逮捕しちゃうんだから！｜リアクション

逮捕しちゃうんだから！

　オープン！　

　お昼の12時になる少しだけ前。
「はーい、準備オーケーですかー？　もうすぐ開店しますんで元気よく声出していきましょー」
　ひとりの女性の声が、店内に響いた。
　この警察居酒屋の店長のものだ。
　アルバイトたちは一列に並び、敬礼のポーズをとって大きな声で返事をする。
　その隊列の中に、塔ヶ崎璃亜はいた。
「えーと、璃亜さんは今日が初日よね？　とりあえず今日はホールをやってもらうんで、研修で教えた通りに。わからないことがあったら、すぐ近くの者に聞くようにね」
「はいっ、頑張ります」
　店長の言葉に頷く璃亜。その格好は、他の女性バイトがしている婦警の格好よりも若干目立っていた。
　スカートの丈的な意味で。
　そう、どういうわけか、彼女のスカートだけ、やたら短かったのだ。ミニスカなポリスだ。
　璃亜は恥ずかしそうにスカートの裾を押さえながら、小さく呟いた。
「着る前から思ってましたけど、やっぱりこの格好、恥ずかしいですね……クラスメイトに見られたりとかしたらどうしよう……」
　しかし、どうしようなんて思ってもしょうがない。彼女の身分はアルバイト。自分の勤務時間は、働くしかないのだ。
　心にそう決めたと同時に、時計の針が真上で重なった。
「さあ今日も笑顔でお客様を取り締まり！」
　店長が明るい声で告げ、お店のドアのカギが開いた。

このページにイラストを設定する