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ここは南仏ニースのビーチ、紺碧海岸(コート・ダジュール)と讃えられる絶景は、絵葉書よりも美しい。陽光は粒子のように舞い、エメラルドを溶かしたような海は、はるか彼方まで澄みわたっている。波音は遠く風はやわらか、足元はさらさらとした白砂だ。なにもかもが完璧で、なにもかもが夢のよう。
──と、言いたいが、実際はフランスではなく寝子島だ。ビーチどころか海すら見えない。足元だって砂浜はなく、打ちっぱなしのコンクリートだった。さもあらんここは、暮らしているマンションの屋上なのだから。ニースと同じものがあるとすればまあ、情け容赦のない太陽くらいだろうか。
夏が前倒しになったみたい。
サングラス越しの太陽に、
朝鳥 さゆる
はぼんやりと思う。
気温は朝から三十度を超えていた。まだ五月だというのにだ。これでは先が思いやられる。
日曜日。大学は休みで、プロムナードも定休日だ。
さゆるの同居人
姫木 じゅん
は、『日曜のルーティーンと書いて“ニチアサ”と読む』の視聴タイムを終え朝食を片づけると、当然みたいにサラリと告げた。
「行くよ」
さゆるは聞き返さない。「どこへ?」なんて間の抜けた言葉は不要だ。というのも、じゅんはすでに水着姿でリビングに現れていたからだ。
水着は黒を基調にした、ゴシックロリータ風のセパレートタイプだ。フリルとリボンが贅沢にあしらわれているのに、いやらしさではなく、じゅん特有の挑発感をまとっていた。露出は抑えめなはずなのに、なぜだか目が離せない。
さゆるは無言で立ち上がると、自分もそそくさと着替えたのだった。先週とは趣向を変えて、やや光沢のあるネイビーブルーのワンピース型水着だ。肩から背中にかけては大胆にカットされていて、留め紐を結ぶと、肌の温度がほんのり上がった。
ふたりは並んでマンションの階段を上がっていく。手にはデッキチェア二人分とサイドテーブル、それにクーラーボックスがあった。ボックスの中身はキンキンに冷えた缶のソーダと、じゅん好みのミントテイストエールの小瓶である。
屋上に出た瞬間、ギラつく陽光が目に飛び込んできた。街並みの白がまぶしく反射する。慣れたもので、汗がにじむ前には手際よく設営をすませていた。
デッキチェアが並びクーラーボックスが開き、雲ひとつない青空のもと、ふたりきりの日光浴がはじまる。
先週じゅんがいきなり、アニメで見たのをやってみたい、と水着姿で屋上に出たのがきっかけだった。さゆるも渋々付き合ったものの、やってみると意外と気持ちよく、満足な時間をすごせた。「またやろうよ」とじゅんは言ったものだが、またの機会が案外早く訪れたわけだ。
サングラスをかけたじゅんは、デッキチェアに寝そべり足を組む。さゆるも隣に腰を下ろし、ふたりはしばし空を見上げた。
太陽には手加減がないけれど、ときおり吹く風は、汗ばんだ肌に心地よい。波は見えなくとも気配はあり、潮の匂いすら感じる気がする。目を閉じると、身体がふわりと浮き上がるような感覚があった。
だがほどなくして、遠くから爆音が近づいてきた。上空を低く飛んでいくのはヘリコプターだ。空飛ぶ闖入者はリゾート気分を容赦なくかき乱していった。
「……あー、うるせぇ」
じゅんが毒っ気のあるつぶやきを漏らした。
さゆるは半身を起すと笑って肩をすくめる。じゅんといると、いつだって素直な自分でいられる。
「それで」
去りゆくヘリにイーッと歯をむいて、じゅんはサイドテーブルの小瓶を手に取った。
「どうなのさ、大学?」
さゆるの大学生活がはじまって、もうすぐ二ヶ月になる。
「どうって、そうね……語学クラスで、泰葉さんと同級生になったのは話したと思うけど」
「うん。あの人も頑張ってるよね」
以前からの宣言通り、泰葉は店に復帰した。といってもバイトで、しかも週三回ほどの軽めのシフトだが、かえってそれがちょうどいい塩梅のようで、出勤するたびにどこか楽しげだった。
