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五月の陽射しは四月よりもずっと明るくて、もう春よりも夏に近い。
それでも日没が近づけば、光はおだやかに、やわらかな金色に変わっていく。
今日のように、夕焼けがきれいな日はなおさらだ。
夕方、
稲積 柚春
は横浜駅の広場に立っていた。白い日傘を手にしたまま、暮れなずむ歩道を見つめている。
まもなく太陽を背にして、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる長身のシルエットが浮かんだ。
柚春は無意識に、くちびるの端を持ち上げていた。
ウォルター・B
の髪は淡い金色をしていた。最後のきらめきを惜しむように陽光が彼の髪を縁どり、細かい糸で編まれたベールのように見せている。
本日彼は仕事だったという。射撃部顧問として、大会の審判をつとめたのだ。だから服装もセミフォーマルで、黒いシャツに、アイスグレーの細身のジャケットという組み合わせ。シャツの第一ボタンまできちんと留めて、ネクタイはクラシックなウィンザーノット、シンプルだけど完璧なバランスだ。平日と同じ『先生』としての姿だけど、校内で見るときとはちがって、どこか解き放たれた気配が、肩のラインや足取りに現れている。背は高く、シルエットはあくまで繊細。それでも肩幅は意外としっかりしていて、シャツ越しにうかがえる胸板には、男性的な強さがあった。
仕事終わりのワットと待ち合わせ。
新妻みたいなシチュエーション、なんて思ってしまって、柚春の頬に熱が宿った。
「待たせたかな」
低く落ち着いた声が、耳をくすぐる。
「ううん、いま来たところ。……ほんとだよ」
ごく自然に身を寄せ、柚春はウォルターの腕に自分の腕をからめた。袖口が少しすれて、そこにある指先に視線を落とす。
ペアリング──彼の右手に見つけるだけで、胸の奥に花が咲くようだった。
ちゃんと、今日もつけてくれてる。
ウォルター・B
。校内では『ウォルター先生』、でもいまは、ふたりきりなのだから『ワット』と呼べる。彼もまた、『稲積』ではなく『柚春』と、ファーストネームで呼んでくれる。
それが柚春にとって、どれだけ特別なことか。
広場から少し歩いた裏通りに、小さな喫茶店があった。
看板には流麗な筆記体で『Tea Room "Perle"』と書かれていて、ショーウィンドウには光沢のある銀のティーポットと、時代の異なるさまざまな陶器のカップが丁寧に並べられていた。窓枠も扉も、古木の風合いをそのままに、時を重ねた調度品のような重厚さをたたえていた。
「前に来たとき、たまたま見つけた店なんだ」
「ペレル? って読むの? なんて意味?」
「パール、かな。ドイツ語で“真珠”のことだよ。この店は、築七十年の木造建築をそのまま使っているらしい」
たしかに、周囲の建物と比べると、この一軒だけが時間の流れを拒んでいるかのようだった。
ドアを押して中に入ると、真鍮のベルがひかえめに鳴った。
店内は影を含んだ照明に照らされ、棚には紅茶缶や古い洋書に占められていた。古木の床は歩くたびに小さくきしみ、蓄音機のようなスピーカーから、しっとりとした弦楽四重奏が流れている。
ほんのりと柚春の鼻をくすぐったのは、焙煎された茶葉の香りにまぎれてただようドライラベンダーの甘さだった。アンティークのサイドボードには小さなポプリの器が置かれていて、控えめな香りが空間の静けさをやさしく縁取っていた。
ふたりは窓際のテーブルに案内され、むかいあって腰を下ろす。
夕焼けを受けて、窓越しの景色は古い映画の場面のように見えた。
ウォルターはメニューをちらと見ることもせず、「アッサムを。シフォンケーキのセットで」と短く告げる。
柚春もすぐに「僕も同じものを」と続けた。
やがて、細長い陶器のポットと、淡いアイボリーのティーカップが運ばれてくる。カップには、小さく繊細な金の縁取りが施されていた。シュガーポットには角砂糖が、ミルクピッチャーには銀色の取っ手がついている。
