霞が晴れ、でもまだ淡い空の下。
なぜか海岸通りに来てしまった
京極 花音は、目を細めて海に跳ねる光を見つめていた。
(……コンビニに行く道のはずじゃ?)
油断すると発揮される、筋金入りの方向音痴――まだまだ健在なコレとは付き合いも長く、想定外の景色が広がっても花音はさほど驚かない。
それどころか、慌てず騒がず砂浜へと降り立ち、いかにも最初からここが目的地だったような顔をする。
(帰り道で寄ればいいか)
こんな時ばかりは、動揺が悟られぬ強面な顔に感謝して。花音はあてもなく散策を続けることにしたようだ。
さて、降りたはいいが――何をして過ごそう。
特別なイベントがあるわけでもない。泳ぐにはもちろん早いし、足先をつけるにもタオルなんて持ち合わせているはずもなく。
さくり、さくりと砂を踏みしめ考えていると、靴底に何かが触れる。貝殻だ。
それを見た瞬間、潮騒に混じって
暁月 静の笑い声が聞こえた気がした。
――京極さん、ほら!
もちろん、そんなものは都合のよい幻聴だと花音にもわかっている。けれど、ひとたび走り出した空想は、もう止まらなかった。
砂浜をのんびり歩き、ときに貝殻を探してはしゃいで。
潮だまりを覗いて童心に返っていると、不意に悪戯な笑みと共に水しぶきが飛ばされたり。
道具を調達できるならば、釣りを楽しんでからバーベキュー。いや、弁当を広げてもいいかもしれない。
悶々と夢想する花音は、いつしかコンビニのことなど忘れて笑みを深くする。
(やっぱり青春ドラマのように追いかけっこをしたり……とか?)
さすがに、と首を振る一方で、それでも静の幻はしっかりと胸の内で笑っていた。
……こうなってはもう、花音はしばらく妄想の世界から帰ってこないだろう。
贅沢なようで、日常としてはありえそうな……今だからこそ叶う、穏やかな時間。
「理由なんていらない、か」
柔らかかった風が少しずつ湿り気を帯びて、小さく季節が移ろう予感がする日。
ささやかな特別は、ここにある気がしていた。
このシナリオの『世界線』は自由です。 - お好きな設定でお楽しみください -
■月日 :目安は春。4月の中下旬頃です。
■気象予報:晴れ時々くもり。風が少し強めですが、日差しはやわらかく暖かいです。
概要 - 春の海を、のんびり楽しみましょう! というシナリオです。-
■できること
・潮だまりの生き物観察 / 砂浜でのんびりお弁当 / 釣りや貝拾い……など。
・船での沖釣りやダイビングも許容範囲ですが、主な舞台は海岸(砂浜・岩場)を想定しています。
NPCの登場可否 - 大きく制限はございません -
登録・未登録に関わらず、基本的に『誰でも』登場が可能です。未登録NPCの場合は、名前や口調、関係が分かるページをご提示下さい。
また、現在寝子島周辺にいないキャラクターでも、何らかの形で描写することができる場合もあります。
アイディアを振り絞って、ぜひ会いたいあの人とお過ごし下さい!
但し、特定のマスターが『個人で』扱うキャラクターは 登場が難しい こともあります。
判別が難しい場合は、1度お名前をアクションなどでお知らせ下さい。
その人を思っているだけになるかもしれませんが、可能な限り調整して描写させて頂きます。
※ 独自ルール ※ - こちらは他MSへ対応を迫る行為はお控え下さい -
浅野が担当するシナリオでは、 様々な短縮表記が可能 です。参照シナリオがある方、Xキャラと参加したい方、アイテムやイラストを参照してほしいなどありましたら、
『独自ルール』をご参考に短縮表記をされると、アクションの圧縮に繋がります!
※気になる方は、ぜひお気軽に利用してくださいね。
それでは、ご参加お待ちしております!