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LIQUID -Star Chronicle- 時の波濤編
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【サイドクエスト『愛のゆくえ』(2)】
モヒドという男の印象に限っては、マユラにとっても、まさしくギブソンの語ったとおりであった。つまり『ひねくれ者のクソ野郎』だ。
「分かるだろう? 新入りども。兄貴は組織をむしばむガン細胞だ……これほどに血のつながりを呪ったことはない。血も暴力も単なる手段に過ぎんのだよ。シノギってのはもっとエレガントに、スマートに完遂されるべきだ。分かるだろう?」
「はあ」
事あるごとに彼は『分かるだろう?』を繰り返した。相手の承認を得ねば気が済まないらしい。
マユラの隣にはバーテン服を脱いだアヤトの姿もある。ちらと目を向ければ、アヤトは涼しげな顔で肩をすくめた。
「今日の取引をもってすべてが変わる。ギブソンの野郎が描いた絵図ってのが気にくわないが……まあいい。新入りども、分かってるんだろうな? 失敗は許されんぞ」
「だーいじょうぶッスよ、モヒドのアニキ! ばっちりやり遂げてみせますって」
親指を立てたアヤトのいかにも軽薄なチンピラ風演技に、マユラは吹きだしそうになるのを耐えねばならなかった。
作戦には多重の思惑が絡み合う。ギブソンの目論み。モヒドの嫌厭……兄に対するコンプレックスや嫉妬もあるだろうか。
そしてマユラは、カジノで見かけたふたりの男たちを思い出す。シェイクス一家のドン、コミュの情熱。物憂げな青年<ブルーム>……彼は、ステアー一家のドンの息子でありながら、その性格ゆえに苦悩し、葛藤を重ねてきたという。マユラの目に、彼らはなんだかひどく純粋な存在として映った。
「そろそろ兄貴、いや我らがドンも着く頃だ。ステアー一家との取引の時間だ……名ばかりのな、くくくっ。ではゆくぞ!」
「へい、モヒドのアニキ!」
軽い調子で言いながら、アヤトはマユラへ微笑と、モヒドの隙を見計らいキスを寄せた。なにもこんな時に、とマユラは思うも頬は赤く染まり、モヒドや彼の部下に見られないものかとどきどきした。
「つまり、あのふたりのために……?」
「そうだよお。だっていじらしいじゃないか、人目はばかる恋だなんてさあ」
声をひそめてそう言い、ウォルターはうなずいた。なにか、自身やユズハにも感ずるものがあったのかもしれない。
ユズハの目の前には、すでに取引の準備が整いつつある。ステアー一家のドン、老齢ながら眼光には鋭さを宿す<ガフ>と、その部下たち。中にはあのギブソンの姿もあった。
ギブソンのにやけ顔がユズハとウォルターを見やる。ユズハは小さくうなずいてみせた。
ステアー一家とシェイクス一家、双方のドンが対峙する大きな取引だ。ギブソンが立案した作戦とは思いのほか単純なもので、そのさなかに混乱を引き起こし、隙を突きガフとコミュをまとめて葬り去る。後の実権をギブソンとモヒドが握り、組織の若返りと安定を図る……そんなところだ。
「その作戦で犠牲になるのが、あのふたり……」
ユズハは思わず彼の袖をすがるようにつかむ。ウォルターは微笑みかけ、そっとその手を取った。
「そう。ブルームくんは、ドン・ガフの遅くにできた息子でねえ、溺愛されてる……かばわれてるとも言えるかな。荒っぽいマフィアの世界にあって、ブルームくんは優しすぎてね。とても一家を背負って立つなんてことはできやしない。そんな息子を、彼はどんな形であれ守ろうとしてるんだよ」
「コミュとの仲を、ドンは知ってるの?」
「うん。息子の好きにさせたいと彼は考えているけど、その相手がシェイクス一家のコミュだったのは、誤算だったみたいだ」
クエストは二本の柱をもって進行した。つまりユズハとマユラへギブソンが、ウォルターとアヤトへドン・ガフが発した依頼だ。異なる立場と思惑が交錯し、結実するのが今日この時、この取引なのだった。
