河童の七夕｜リアクション

河童の七夕

◎また遊ぼうね！

「そういえば、ギリギリ何時までに帰ればいいのかな？」
　先に確認しなきゃ、と思いつつ聞きそびれた疑問を円が口にした。
　天上から、オレンジの光がさしてきていた。
「楽しかったけど、いつまでもここにはいられないね……
　日が沈む前に、みんなで帰ろう」
　羽衣が言う。
「長いこと遊んでたらますますカッパに近づいてきた？」
　寿美礼も自分の緑の肌が気になってきた。
「ずっと泳げるこの世界も魅力的だけど、お兄ちゃんが心配するし遅くならないうちに帰らなきゃ。
　今日はどうもありがとねっ」
「本当に有難うなのよー。とても素敵な世界だねぇ。
　やあ、だから俺も知りたいことあったら何でも聞いてねぇ」
　伸幸が言い。
「町で一緒に遊べたら楽しいかな、ってさ。旧市街なら案内するよ」
　と刀も笑みを浮かべる。
「また遊びにくるからね、約束！」
　アマタロウと握手を交わす羽衣に、ケンとカケルが続いた。

「猫鳴館は寮監なし門限なしなので夜に何かイベントがあるなら見て帰りたいのだー」
　まだ帰りたくない真央が言う。
「ゴメン、オソクナルト　カカニ　シカラレル。カエリミチ　アンナイデキナクナル」
　すまなそうに言うアマタロウ。
「ナラ、ボクガ　エスコートシヨウ、マドモワゼル。夜明ケノ　生魚ヲ一緒ニ食ベナイカイ？」
　フランソワが声をかける。
「ありがたいけど、真央ちゃん生魚は遠慮したいのだ……」
　真央がごぼぉっとあくびをする。薄明りしかない河童の世界は暗くなり始めていた。
「水の中だから？　けっこう眠くなってきたのだ。
　アマタロウちゃん今日はありがとうなのだ真央ちゃん眠くなったから帰るのだ」
「ウン、マタネ」

「この体、水から上がったら戻るのかな？」
　まほろの呟きに真央が答える。
「このまま帰っても仮装と思われるだけだと思うのだ。気にせず帰るのだ。
　格好を気にして帰れない人は猫鳴館で休んでいくといいのだ」
「やあ、俺の部屋になら人目につかず帰れるのよー」
　伸幸も言う。
「うーん、おじいちゃんたちが心配するから……」　
　まほろは、老河童の姿を自分の祖父に重ね合わせているようだ。

　修は名残惜しそうなミストを、
「また連れてきてやるから」と言いながら撫でた。
「そうだ」
　さっき助けてくれた日向を探す。
「さっきは、そして今日はありがとう。自己紹介が遅れたが、１－５の八神修だ。
　よろしくな」
「こちらこそ、よろしく……」　
　日向も笑みを返す。
「一緒に帰るか」
　伸ばした手を、そっと掴み、泳ぎだした。

　川から上がると、体が重かった。
　だが夕闇が迫る空の一番星が、とても美しく思えた。

　ちなみに、真央は撮った写真を後日ねこったーに『僕の私の作ったＵＭＡ』と題して投稿した。
『キュウリを売るカッパか。よくできてるね』等、一日くらい話題になったようだ。

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あとがき

担当マスター：天村花海
ファンレターはマスターページから！

ご参加ありがとうございました。

ガイドで、河童の大人たちの人間に対する感情に触れておらず申し訳ありません。
来るものは拒みませんが、人間に対して警戒心は持っています。
屋台の撮影は成功していますが、スマフォのカメラだとあまり綺麗には写っていません。

河童の姿は、水から出て１０分くらいで元に戻っています。
遅くまでいたい人があまりいらっしゃらなかったので、夜の部はなしとさせていただきました。

それでは、またのご参加をお待ちしております。

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