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フラグメントはランダムにだよ~ん
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【愛が見えなくなっても】
透けてゆくのだ。日々、少しずつ。
「…………」
綾辻 綾花
は手のひらをかざす。その向こうには白い壁が、白い天井が、窓の向こうの街並みがかすかに透けて見えた。差し込む陽光も風に揺れる樹々の枝葉も、道行く人々の姿も。
薄めくのはそればかりではない。
「透明病の明確な治療法は、残念ながら確立されていません。その……」
「はい。はっきりと言ってください。そのほうが、少しは気が楽ですから」
「……あなたの姿、そして存在感は徐々に希薄となってゆくでしょう。いずれ誰もあなたを見ることができず、認識することもできなくなるでしょう……」
「そう、ですか」
医者の言葉が空虚に耳を通り抜けてゆく。病を自覚し病院を頼ってから数週間が経ったが、数え切れないほどの検査に忙殺されたわりにひとつでも好転するようなことはなく、結局のところ諦めるしかないと告げられたのみだ。
「もっとも……このままいけば、世界人口の半分が透明病に罹患し、消失すると言われていますから。私にも他人事ではありませんな、ははは。なんて……気休めとは、ならないでしょうが」
「いえ。お気遣いありがとうございます」
らちが明かず、検査という名の実験や研究に付き合う義理もなく、ほどなくして綾花は退院し自宅へと戻った。
鏡に映る自分はやはり、うっすらと透けている。数日前よりも少しばかり、症状は進行したように思えた。
街を歩くと驚かされることが増えた。透明病が進んだ患者は風にただよう幽鬼のごとく、明滅するように現れては見えなくなるのだ。
どのような作用か、発症した者は視覚的にではなく存在感そのものが失せてゆく。身にまとうものや携帯する品もろともに消えてしまうから、どうあってもその人を認識することができなくなる。綾花もいまや、深く大いに自覚するところだった。
「……!! ああ……ごめんよ。少し驚いただけだから。いらっしゃい、綾花さん」
「こんにちは、珪さん。今日はあたたかいですね」
戸惑いを隠せない
早川 珪
に、せいいっぱいの笑顔を浮かべてみせた。
珪の住むアパートを訪れるのはもう何度目のことだろう。恋人同士となり逢瀬を重ねてきたが、このところその頻度は増えていた。
「今日は……泊まっていっても、いいですか」
「ああ。もちろんだよ」
不安でたまらない。受け止めきれない。彼の前から、自分という存在が失せてしまうなんて。離れている時間が不安で仕方なくて、震えるほどにおそろしくて、幾度となく彼を訪ねずにいられなかった。
「珪さん……」
「綾花さん?」
だから顔を合わせるたび、綾花は彼を抱きすくめ、彼のにおいを鼻腔いっぱいに吸い込んだ。自分のにおいを彼へ染み着かせるようにして、かたくかたく抱き締めた。そうして彼に触れていなければ、今にも自分がばらばらに砕けて消えてしまいそうに思えたので。
──ある日の朝、珪はリビングのテーブルに据えられた花瓶に気づいた。見たことのないものだ。
花瓶には青く小さな花弁をいくつも広げる、可憐な切り花が生けられている。勿忘草(わすれなぐさ)だった。
「……綾花さん?」
彼女という存在が失せてから、どれほどの時が経っただろう。もはやなにも覚えてはいない。記憶があいまいだ。
ただ泣いて、落ち込んで、また泣いて、思い出して、写真に残る顔を指でなぞりながらまた泣いて、嗚咽をもらし、地の底まで転げ落ちてゆくような気分を味わい続けている。
けれど時折こうして、花はそっとテーブルへ現れた。誰かが気づかぬ間に、そこへ置いてくれるようだった。
似たような事例を耳にしたことがある。透明病の蔓延以後、見慣れぬものが唐突に眼前へと現れるのだと。そんな噂が風に乗って届くのだ。
「そこに……いるのかい」
人々は疑いながらも信じるほかなかった。ほかにどうしろというのだろう。今もって存在するのだと、わが目に見えぬだけで見守ってくれているのだと、そうとでも信じていなければ……あまりにも、哀れではないか。救われないではないか。
「ああ。大丈夫だよ。忘れてなんていないさ。頼まれたって、忘れてやるものか」
だから珪は、立っていられる。足元は揺らぎ止まってしまいたくなるが、抗い続けている。そこに今も存在するのだと、そう信ずるかぎり、膝を折るわけにはいかないから。
「……そ、そんなに感動してくれたのかい? なんだか照れるなあ」
山と積まれた冊子のひとつを手に取り、いつの間にやら綾花の頬にはひとすじ、雫が伝っておりました。珪に手渡されたハンカチで目元をぬぐうと、こくりうなずきます。
「とても感情移入してしまって……思わず主人公のふたりに、自分と珪さんを重ねて読んじゃいました。だってこんなふうになったら、とても悲しいから……」
珪が学生時代に執筆したという短編のひとつは、彼と文芸部で先輩・後輩の間柄であった、今ではふたりの共通の友人でもある
馳 つるぎ
が届けてくれたものです。古書の整理をした折に、書架の奥の奥から見つけたのだそう。かつては精力的に執筆されたそうした作品たちは、時の流れを経てあちこちへ散逸してしまったものの、時々こうしてひょっこりと顔を出すことがあり、そのたび綾花を楽しませてくれました……珪はどうにも、照れくさそうにしておりましたけれど。
「これは、いくつか書いた
お話
のうちのひとつでね。透明になってしまう病気が蔓延する世界を描いた、いわゆる連作短編だったんだ」
「不思議な世界観で、珪さんらしい語り口が見られて楽しかったです」
「それなら良かった」
ほうとひとつ息をついて、綾花は作品の余韻にひたります。本当に自分が消えてしまったなら、こんなに辛いことはないけれど……ま、フィクションの中のことですから。
「ふふっ。また珪さんのお話が見つかったら、読ませてくださいね♪」
悲しいけれど、切ないけれど、だからこそ胸に染み入るほんのりあたたかいものを、綾花はページをぱたんと閉じるように、胸へとしまいこみました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年01月26日
参加申し込みの期限
2026年02月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年02月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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