「分かったよ、ワット。あなたがそれを望むなら」
「うん」
うらぶれた廃倉庫は、ユズハがとらえられギブソンに連れてこられたあの場所だ。集うステアー一家のもとへ、耳障りな軋みを立てて扉が開き、取引相手が姿を見せた。
「よう、ガフの旦那。邪魔するぜ」
「おう、コミュの坊主。今日の午後が清々しいもんになることを願うよ」
「ああ。俺もさ」
双方のドンが顔を合わせ、多数の部下たちが背後を固め、ここにふたつのファミリーが対峙する。堂々たるコミュの隣には、弟モヒドの卑屈そうな顔。そしてマユラとアヤト、彼女らの顔もあった。
双方おだやかな会談となる予定だった。少なくとも表向きには。
両陣営に分かれたギブソンとモヒド、あるいはマユラとユズハがともにうなずき合った、その時だった。
「コミュの坊主よ。俺たちの間にゃあ、ひとつ解決しなきゃあならんことがあるよなあ」
「そうだな、ガフの旦那。身内の不始末には泣かされるぜ。なあ、弟よ?」
「まったくだな。おい、聞いてんのか? ギブソン、てめえのことだよ」
「兄心弟知らずってか。だが俺はお前を許すぜ、モヒド。ふたりだけの兄弟だもんなあ?」
瞬間、空気が一変した。凍り付くかのようだった。事実、この後の展開を楽観していただろうギブソンやモヒドの表情は、ひと晩氷水に漬けられたかのように蒼白となった。
ステアーとシェイクス、双方のドンを共倒れにさせ後釜に据わる。部下や敵対組織へも根回しを広げつつ進行した彼らの計画はその実、はじめから露呈していたらしい。ギブソンとモヒドの結託を知りながら彼らを泳がせたのはドン・ガフの慧眼。その直々の接触と提案を受け入れたのは、コミュという一見粗暴な若者の秘めた度量だった。
モヒドは完全に心折られたのか、膝をつき身じろぎもしない。いっぽうギブソンは、
「……こっ」
くさっても策士を標榜する男であり、後詰めを用意していたらしい。
「殺せ!! こうなりゃ構いやしねえ、全員殺っちまえ! 生き残りゃあ俺は、俺はファミリーの……!」
剣呑な目をした黒服たちが廃倉庫へなだれ込み、激しい乱戦へと突入した。黒服は銃にナイフに、魔法をあやつる者もいくらか混じっている。
ドン・ガフをコミュが背にかばい、飛びかかる黒服のひとりを迎え撃つ……が、その刃のひらめきが彼らへ届くことはなかった。
「悪いけど、作戦失敗だよお」
ウォルターの手に握られた双銃が瞬くように火を吹き、黒服たちの武器を弾く。<フリップコイン>、バフのスタックを溜めると即時消費、高速移動と連続銃撃で無力化させてゆく。彼を狙う銃口があれば、ユズハはすかさず<スリープポーション>を投げ込み、局所的な睡眠エリアを作り出して彼らを眠りへといざなう。
「ユズハ、向こうにも一発お願い」
「おっけー、ワット! ……っと、右手に三人、撃っちゃって!」
「ほいほい、ほいっと」
恋人たちの流れるような巧みなコンビネーションは、もはや熟達した冒険者のそれだ。
黒服たちがたじろぎ、コミュやガフの部下たちが気勢を上げたところへ、激しいリズムが響き渡る。
「いよいよ見せ場だな、マユラちゃん!」
「うん、思いっきりいくよ、アヤト!」
<熱唱絶歌>、マユラの燃ゆるような歌声が音響波動を広げ、アヤトの奏でるギターが<ビブラート>でそれを増幅させる。ユズハにウォルター、ドンの部下たちの魂をも揺さぶり、彼らの限界以上の力を引き出した。
荒事に長けたマフィアだが、数多のハードな冒険をこなしてきた彼らにかなう道理はない。黒服たちはもはや成すすべもなく倒れていった。
「お前ら、なにやってる!? 老いぼれとガキのひとりやふたり、さっさと始末しちまえ! モヒド、この役立たずが、こいつらをどうにかしやがれ! 道端のヘドにもおとるくそったれが!!」
ギブソンは完全に狼狽し、つばを吐き散らしながら汚らしく叫ぶ。誰にもどうにもできはしない、それでもみっともなく無様にあがくのはヒステリーにおちいった子どものようだった。
