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「野々さん、なんだか……」
つい口をついて出た言葉の、その先はさすがに言いよどむ。
「不潔っぽい? だよねー」
「いやそこまでは」
「いいってば、さすがに私も、これはアカンでぇと思ってるよ。文明人として」
あっけらかんと笑って
野々 ののこ
は、頭をポリポリかいたのだ。髪はあちこちはねていて、Tシャツは襟元がべろーんと伸びていた。顔もなんだか浅黒い。
担当教官が海外出張とかで本日午後の講義は休講、昼は学食ですませてもよかったのに、なんだか胸騒ぎがして、英二はランチもとらずまっすぐ下宿へ戻った。そうしたらまるで、英二の帰宅を待っていたかのように、ののこがブロック塀に腰かけていたのだ。伸び伸びTシャツにヨレた短パン、ボロいつっかけサンダル履き、お世辞にもお洒落な格好とは言えない。その姿で、「ハロー、英二くん。今日はお早いお戻りだねえ」とひらひらと手を振ってくれたというわけだ。
「やっぱあれだね」
また頭をポリポリやりつつののこは言った。
「お風呂、三日くらい入ってないから」
「え? 病気でもしてた?」
「うんにゃ。バスルームがね、いまもう物置状態で。入れないの、物理的に」
うら若き独居女性としてはありえない発言、という気もするがののこは平気そうだ。さらに言う。
「なんかさー、ニート生活になったから、真っ昼間からリサイクルショップとか行くじゃない? で、そしたら掘り出し物をみつけちゃったり」
「掘り出し物って?」
「招き猫とか。安かったんだよー。もうびっくり!」
「招き猫?」英二は思わず聞いていた。「なにに使うの、それ?」
「えー? 面白いから買っただけ。んでも飾る場所がなくてねー、しょうがないからバスルームに展示した」
そんな感じでののこは、古いレコード(いわく「ジャケがカッコいい! レコードプレイヤー持ってないけど」)だの、顔が全部異なるマトリョーシカ(「こわいけど面白いでしょ?」)だの、カバーが微妙なでっかいビーズクッション(「座ると沈む感じがやばい!」)だのを、拾ったり、買ったり、もらったりしているという。集めるものに法則性はない。本人なりの『ときめき』基準で持ち帰ってくるらしい。
同じアパートに住んでいるから英二は知っている。階こそちがえど間取りは一緒だ。置き場所なんて、もうとっくにないだろう。かくしてののこは、居住スペースを削るという暴挙に及んでいるらしい。
これって、ゴミ屋敷の住人一歩手前じゃない……?
寮生活のころはルームシェアをしていたから、同居人が部屋を片付けてののこもこれに応じて、崩壊は防げていたのだろう。なのにこの春、ののこは晴れて無職ひとり暮らしとなり、気の向くままの生活をエンジョイしているのだ。
「でもさ、バスルームが物置ってのは、さすがにちょっとまずくない?」
軽く言ったつもりだったのに、思ったより真剣に響いてしまった。ののこは手のひらで日差しをさえぎりながら、きょとんとした目で英二を見つめた。
「んー……そう?」
「まあ、文明人的に」
「それは英二くん、さっき私が自分で言ったやつ?」
ののこがふふっと笑った。明るくて飄々としたその様子が、英二の胸をふわりと締めつけた。
好きだなあ。
野々さんの、こういうところが。
だからこそ叱れない。だからこそ、突き放せない。
「バスルームはなんとかするとして、今日はさ、せっかくだし、銭湯でも行かない?」
「へ?」
「昼の空いてる時間帯なら、のんびりできそうだしさ」
「えー、でも私、タオルとか着替えとか、すぐに用意できそうもないよ? かろうじて下着はあるけどあとはもー……部屋がメチャメチャで!」
「うちにあるやつでよければ貸すよ。Tシャツとか、新品もあるし」
「ふは、なんでそんなに親切なの英二くん。惚れてまうやろ~!」
ののこはからかうような調子なのに、どこか照れ隠しのようにも聞こえて、英二は一瞬、言葉に詰まった。
そう言われたら、どう返すのが正解なんだろう。
惚れてくれていいよ、なんてさらりと返せる柄じゃないし、笑って流すのも嘘っぽい。だからといって真に受けて、本気で言ってくれた? なんて問い返すには、あまりにも気持ちが入りすぎてしまいそうで。
