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珪が浴室へと向かう音を聞きながら、綾花は冷蔵庫を開けた。
なかに収まっているのは、買ってきたばかりのじゃがいも、人参、玉ねぎに牛バラ肉。それに卵と鶏もも肉があった。あまり使っていないキャベツも見つかる。それにもちろん、珪が刻んでくれた小松菜も。
肉じゃがを作ろうと決めた。それと、キャベツと鶏肉の卵スープ。副菜は小松菜のおひたしなんて合いそうだ。
まずはじゃがいもの皮をむく。ピーラーはなくたって大丈夫、綾花が包丁を入れるたび、薄い皮が落ちて白い肌がのぞく。水にさらすと冷たさが指先をなでて、雨の感触を思い出させた。
人参は短冊に、玉ねぎは薄く切る。
鍋兼用のフライパンに、ごま油をひいて牛肉を炒める。じゅう、と小気味いい音が弾ける。肉の色が変わったところで野菜を加えた。木べらを回すたび湯気が立ちのぼり、甘い香りが部屋に満ちていった。砂糖と醤油、みりん、出汁。綾花は計量カップを使わない。量は目分量だ。母の台所を手伝っていたころの感覚は体にしみついている。
アルミホイルで落とし蓋を作り、これをかぶせて火を弱めると、コトコトと心臓の鼓動のような音が流れ出した。
つづいておひたしに取りかかる。
まずはみりん、それも煮てアルコール分を飛ばしたものを用意する。
小鍋に湯を沸かす。沸くまでの間に白だし、うすくち醤油、塩とみりんを混ぜて合わせ地にする。
湯が沸いたので塩少々を足した。小松菜を茹でるのだ。四回に分けて茹でるのが綾花の好みだったが、珪の刻んだ大きさがまばらだったので三回にしておく。三十秒程度茹でて流水で冷やし、ざるに上げてよく絞る。初心者は絞りすぎたり、逆に絞りが足りなかったりするのだけど綾花の手つきはプロ級、絶妙なあたりに仕上げている。
合わせ地を加えておひたしは完成。粗熱が取れたあたりで冷蔵庫に入れよう。
そしてスープの準備をする。
タマネギは透き通るほどの薄切りに、鶏もも肉はひと口大に切ってから塩コショウして片栗粉をまぶす。キッチンを汚さないよう、塩コショウから片栗粉は透明なポリ袋に入れて行う。
鍋に水を張り、みりん、めんつゆ、鶏ガラスープの素を加えて煮立てる。キャベツをちぎって加え、再度沸騰したところで鶏肉を落とす。だしの香りがゆっくりと立ちのぼる。軽く煮立てたら、溶き卵を静かに流し入れる。
ボウルに卵を割り入れ、菜箸で手早くかき混ぜてで溶き卵にする。溶き卵作りには自信ありの綾花である。コツは、できるだけ細い箸を使うことと、白身を切るように心がけ素速く混ぜること。
鶏肉に火が通ったのを確認して、溶き卵を流し入れた。ふんわりと卵が広がり、鍋の中にやさしい色が生まれた。
料理をしていると、時間の流れがやわらかくなる。
さっきまで浴室の湯気の中にいたのに、いまは、だしの香りに包まれている。
しばらくして、ドアが開く音がした。
「もうすぐできますよ」
「いい匂いだね」
珪が姿を見せる。濡れても、やっぱり端正な顔立ちだ。水気を帯びて魅力は高まっているような気がする。
「肉じゃが?」
「はい。ちょっと味見してもらっても?」
小皿によそって匙とともに差し出すと、珪は一口してうなずいた。
「優しい味だ。……綾花さんらしい」
なんでもないやりとりなのに、胸の奥がふわっと温まった。
鍋のふたを開けると、ほっくり煮えたじゃがいもが顔を出す。楊枝を手にして刺すと、期待通りしっかりと煮えていた。
テーブルに器を並べ、向かい合って座る。
「いただきます」
声が重なった。
肉じゃがのじゃがいもは少し崩れていて、玉ねぎの甘さがしみている。スープはあっさりとして、体の芯から温まる味だった。そして小松菜のおひたし、箸休めとしてちょうどいい味加減だ。
食事をしながら、珪はほとんど話さない。けれど沈黙は気まずいものにはならない。彼の静けさが、この部屋の丸みを保っているようだった。
窓の外ではまだ雨が降っているようだった。ときどき、かすかに滴る音がする。
でも、と綾花は思うのだ。
部屋のなかは、あったかい。
食後、珪は食器を洗いながら「今日は泊まっていけば?」と言った。特別な含みのある口調ではない。ごく自然に出た言葉に聞こえる。
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
泊まる予定ではなかったものの、そこはひとり暮らしの気楽さだ。
パジャマはこの部屋に置いてある。以前、一緒に選んだ色ちがいのものだ。買ったときのことを思い出すと、胸の奥がやさしく疼(うず)く。袖を通すだけで、ふたりの生活が重なっていく気がした。
リビングの灯りを少し落とすと、静けさが降りてきた。
テレビもつけず、ふたりで同じ空間にいる。
珪は本を開き、綾花はその隣でやはり、自分の本を膝に広げた。すこし大ぶりの図鑑だ。先日、この家に置いておいた一冊。さっそく役に立っている。
言葉がなくても居心地は悪くない。むしろ言葉がないことで、互いの存在がはっきりと際立つようだった。
「ねえ、珪さん」
「ん?」
「こうしてると、音が全部やさしく聞こえますね。時計の音も、本のページをめくる音も」
「かもしれないね」
短い返事。それでも、ちゃんと聞いてくれている。
綾花は微笑んで、また一ページめくった。
その夜、ふたりでベッドに入った。
「週明けだからか、もう眠いね」
「私もです」
「じゃあ、そろそろ」
珪はベッドサイドに手を伸ばし、灯りを消した。
暗闇の中で、綾花は小さな声で言った。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
彼の声はすぐそばで聞こえた。けれどその距離は測れない。
ドキドキする。今夜は彼と、同じ寝床にいるのだから。体温すら感じる。
外は晴れているはずだ。でも、まどろみ溶けけゆく綾花の記憶のなかでは、また雨が降りだしている。
雨音と心臓の鼓動がゆっくりと混ざり合っていく。
とても落ち着く。心地いい。
綾花には、それで十分だった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年10月16日
参加申し込みの期限
2025年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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