しかしそれにもやがて、終止符が打たれる。ユズハの<ミストポーション>が煙幕を拡散し、マユラとアヤトのセッションに身体能力を高められたウォルターが突っ込み、
「ほい、チェックメイト。残念だったねえ」
双銃の銃口ふたつがぴたりとそろい眉間へ突きつけられるにいたり、ギブソンは歯噛みしつつもうなだれた。モヒドは青い顔をして震えるばかりだった。
数日が経ったころ、ユズハとウォルターはふたたびパナーシェの明るい陽光の下を歩いていた。バカンスを延長することにしたのは、先日巻き込まれてしまった抗争さわぎでいささか心が疲弊し、青空と白雲、海と白波へ癒しを求めたためだ。
が、街をゆくと少々困ることもあった。
「ウォルターの兄さん、ユズハの姐さん、チイッス!」
「お疲れさまッス、今日も仲が良いッスね、おふたりさん」
「はいはい、ちーっす」
「あ、ど、どうも……」
時おりコワモテでガタイの良い連中から声をかけられるようになってしまった。抗争において見せたふたりの息の合った連携やたたみかけるような技能の巧みが、彼らをとりことしたらしい。
「いやあ、まいったねえ」
男たちと別れるなりウォルターはぼやきめいて口にしたが、その顔は朗らかだ。
「でも、後悔はしてないでしょ?」
「まあねえ」
コミュとブルームは人目をはばかりながらも、時には会うこともできるようになったらしい。
彼らが引き裂かれずに済んだことを、ウォルターはことのほか喜んでいるようだ……その理由には、ユズハも思い出の中に心当たりがないこともないのだ。
「好きなのに会えないなんて、つらいもんね」
ウォルターは答えず、ユズハの手を引き、ふたりでしばし南国ビーチの散策を楽しんだ。
すれ違う折に、マユラとユズハは一瞬目線をかわし、小さく手を振り合った。戦友は恋人との逢瀬を満喫しているらしい。
「モヒドはファミリーから追放されたそうだ。始末されなかったのは、兄貴の温情ってやつかな」
「そっか……良かった、のかな?」
マユラの隣にも、アヤトがいる。抗争において一時は引き離されてしまったが、それがためにか、こうしてともに穏やかな時を過ごしていると、よりたがいの存在の大きさを感じるようになった気がする。少なくともマユラの胸は軽やかに高鳴った。
「ギブソンのほうは?」
「行方不明だとさ。けど実際のところは……いや、まあ、触れないでおこうぜ」
とにもかくにも大切なのは、ふたりがここに揃っているということだ。ふたりだからこそ安堵し、活力が湧いてくる。ふたたび新しい冒険へ出かけようとわくわくしてくる。彼のギターとマユラの声で、セッションもしたい。なんだか病みつきになってしまったようだ。
「そういやマユラちゃん、さっきメールがとどいてさ」
「うん?」
「この前、ホテルのディナーショーで
演奏した
だろ? あれが好評だったみたいでさ、良かったらまた出演してくれないかって。どうする、やるかい?」
渡りに船だ。マユラの瞳は輝いた。
「やる!」
「はは、よーし! オレたちの息のあったところ、見せつけてやろう!」
「ふふっ、足を引っ張らないでよねーアヤト?」
「言ってくれるじゃん! オレのテクに惚れるなよー?」
もう惚れてるよ、とするり、彼のふところへもぐりこみ、キスをした。
バカンスはまだもう少しだけ、続きそうだ。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
バトル
ゲーム
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月15日
参加申し込みの期限
2025年08月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年08月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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