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はたらくよ
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総司を見送って紫も席を立った。さて、誰と話そう。
認知心理学の研究者志望としては、どんな相手でもかまわない。常識人でもその逆でも、サンプルとしては面白いから。
私はどんな相手とペアを組むことになるのだろうか。
せっかくだから、あの女子ばかり狙っているようなひょろりとした男性でもいい。青い髪の美形男子も面白そうだし、ひたすらキョロキョロしている女子にも、総司に似た必死のオーラが感じられて興味をひかれる。
「あの」
そう考えていた矢先、背後から声をかけられた。振り向くと、いくらか気弱そうな女の子が立っている。
紫は「何か?」と首をかしげ、安心させるようにほほえみかけた。
栗色の髪に中肉中背。いわゆる『近所のお姉さん』というたたずまいだが、照れくさそうな笑顔には好感が持てた。
「ペアになってもらって、いいですか?」
「もちろんです」
彼女──
成小 瑛美(なるこ・えいみ)
は紫と同い年だった。昨年後期から大学を休学しており、この秋に復学する予定なのだという。
「一年、アルバイトでお金を貯めていたんです。学費が足りなくて」
瑛美は言いにくそうに、けれど隠す様子もなく言った。
一年。紫は反射的に、自分のこれからの年数を数え直していた。院試、修士、その先……。一年欠けたら、計画の全部が後ろにずれる。遠回りという言葉が頭に浮かんだ。
「大変でしたね」
「最初はそう思いました」
それでも瑛美は保護猫カフェやメイド喫茶などで働くうち、以前より人に話しかけられるようになったという。
「猫カフェの仕事は、これからもつづけたいんです。それから……」
瑛美は言いにくそうに、一度口を閉じた。
「キャバクラでも働いています。接客のことで一番勉強になったのは、そこかもしれません」
「そうなんですか」
紫は瑛美の服装をもう一度見て、キャバクラで働く彼女を想像できなかった自分に気づいた。偏見はないつもりだが、会ったばかりの人を、見た目で決めつけかけていたらしい。
でも、成小さんにとって、すごく意味があったことはわかる。
遠回り。休学の話を聞いて最初に浮かんだ言葉を、紫は心の中で取り消した。瑛美は失った一年の話をしているのではない。そこで得たものを、自分の言葉で話しているのだ。同じ365日という時間であっても、本人がどう意味づけるかで価値は変わってくるだろう。認知心理学のテキストで読んだ理論が、初めて人の顔をして目の前に座っている──紫はそんな感覚を覚えていた。
それからは瑛美のほうが質問する番になった。紫が認知心理学の研究を続けたくて大学院を目指していると話すと、瑛美はうなずきながら聞いてくれる。相手の話を邪魔せず、次に何を聞けばいいかをよく見ている。キャバクラをはじめとする接客の場で身につけたものなのだろうか。
「紫さんの研究の話、また聞かせてもらってもいいですか」
「ええ。私も、成小さんのアルバイトのお話をもっと聞きたいです。今度、猫カフェに行ってもいいですか?」
するとたちまち、ぱっと瑛美の表情が明るくなったのが判った。
「ぜひ。猫たちも紹介します!」
「じゃあ、連絡先を交換しましょう」
スマホを取り出し、紫は瑛美にNYAINのQRコードを見せた。瑛美はためらわずに応じる。
紫にはまたひとり、友達が増えたようだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年09月14日
参加申し込みの期限
2026年09月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年09月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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