ティーカップの隣に置かれたシフォンケーキは、雲のように盛り上がっていた。淡いバニラ色の生地が夕陽に映え、表面にまぶされた粉砂糖は目にまぶしいほどあざやかだ。きっと自家製なのだろう。バターとレモンの香りも香ばしい。
「砂糖、使うかい?」
ウォルターが言う。少し伸びてきた髪を、無意識的になでつけながら。
ううんと首を振って、柚春は紅茶に唇をつけた。おいしい。それになんだか、懐かしい味。
ところで、と柚春は言うのである。
「ちゃんと覚えてる?」
「ん?」
「……もうすぐだよ、誕生日」
「お釈迦様の? えーと、たしか潅仏会(かんぶつえ)は旧暦の四月八日というから新暦では……」
大真面目な顔で言うウォルターだが、もちろんとぼけているだけなのは柚春にはバレバレだ。
「もうっ、ワット、自分の誕生日でしょっ」
でも彼のジョークにちゃんと合わせて、頬を膨らませてみせる。
ウォルターはティーカップを受け皿に戻し、かすかに目を細めた。
「そうだったねぇ」
「『そうだった』じゃないってば。僕、ちゃんと準備してるんだから。計画も立ててる。今日はその話がしたくて」
「誕生日に計画? 年齢分の薔薇でも送ってくれるのかな? 四十本」
「またいい加減なことを言う~」
はははとウォルターは笑って、ケーキを口に運んだ。
「正直、僕くらいの歳になってくると、少々の前後は気にならなくなってくるんだよねぇ」
くすりと笑う。柚春にはその笑いが嬉しくて、でもどこかくやしい。あまりに魅力的すぎるから。
「もしかして、誕生日が来るの……嫌?」
「まさか。祝ってもらうのは好きだよ」
ウォルターの口調はさらりとしていて、それだけに、本当のことを言っているのだと柚春にはわかった。
「僕もね、サプライズのひとつくらい考えてるよ。でも……」
言いかけて、柚春は視線をそらす。少しだけ気恥ずかしい。
「ワットにも、希望とか、リクエストとか言ってほしいな。せっかくだし。特別な日にしたいから」
「サプライズは、『知らないからいい』ものだろう?」
「ずるい」
笑いながら柚春は紅茶をすする。唇がほんのり甘くなる。
──来年の春には、私は十八歳になる。そうしたら、ワットのそばに、何の遠慮もなくいられる。
いまはまだ、腕を組むだけでもドキドキする。だけどそれにも慣れてきた。少しずつ、距離を詰めている。
先生と生徒。未成年と大人。狭まらないものはあるけれど。
でも、好きって気持ちは誰にも止められない!
「それにしても」
ウォルターが、ふと窓の外に目をやる。カップに残った紅茶の底に、光が差し込んでいる。
「この時間は空がきれいだな。……柚春は、なんでそんなに楽しそうなんだい?」
「えっ……だって……デートだもん」
言ってみて、柚春は急に意識した。
今日はデート。誕生日デートの計画を練るための、デート・イン・横浜だ。
滅多にない、だからこそ貴重な宵だ。
「さて、暗くなる前に行こうか」
皿の上がなくなったところで、ウォルターがテーブルの伝票を手にした。
「次はどこに行く?」
「柚春が望むところなら、どこでも」
だったら、と柚春は言ったのだ。
「観覧車に乗りたいな」
ここからでも見える大観覧車、横浜名物のアミューズメントパークの目印だ。ライトアップされた夜間営業は、さぞや幻想的な光景だろう。
「今日はワットの誕生日の前祝い、楽しもうねっ!」
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
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定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月15日
参加申し込みの期限
2025年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年06月22日 11時00分
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