「それで三日ほど前、泰葉さんと並んでたら、講師に社会人学生にまちがえられた」
じゅんはサングラスをずらし、ちらりと目線だけで笑う。
「あんたほんの二ヶ月前まで高校生だったのにね。まあ、さゆるの場合、落ち着いた雰囲気と服装とかで、そう思わせるのもわかんなくもないか」
「いまはもう慣れたよ。友達も、何人かできたし……信じられないかもだけど」
友達。その言葉をこんなにすんなり口にできるようになった自分に、さゆるは内心驚いていた。
「いいじゃん。青春じゃん」
「青春、なのかな」
「ふふっ、ちょっと妬けるね。あたしには体験できなかった青春時代かー」
と言ってどこか遠い目で空を見つめて、「妬けるっていえば、もうひとつあった」とじゅんは言うのである。
「ん?」
「この前さ、店長に言われたの。『さゆみさん、ファン増えたね』って」
バイト先『プロムナード』でも、さゆる──源氏名
さゆみ
は、最初の一ヶ月こそヘルプばかりだったが、最近は指名がつくようになってきた。酒の注ぎ方も、笑顔の角度も、自然と板についてきたらしい。
「大学でもバイト先でも華やいでいるなんて、じつに恵まれた青春だよねリア充だよねぇ」
「ええと……どう返したらいいのかわからない」
戸惑うさゆるに、じゅんは肩をすくめる。
「バカね、そういうときはさ、『チミの青春は輝いているかッ!?』とか意味不明なこと言っときゃいいのよ。……あ、これ、昔の特撮ソングね。特オタのオヤジ客がアフターのカラオケでやたら歌いたがるから覚えちゃった」
「でも」とチェアの上にあぐらをかき、腕組みしてじゅんは言うのである。「あたしが嫉妬してるのってどっちだろ。キャバ嬢として伸びてきた『さゆみ』か、ほんの一時とはいえ、あたしのさゆるを独占する客か」
あっけらかんと笑うその横顔に、ほんのかすかな影が見える。
さゆるは何も言わず、ただ目を伏せた。
「ま、どっちにしたって」
じゅんはくすりと笑って、サイドテーブル越しに体を乗り出す。
「……さゆるにキスできるのは、あたしだけなんだから」
唇がふれた瞬間、さゆるの肩がわずかに揺れた。
挨拶的なキスではない。
互いを知り尽くした者同士の、唇と舌の湿度をたしかめあうような、潤いに満ちた口づけだった。
唇が離れたあとも、さゆるはじゅんの手首を握ったまま、少しだけ名残惜しそうにしていた。
「むぅ……でも『さゆみ』が、あたしより人気になったら納得いかん」
「やめてよ。あたしなんか、まだまだ『まみ子』(※じゅんの源氏名)さんにはかなわないから」
「『なんか』とか言うなっての。あたしだって、あんたのファンだよ? ……可愛いさゆる」
ふたりで並んで空を見上げる。
太陽はますます高くなり、気温はじわじわと上がっていく。
けれど、さゆるの胸の内には、それよりも少しだけ早く、熱が満ちていた。
隣で、じゅんがちらとこちらを盗み見る。
「……ねえ、さゆる」
「なに?」
「おかわり、していい?」
問い返すまでもなく、もう知っていた。
だから、視線を合わせるだけで、ふたりはまた、唇を重ねた。
今度のキスは、先ほどよりもやわらかく、優しかった。
風が吹き抜ける。
誰もいない屋上。ふたりだけの空の下。
さゆるは、閉じたまぶたの奥で思った。
こういう夏のはじまりも、悪くないかもしれない。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月15日
参加申し込みの期限
2025年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年06月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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