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潮騒に呼ばれて
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透き通るには少し早い春の海でも、海岸線を歩くのは心地いい。
大学の帰り道、ふと遠回りすることを選んだ
桜井 ラッセル
は、海鳥の声に釣られて顔を上げた。
(……いいなぁ)
風を受けて舞い上がるその翼に憧れるのは、地を歩く人に生まれたから……では、ない。
もし話を聞いたのが『ろっこん』を知らない普通の『ひと』であれば、怪訝な顔をするだろう。けれど、ラッセルは確かに、鳥に姿を変えて空を飛ぶことができた。
寝子島を見下ろし、鳥たちと歌い。ついこの間まで出来ていたことなのに、もう随分と昔のことのようだ。
懐かしくも眩しい記憶は、ちょっとセンチメンタルな気分にもさせるけれど、忘れたくない感覚。
(風に、あたってるだけなのにな)
手を広げ、握って。羽根とは違う感触は、芸術を生み出すための細やかな動きをしてくれる。それでも、風を掴み飛ぶことは、おそらく……もう。
生まれ持っての力ではなかったし、こうなってしまったことに寂しさはあれど悪いこととは思ってない。
「こんな日もあるか!」
大きく伸びをして、鬱々としそうな気分を吹き飛ばす。
だいぶと鮮やかさを見せるようになった空と、遠くまで見通せるような緑のコントラストの間を滑る海鳥が羨ましくなるけれど、飛べなくなる前とは少し違う気がした。
確かに飛べないことは寂しい。でも、『またな』と笑える。それは、届かないと諦める必要も、無理だからこそ憧れることもなくて……ちゃんと、あの空を知っているから。
(……もうちょっとだけ、散歩するか)
いつもなら手を伸ばすスケッチブックも、今日は鞄の中でお休み。その分、目に焼き付けようと思っていた。
そうして、目線を海に向けたとき。よく知っている、長いエメラルドグリーンの髪が靡いているのが見えた。
彼女は今、人間として暮らしているけれど――
風の精 晴月
と名乗っていたくらいには、風と切っても切れない存在だ。……もしかしたら、彼女も力を失ったことに思うことがあるかもしれない。
「晴月!」
だから、ラッセルは大きな声で彼女を呼んだ。
物思いに耽りたかったのかも、しれないけど……できるだけその顔を曇らせたくはない。話を聞いて寄り添うことしか出来なくても、今はひとりじゃないと伝えたかった。
「ラッセル? あれ、大学は?」
「もう終わった。ちょっと帰りにさ、寄り道したくて散歩してたんだ。晴月は?」
今までは自由に飛び回れたし、その姿を認識する者も限られていたため、楽しめることも多かっただろうことを思うと、不自由な生活をさせていると思う。お金も潤沢にあるわけではないし、こうしてラッセルが外に出ている間に出来ることと言えば、目下練習中の家事か散歩くらいだ。
「……なんとなくね、風を感じたくて」
そう答える晴月の髪は、あの頃と変わらず風にそよぐ。――それでも今は、しっかりと砂浜に立っている。
おぼつかない様子もなく、今にも消えそうな透明感もない。ちょっとだけ無理して笑って海を眺める晴月は、随分と大人びて見えた。
「晴月はさ……飛べた頃、懐かしくなったりする?」
「どうだろう、ちょっと違うんじゃないかな。それって、『過去に捕らわれてる』ってことでしょ?」
それも極端な解釈だけれど、晴月は今の気分がなんと表現するのが適切か真剣に考えている。
彼女が上手く言語化することができないのは、古い映画や図書館の本で仕入れた偏った知識のせいではなく、本当に複雑な感情をしていたからだろう。
「寂しくはあるよ。でも喪失感ってのでもなくて、けど切ないとも違って…………ありがとう、かな」
眉を下げて告げる言葉は、もちろん弾んでなどいない。けど悲しい別れに告げる声音でもなかった。
もしかしたらラッセルが『またな』と言えるように、晴月もちゃんと向き合えているのかもしれない。
「そっか。どの自分でも、悔いのない生き方で頑張りてぇよなー」
「なんの話?」
「いや、もし……」
晴月が晴月のままでいられる世界があったら。
導手や、風の精の力がずっと使えてた世界線が存在したら、彼女はどちらを選ぶだろう。
今の晴月には愚問だなと思いつつも、問い詰めるように見上げる視線に負けてぽつり呟いた。
なのに、晴月ときたらその意味を理解すると、お腹を抱えて笑い出す。
「あははっ! ラッセル、もしかして悩んでたの? 私がうじうじしてるかもって、気にしてた?」
「な……っ、そんな笑うことねーだろ!」
ひとしきり笑って、晴月は波打ち際までかけだした。
湿った砂に足跡をつけ、満面の笑顔で振り返る。
「私は、ラッセルが好きっ!」
突然の大告白に、この浜辺で紡いだ思い出がよみがえる。
晴月と手を繋いで飛んだのも、告白しあったのも……全てここだ。
「風の精じゃなかったら、見つけてもらえなかったかもしれない。だから、ありがとうって思ってる。でも」
はにかみ笑う晴月は、足下を波にさらわれても動じない。
真っ直ぐにラッセルを見つめたまま、すぅっと大きく息を吸い込んで――。
「ラッセルは! 私を『風の精』でも『導手』でもなく、『晴月』として愛してくれたから、ここにいるの!」
そう言い切るが早いか、晴月は高波によってびしょ濡れになっていた。
景気の良い『ざっぱーん!』という音は、2人の中で思い出深いものになったかもしれない。
「……俺もだ。ここにいる手に届く晴月を大事にできる俺でよかった、って今は心の底から思うよ」
濡れてしまった晴月をそのままにしておけず、ラッセルは周囲から隠すように抱き上げた。
恥ずかしいことを口走ったかと照れた勢いで口づけもかわせば、2人は顔を見合わせて笑い合う。
空を飛べなくても、旅する方法はいくらでもある。
ラッセルは帰路につきながら船旅なんかの話をして、実入りのいい仕事はないかと焦がれるのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年05月30日
参加申し込みの期限
2025年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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