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禍語<マガタリ>
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【つい手来い】
「迷わないようにね」
「は、はい! はぐれないように、です」
ぬくもりにはまだ恥じらいがともなった。
羽生 碧南
とて手をつなぐのは嬉しい。大柄でスポーツに邁進してきた碧南のそれにくらべ、芸術を志す
鷹取 洋二
の手はいくらか繊細だし、ややもすれば頼りなくも思えるが、これがつないでみればなんとも、包み込むあたたかさと安心感を兼ね備えて実に心地よい。ずぶずぶとうっかりどこまでもおぼれてしまいそうな、危険な快楽だ。碧南の微笑みもとめどなくとろけた。
それでいて恋人と手をつないで人の群れの中を歩くことにはいまだ慣れず、碧南のまだまだ恋愛初心者ぶりを突きつけられる。恥ずかしい。他者からはどう見えるだろう。自分のような背が高すぎる女が、乙女ぶりっこして……などと思われるだろうか。大丈夫だろうか。どうにも落ち着かず、つい周囲をきょろきょろと見回してしまう。もちろん、誰が見ているでもないのだが。
「例の店は、もうすぐ開店だったかな? 少し急がなければね。ずいぶん混雑するそうだから」
「そ、そうですね。じゃあ……走ります?」
「ははは、僕ではきみの走りについていけそうにないねえ。早足程度にしておこうか」
「はいっ」
冗談めかして言う彼の細めた目尻が好きだ。ゆるく笑む口元も、すうととおった鼻筋も。細い首筋も、ちらと覗く鎖骨のなまめかしさも。つないだ手の存外のたおやかさも、腕に浮き出た血管の思いのほか無骨なラインも。
急くこともなく、少しだけ早まる足取りでシーサイドタウンを行く。どこかむずがゆく、そして陽だまりとぬるま湯のような初夏の空気、こつこつと規則的な足音のリズム、ふたりで歩むこの道が、碧南は好きだった。
「……?」
いささかよそ見をしていただろうか。彼へと盲目的になりすぎていたかもしれない。
「あれ? 洋二さん」
「うん?」
「この道……あってますか?」
「うん。そのはずだけど……おかしいな?」
規律正しく並べられたタイルの上を早足に進む。こつこつと規則的な足音のリズム。つないだ手のぬくもりは健在だが、背筋へかすかに感じる冷たさはいったいなんだろう。
気が付けば、人並みが発する喧噪が失せている。まるでなくなる程ではなくて、ささやき声がそこかしこから小さく届いた。人の行き交う群れはあたりにいくらでも見られるというのに。碧南は自身の耳の不調を疑った。
「よ、洋二さん?」
「うん?」
「あの、声が……」
「声? 聞こえているよ、もちろん。碧南さんのいつもの美声がね、ああ、それにしてもこの道は正しいのか? なんだか自信がなくなってきたな……」
彼は碧南の手を引き、振り返らぬまま言うと足早に前へ前へ。人ごみをかきわけて前へ、前へ。
「あ、あの、洋二さん? 少し早すぎませんか? そんなに急がなくても……」
「いやいや、遅いくらいだよ。間に合わなくなってしまう。もっと早く。もっと早く」
こつこつこつ、規則的だった足音のリズムが徐々に早まってゆく。つないだ手のぬくもり。背に感じるうすら寒く冷たい感触。
人ごみの向こうへ、向こうへ。碧南の悪寒が増した。たしかに休日のシーサイドタウンは賑わっていたが、これほどまでに……先を行く洋二の姿さえ見えなくなるほど人であふれていただろうか。これほどまでに過密であっただろうか。
乳白色の空を見上げる。ミルクにイチゴソースが混じるように赤みがかっていた。
「……っ!?」
空になにかを見た気がした。雲の合間だ。あれは……目、ではなかっただろうか。あまりにも大きな瞳が人々を睥睨しているように見えたが、気のせいか。錯覚だろうか。
「洋二さん、なにか……なにか、ヘンです。洋二さん?」
こつこつこつこつ、規則的。足早に進む洋二の姿は人ごみに紛れてもはや見えず、前方から伸びる手だけが碧南と彼をつないでいる。
「ひ」
ささやき声が渦を巻くほうへなんとはなしに目をやれば、どこかの店先に飾られたオブジェが碧南をじっと見返している。ガラスケースに入った白い首は美しいレースに包まれたまま、青い瞳で碧南を見送った。
「ひ。ひ」
ささやき声。ささやき声。溶け落ちた聖母像は幾本もの足で立ち、腕のない子どもが視界の端を跳びはねる。朽ちて枯れた街路樹に吊り下げられているのは、無数の指だった。
「洋……洋二さ、洋二さん、待って、洋二……」
ぐいぐいと手を引かれるまま、人波を裂くように、もはや駆けるような速さで、
「洋二、さん!!」
彼への信頼は揺るぎなく、けれどぐるりぐるりとめぐるささやきが、目に映るいくつもの部位たちが、這いのぼる悪寒がそれを上回り、碧南は思わずつなぐ手をぐいと引き、足を止めた。
「と、止まってください! なにか、おかしいです……! なにか起きてるし、巻き込まれてるし、ヘンなものが見えて……よ、洋二さん? 洋二さ」
ささやきが失せた。人波は割れ、ぴたりと動きを止めて碧南を凝視する彼らの顔には目も鼻も口もなく。
碧南の眼前に立っているのは、恋する男ではなかった。電信柱だ。一昔前の路傍に見かけたような赤茶けた木製で、樹の幹に絡まる蔓のように、影の向こうから伸びたいくつもの白い手が柱をつかんでいた。上から下まで、隙間もないほどに。
碧南が今の今まで握っていたのは、どうやら、そのうちのひとつであったらしい。
「……碧南さん、大丈夫かい? 碧南さん?」
目の覚めるような青空にはっとして、碧南は我に返った。
「あ……あれ? 洋二さん?」
「ああ、よかった。熱中症かと……急にぼうっとして立ち止まるものだから」
心配そうに覗き込む恋人の顔。つないだままの手は彼自身の身体から伸びており、ぬくもりを帯びてあたたかかった。それでも背中へじわじわと這いのぼる冷たく重い感覚はしばし残り、消えなかった。
メールありがとう! 読ませてもらったわ(ハートの絵文字)
日常のすぐ隣にある異界の存在を意識させられるエピソードね。
ええ、けっこうあるのよ? そういうの。
ランクはCってところかしら。でも、迷い込んだまま出てこられないケースもあるものね。ま、いざとなったら月村さんに連絡すればいいけど……。
ともかく、運が良かったわね(サムズアップの絵文字)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年07月02日
参加申し込みの期限
2025年07月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年07月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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