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「まずは手近な人とペアを組んで、お互いに質問を出し合ってください」壇上のキャリアアドバイザーが、マイク越しに宣言した。「できるだけ知り合いではない相手で。席は移動して構いません」
実璃が期待のこもった目を向けてきたのはわかった。マリエッタとしても、楽をしたい気持ちがないわけでもない。でも実璃の指導担当として、そして自分のためにも、安易な道は避けることにした。
「社会人としてのマナーを身につけるという意味では、全然知らない人と話したほうがいいと思うよ」
笑って席を立ち、組めそうな相手を探す。
視界の端では、ひょろりとした男子学生が大げさな身振りで女子学生に話しかけていた。相手が冷然とした目を向けると、彼はそそくさと退散しつつもなお、他の女子を物色している様子だった。悩みなんてなさそうで、少しだけ羨ましい。
どうせなら、あまり私の周囲にいないタイプがいれば。(もちろん、さっきの男子は例外として)
といっても、「有名企業への就職に強い大学」ランキングで常に上位にのぼるマタ大だ。そうそう規格外のタイプは──。
いた。
マリエッタに声をかけられた男子学生は、刈り込んだ髪が逆立つような反応を見せた。
「え、ぼ、僕ですか……!?」
暑い季節ゆえおかしくはないが、それでも目立つ。なぜなら彼がタンクトップを着ているからだ。しかもその下にあるのは、積み上げられた土嚢みたいに分厚い筋肉だ。背も高い。肩幅も広い。短パンからのぞく両脚も丸太さながら。一方で鼻は低くて目も細い。
マッチョマンと向かい合って座る。
「私はマリエッタ・ラシュリエ、D2です。あなたは?」
「お、重(おもし)って言います」
名は体を表すというやつか。特に必要はないのだがつい気になって、「フルネームは?」と尋ねてみる。
彼の顔は真っ赤だ。「す……」まるで恥じらう乙女のよう、消え入りそうな声で言ったのである。「錘左衛門です。
重 錘左衛門(おもし・すいざえもん)
……理工学部二年です」
苗字もヘビーだが名前もヘビー、名は体を表すの二乗ではないか。しかし体格こそ表せど、心を表す名ではないらしい。錘左衛門は見るからにブルブルとしている。ひょっとしたら彼、ここでマリエッタが「バン!」なんて大声を上げようものなら、木っ端微塵になってしまうのではないか。
それでも数分話すうちに、錘左衛門は少しずつ肩の力を抜いていった。配られた資料に質問例が載っているのもありがたい。マリエッタはそのひとつを指で押さえた。
「将来、やってみたいことは?」
「えっと……笑わないでくださいね」
「笑わないよ」
「僕、ファンタジーが好きで。物語に出てくる城とか街とか、ああいうのを自分で考えて、形にしてみたいんです」
城壁や街の道筋を語るうちに、錘左衛門は少しずつ顔を上げていった。
「ゲームを作るとか、そういう仕事ですか?」
「わかんないです。役に立つのかも、食べていけるのかも。でも、ずっと好きなんで」
言い終えてから、彼はまた恥ずかしそうにうつむいた。
マリエッタは、こっそりと自分の資料に視線を落とす。志望業界の欄は、まだ空白のままだ。
好きだから、形にしてみたい。
錘左衛門が口にしたのは、それだけだった。仕事になるかという問いに答えが出たわけではないのに、マリエッタはもう少し、彼の考えた街の話を聞きたくなった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年09月14日
参加申し込みの期限
2026年09月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年09月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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