結果、英二は視線をそらして、なんとなく鼻の頭をかいた。
「……あ、うん。ありがとう……」
ののこが笑ってくれたのは、その言葉がおかしかったからか、それとも期待通りの反応だったからか。
「で、そのあと遅めのランチでも行こうか。近くにファミレスあったよね?」
「え、でも……私、お金ないよ?」
ののこが言いにくそうに視線を落とす。招き猫やらビーズクッションに散在していてはいたしかたないか。
「大丈夫、実は今日、スタンプカードいっぱい貯まって、ドリンクバー無料券もらったんだ。同行者も有効のね。使わないともったいないし」
「えっ、マジで? なにそれ運命?」
「うん、運命。……ついでに」英二は膝が震えそうになるのをこらえながら、全力で何気なさを装った。英二思うところの『野々さんっぽい言い回し』を口にする。「ついでに、チーズインハンバーグっていう運命も、どう? ご馳走するよ」
ののこは「キャー!」と両手をあげて、思いきり喜んでみせた。
「じゃあ、チーズイン運命ランチ決定だね!」
英二は少しだけ胸をなで下ろす。
これで、今日は野々さん、ちゃんとお風呂にも入って、ちゃんとごはんも食べられる。
英二は、これを『助ける』なんて思いたくない。ただ、ののこと一緒にいたいだけだ。
こうして、肩を並べて笑っていられるなら、それだけでいい。
できるなら、ずっと──こんなふうに。
銭湯の出口で待ち合わせて、肩を並べてファミレスに移動した。
これってなんだか、同棲中のカップルっぽい?
なんて考えるだけで英二は、ほわほわニヤニヤしそうになる。
湯上がりの火照った体に、氷を山盛りにしたコーラは実に染みる。チーズインハンバーグもだ。とろりと溶けたチーズと肉汁のハーモニー、安価なメニューとは思えない極上のジューシーさである。
しばらくふたりは共通の趣味、ゲームの『Tales of the Sky』(TOS)の話に花を咲かせた。
「ダウンロードコンテンツの『戦蘭の世紀』編がいよいよ佳境なんだ」
「私も! イプシロンって子、結局倒すしかなかったのかなあ。あと殞脈の《完殺》ってさ、使いどころが難しいよねー」
「イプシロン戦のあとに、まさかああいう展開になるとは思わなかったよね!」
「えー、私はなんとなく察してたけどなあ。なんか、そういう気配してたし」
「ホントに!? 野々さん、洞察力高いね」
「でしょー。長いプレイヤー歴はダテじゃないのだ」
会話の合間に英二は、氷水まじりのグラスを空けた。
ののこがハンバーグのチーズを夢中で伸ばしているのを見て、いまだ、と思う。
「ねえ、野々さん」
「ん?」
彼女はフォークを口に運びかけたまま、目だけこちらを向けた。
「進路っていうか……その、今後のことって、なにか考えてたりする?」
「うーん。考えてないって言うと嘘になるけど、決まってもいないよ」
ののこは肩をすくめた。
「もし、まだ迷ってるならさ」
英二は一拍置いてから言った。
「選択肢のひとつとして、来年また木天蓼大学、受けてみるっていうのも、ありじゃないかなって思ってて」
「え?」
「無理にとは言わないよ。親御さんとの話もあるだろうし。ただ……一度動き出すと、見えてくるものもあると思うんだ。なんとなくでも、何かに向かってみたら、って」
「何かに……?」
ののこが英二をじっと見た。
その視線に射抜かれるような気がして、英二はちょっとだけうつむいた。
「僕にできることがあれば、なんでも手伝うよ。ほんとに、なんでも」
ののこはちょっとだけ目を見開いて、それから小さく笑った。
「再受験、それは考えてなかったなー。うん、そうきたかー」
少なくとも、と英二は思った。
野々さんの選択肢のひとつには、なったんじゃないかな。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月15日
参加申し込みの期限
2025年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年06月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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