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Mon seul Tresor
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物心ついた頃から、久雨への教育は始まっていた。遊ぶ暇なんてなかった。一日中、久雨は何かを学んでいた。学ばない時間は、生活に必要な時間だけ。食事の時間、入浴の時間、睡眠の時間。自分の好きに出来る時間なんてなかった。
全て決められた生活の中に、久雨の感情が入る余地はなかった。教えられた通りにやれば良いだけ、決められた答えを出せば良いだけ。
ピアノだって同じだ。ただ楽譜通りに弾けば良いだけ。どんなに難しい曲も弾きこなせるだけの技術は教えてもらって来たため、どの曲を弾いてもミスのない完璧な演奏が出来ていたはずだった。
それなのに、教師はいつも残念そうな顔をしていた。何故そんな顔をするのか、何が足りないのか、質問しても答えてくれる事はなかったが、その代わりにこんな指示を出した。
「次回から、レッスンが一通り終わったら近くにある野原で遊んできなさい。時間までには戻ること」
意味の分からない指示だったが、それがレッスンの内容だと言うのなら、逆らう事は出来なかった。教師の言いつけ通りに野原に行き、ボンヤリと座り込む。今までに遊んで良い時間なんてなかった久雨は、何をして良いのか分からなかった。
ピアノのレッスンが終わり、野原に行き、一人で座って空を見上げる。
そんな日々が続いた時、久雨に声をかけてきた少年がいた。おそらく同い年であろう少年は、久雨に色々な遊びを教えてくれた。草笛に、草相撲、シロツメクサの花輪は久雨の方が断然上手く作れて、彼は少し不貞腐れたように唇を尖らせていたのを覚えている。
口が悪く、捻くれた所もあるけれども、性根は優しい男の子。彼と何度も出会い遊ぶうちに仲が深まり、久雨にとって初めて“友達”と呼べるような存在となって行った。
友達と遊ぶうちに久雨の感情も豊かになって行き、ピアノの音色も自然と活き活きしだした。教師の求めていたものが何だったのかに気づき始めた頃、久雨は友達からプレゼントを渡された。
その日も一緒に遊んだ帰りだった。ピアノ教室の近くで立ち止まった彼は、ポケットから何かを取り出すと、小さく「やる」と言ってから、押し付けるように久雨の手に乗せた。
掌には、銀色の髪留めが乗っていた。夕日を浴びてキラキラと輝く髪留めは綺麗で、久雨はギュっと握った。
「うれしい。……でも、しまっておく。みつかったら、すてられるから」
少年が何か言いたそうに口を開くが、躊躇うように閉じた後で「つけられるようになったら、つけろよ」と呟いた。
「ありがとう、たいせつにするね」
「ん」
照れたような横顔に、久雨は今までに感じた事のない幸せな気持ちで髪留めをポケットに仕舞った。初めての友達から貰った、初めての贈り物、久雨も彼に何かお返しをしたい。何にしようか、何なら喜んでくれるだろうか、今感じているこの幸福を、彼に少しでも伝えたい。
―― けれど、久雨が彼にお返しをあげる事はなかった。
あの日を境に彼は野原に現れる事はなく、ピアノも別の教室に変わってしまった。
あの時に貰った、大切な髪留め。あの時の記憶を鮮明に封じ込めている、大事な髪留め。それなのに久雨は、なくしてしまった。
どこを探しても見つからない。探さないと、探し出さないと。
だってあれは、初めて出来た友達がくれた物だから。
決められた世界しか知らなかった私に、自由を教えてくれた人から貰ったものだから。
あの髪留めには、自由と幸福が詰まっているから。
あの髪留めは、私の心そのものだから……。
目の前の霧が晴れるような感覚に、久雨は止めていた息を吐き出した。髪留めは、久雨の手にあった。良かったと安堵したのも束の間、胸の苦しさに顔を歪める。
……苦しい。手では決して触れられない、奥の奥が締め付けられる。
痛くて、痛くて、胸元に手を当てる。
苦しい、痛い、息をするのも辛い。
―― それなのに何故、私は泣けないのだろう。
久雨の青い瞳は乾いており、涙が出る気配はない。それがどうしようもなく悲しくて胸を締め付けるが、泣く事は出来なかった。
銀の髪留めを握り締め、唇を噛む。記憶の中の少年が見知った顔に変わり、久雨は眉根を寄せた。
何故今、
畑生 言嗣
の顔が浮かんだのか、久雨には分からなかった……。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年12月17日
参加申し込みの期限
2013年12月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年12月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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