【新入生歓迎会】挑め！　新入生歓迎大祭、略して……新歓祭！｜リアクション

【新入生歓迎会】挑め！　新入生歓迎大祭、略して……新歓祭！

●ありがとうと、おめでとうを
　
　拍手を受けながら御剣刀が、幕の下りたステージの上に現れました。
　刀の役目は締めくくりのスピーチ。
　彼は一年生を代表して、モノローグの形で謝辞を述べるのです。
「今回、俺は自分たちの予習と在校生の振り返りとして、新歓祭のこれまでの記録を調べてみました」
　マイクのスイッチを入れ、彼は静かに話し始めました。
「先輩たちが過ごしてきたこの一年はどんなものだったのか？　それを知りたかったから。
　楽しかったのかもしれない、苦しかったのかもしれない。
　俺には想像するしかないけれど、それぞれの行事に関わった人が想い出として語れるのなら、思い入れのある良い一年だったのだと思います」
　来年の自分は同じ気持ちでいられるだろうか――そんな想いも刀の中にはあるのです。
「記録を調査する中で俺は感じました。この新歓祭に関わった人たち、つまり先人からの言葉を聞ける機会は貴重だろうと。
　なので今回俺は、その言葉を新歓祭の出し物にしようと集めてみました。
　……聴いて下さい」
　一旦言葉を切り、得てきた言葉を刀は語ります。
　これは彼が数日かけてインタビューを行い、上級生やＯＢたちから集めたメッセージの一部です。

『去年は企画から運営までを担当しました。表舞台に立つことはなかったけれど、本当に良い思い出ができました。共に働いた仲間とは、今でもずっと友人同士です』（二年生・女）

『私が一年のときは演劇をやりました。自分の役は、台詞が二つしかない端役……。でも、これまでの人生、人前で劇をすることなどなかったので、前夜は緊張と不安で眠れませんでした。
　実をいうと当日の舞台のことは、頭が真っ白になっていてあまり覚えていません。
　けれど終わったとき、仲間と一緒にたくさんの拍手を耳にして、これ以上ない充実感がありました。
　そのことだけは、今でもはっきりと覚えています』（ＯＢ・男）　

『辛かったけど楽しかった。やったのは組体操。怪我もしたけれど、後悔はしていない』（三年生・女）

　言葉と言葉の合間に、幕にはスライド映像が流されました。
　すべて、過去の新歓祭の撮影です。
　たくさんの顔があります。
　真剣な表情、困り顔、爆笑している顔……その中には、カエルの着ぐるみを着た海原茂の若き日の姿もありました。
　
『昨年一年だった僕は何の手伝いもしなかったんだけど、がんばる同学年の皆に勇気をもらった気がする。だからせめて、今年と来年は後輩のために協力を申し出たい』（二年生・男）

『ありがとう。ただその一言です。
　二年前、声援をくれた先輩方にありがとう。
　昨年、楽しませてくれた一年生たちにありがとう。
　今年も……その言葉でしめくくれたらいいな。そう思っています』（ＯＢ・女）

「以上です。先輩方、俺たちを迎えてくれてありがとうございました！」
　刀が頭を下げると、大きく温かい拍手が彼を包みました。
　それはまぎれもない、承認の拍手なのでした。
　おめでとうございます、新一年生たち。
　おめでとうございます。あなたたちはまぎれもなく、この学校の生徒です。

　そして『寝子高クイズ』も最後になりました。
　第五問は特定のお話が問題ではありません。その問題とは……これでです。
「問題：四問目までを全問正解したのは何人？」
　これは相当に難しいのではないでしょうか。
　集計後に結果発表……と行きたいところですが、さすがに当日は無理でしょう。
　予想してみてください。いつか発表の機会がある……かもしれませんので。

　それでは長らくお付き合い下さいましてありがとうございました。
　このお話はここで、おしまいです。

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