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この手で、君と。This is where we begin
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影に溶けるよう小径を渡って本館へ。
何とも言えない顔をした少年は、くしゃりと頭を掻いた。
(わかってたんだけどな……)
いくら柚春の幸せを願い、どれだけ世話を焼いたって、自分は人間じゃない。そんなことは『使命』を託されたときから自覚していたはずなのに、どうして今になって溜息が漏れるのだろう。
こうして人の姿をとって、彼女の前に姿を現すこともあったけれど。それでも透破という名前すら自分からは伝えられなくて、曖昧な距離にいる。
「幸せって、なんなんだ?」
1人乗り込んだエレベーターの中で、誰に問うでもなく疑問が溢れた。
自分が生み出されたのは、『柚春が幸せになるまで守ること』のためで、それ以外の存在意義なんてない。
でも、それは彼女が笑えば良いという簡単な話ではなかった。彼女が笑うためにはウォルターが必要で、そのためには面倒くさいしがらみもあって……柚春の幸せは目に見えていたのに、掴んでやることができなかった。
屋上に着き、何度目かの息を吐く。
あんなにも星は輝いているのに、一粒だって柚春の手には落ちてこない。届けてやれないなんて。
(……アレでいいのか? いや、柚春にはアレしかないのか)
そうだと決めたのなら、文句などない。
自分は『兄』でもなければ、彼女が幸せを掴んだなら消えるべき存在なのだから。
(でも、幸せになるからこそ……オレは)
口にすることも躊躇って、静かに星を眺める。
ただ今は、柚春から幸せな報告を聞けることだけを願って、そっと拳を握りしめた。
屋上の反対側は、星空を眺めながら過ごせるレストランスペースになっていた。
座席はカバナ風の半個室ソファ。周囲の視線を柔らかく遮る仕切りと、頭上には開放的な布張りのルーフが設えられていて、プライベートな空間を保ちながらも、満天の星を楽しめるように作られている。
その一席に案内された柚春は、ふかりと身体を沈めながら、うっとりとした表情で夜空を見上げていた。
「さすがにこの近くじゃ、100万ドルの夜景は難しいからねぇ」
苦笑するウォルターが同じようにソファへ身体を預けると、柚春はそっと寄り添う。
まだ夜は肌寒いね、なんて言い訳を用意して肩を触れあわせることが、なぜだか凄く緊張した。
「……ありがとう、ワット」
それでも、これだけは。
昼間は少し困らせる態度もしたし、去年なんて迷惑をかけたかもしれないけど……どうしても今、伝えたい。
「今日ね……17歳の最後の夜に、ここへ来られてよかった」
強がりではなかった。
あれこれと計画を立ててくれたから、こんなに素敵な時間を過ごせているし、きちんと線引きをしてくれたから、こんな気持ちで今を迎えている。
「卒業まで見守ってくれてありがとう。『ウォルター先生』は僕にとって大切で、大好きな先生です」
手を重ねたくなる衝動を堪えて、甲をノックするように叩く。
今まで超えられない壁に嘆くばかりだったけど、代わりに途切れない縁も確かにあった。
けれど、それも――もう終わり。学校という存在がなくなれば、2人は先生と生徒として繋がれなくなる。
(これからはDating? それとも恋人? ……やっぱり、なんて……ない、よね?)
右手を握るようにして、ペアリングの存在を確かめた。
最初の告白で『恋人の席を空けて待ってる』と返した彼と一緒に選んだ指輪は、いつまで『予約の印』なのだろう。
「でもね、ウォルターさんは……もっと特別でずっと傍に居たい愛する人なの」
何度だって伝えられる、いつまでも変わらない想い。
けれど今は、あと数時間は。この歯がゆさの中で待つことしかできないから、柚春は笑った。
「だから、18歳になったら……ちゃんとワットの気持ちも教えて?」
ちゃんと覚えていてほしいと願って、ソファへ座り直す。
この想いは、ずっと地続きなんだってこと。17歳の自分も、本気で恋をしていたこと。
明日になって全てが変わるのではなくて――『柚春』は変わらず、ここに居たってことを。
「……そうだねぇ。待ってたのは、僕だけじゃないよね」
静かな呟き。でも、慈しむ瞳。
照れと期待とが柚春を包み、誤魔化すように運ばれた料理へ歓声をあげた。
「わっ! 見てみて、食べるのもったいないくらい!」
春色に染まった創作懐石。
少し照れくさいほど可愛らしく整えられたひと皿は、恋する心に似ている。
でも、そこで食べられるのを待っているだけではダメなのだ。
(18歳になったら、そのときは僕も)
春風よりも早く届けてみせる。そんな思いで、柚春は前菜に箸を延ばした。
部屋の露天では足湯を楽しもうと約束していた2人は、本館の大浴場でのんびりと過ごした。
考えることも多くあったけど、ウォルターはのぼせないうちにと切り上げて、今は庭園でひと息ついている。
(どうするのが、正解だったのかなぁ)
力強く握っていた手を広げる。街灯に照らされて輝く小さな鍵は、約束の小箱の鍵だ。
……車の中にあると言ったのは、嘘。
本当は、気持ちだけは同じだと……それだけでも伝えたくて、ずっと胸ポケットに入れて持ち歩いていた。
(決して『使えない』わけじゃなかったんだ)
今までの時間を、そしてもちろん柚春を大切にしたいからこそ、今日は使わないと決めた。
好きだから待っていると言ったのに、約束を違えてしまったら――互いに待った時間が、無駄に崩れ去ってしまうような気がしたから。
自制の気持ちから胸ポケットに仕舞い込んでいたけれど。もう一度ぎゅっと握りしめて、ふうっと息を吐く。
「格好悪いなんて、言わないでねぇ」
多感な時期に友を失い、遊びの恋愛しかしてこなかった。
そうして興味を向けられてないとわかった相手に、いつもすぐ捨てられてきた。
ガールフレンドなんて名ばかりで……誰も、真の意味で心の氷塊に気付いてくれなかったし、心を隠しても生きていけると思っていた。
(でも、僕は)
本当は
全てを認めてくれる誰かを、必要としていたのかもしれない。
氷塊を溶かし、心の在処を教えてくれた柚春に、この一言では表しきれない気持ちを気付かれてしまったら。
……受け止めてもらえるのか、それが怖かったのかもしれない。
(それでも、きっと……大丈夫だ)
右薬指のペアリングへ、そっと誓いのようなキスをする。
約束の時間まで、この想いが届くまで……あと、少し。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年07月11日
参加申し込みの期限
2025年07月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年07月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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