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時計の針がコチコチと進んでいる。
コチコチコチコチ、ペースを乱すこともなく。
もちろん、乱されたら大変なんですけども。
生徒が問題を解く間、
倉前 七瀬
はすることもなく、ぼんやりと時計を見上げていた。
木天蓼大学では、就職セミナーA日程がはじまったころだろう。友人の賢持剣吉は「七ちゃんも一緒に行くっちゃ」などと言って、七瀬の分まで申し込んでいたらしい。
ふむん、勝手に申し込むとは、剣吉にも困ったものです。
……まあ、バイトの予定が入ってなければ行ってもよかったですけど。
剣吉はうまくやっているでしょうか──。
コチコチ進む秒針が、ようやく五周を終えた。
「はい、そろそろ五分ですよ。お、できてますねえ」
七瀬がバイト講師をしているのは、個別指導塾『秀才コンバット』寝子島校。普段は夕方から夜にかけて教えているが、夏期講習中の今日は真昼からの仕事だ。『目標校にむかって匍匐前進!』という意味のわからないコマーシャルで、それなりに知られている塾でもある。
教え子の中学生は、採点する七瀬を上目づかいでにらんでいる。しかも、
「う~」
とうなっているではないか。
そんな顔されると緊張するんですが……。
それでも八割はできていた。「合格点。いい調子です」と七瀬が言うと、教え子は安堵の息を吐いた。
芋煮 紅美
というその少女について、七瀬は着任前から話を聞かされていた。「扱いづらい子」なのだという。ひどい人見知りで、短気。これまでに三人の担当講師が変更になったらしい。
七瀬が紅美を教えだしてからもう三回目になるが、これまで彼女が怒り出したり、「講師替えて」と言い出したりしたことはない。早いときには初回途中で講師交替の希望が出たというから、気に入られたかどうかはさておき、それなりの評価は得ているのだろう。たぶん。
数学を適当なところで切り上げて、次は歴史に入る。
「ああ、ここは暗記するしかないところですね。覚え方は、ええと、ほら、甲子園でもなんでも、夏のほうが盛り上がるとやないですか。だから大坂冬の陣が先、夏の陣が後。そんな感じでどうでしょう?」
我ながらこじつけだとは思う。自分だったら一度見ただけで覚えてしまうので、暗記のテクニックなんて考えたこともないのだ。
ぷっ、と紅美が笑った。
「どうでしょう、って何」
あ、はじめて。
七瀬は思った。
はじめて、言葉を返してくれました!
人見知りなのは本当らしく、これまで七瀬に対しても、紅美は「はい」とか「ちがう」とかくらいの短い言葉しか発しなかったからだ。
紅美の指導は七瀬にとって、時計音をずっと聞くだけの時間だった。
どうやらそれも終わり……になるといいんですが。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年09月14日
参加申し込みの期限
2026年09月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年09月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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