次回、『逆襲の帝王』!
つーか死んだんじゃねぇのかよ!!」
という庚のナレーションだけを残して。
「……あ? え? これで終わりなんだ」
このとき講堂内に、十一の声が響きました。
「みんな拍手、拍手ー!」
これで観客たちはようやく皆、我に返ったように手を叩いたのでした。
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担当ゲームマスター
桂木京介
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
学校生活
学校生活
定員
1000人
参加キャラクター数
80人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年01月01日
参加申し込みの期限
2013年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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