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寝子島高校
きみと春のはじまりを
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登山道を踏みしめる靴音が、木立の間に静かに消えていく。
舗装された道とは違う不規則な傾斜は、
水槻 清恋
の呼吸のリズムを無意識に整わせた。
行き着く先にホトケはいないし、気の重くなるような事情聴取もしなくていい。つまり、酷い事件の応援で駆り出されない限り、清恋はひとときの安らぎを手に入れることができる。
別に、それを期待して向かっているわけでもないのだが、幾分か心が軽くなっているのは感じていた。
(……少し、遅くなったかしら)
九夜山の中腹を越えて、ようやく視界が開けたところで時間を確認する。
確かに予約していた時間は過ぎてしまったが、かといって明確にチェックインの時間が定められているわけでもない。ただ自分で選んだ時間に、自分のペースでここへ来ただけ。誰かと会うわけでもないのだから、さして気にする必要もないだろう。
ここからはなだらかな道を行くようで、少し汗ばんだシャツの背を風が撫でる。そのひんやりとした感触を素直に感じられる今は、頭の中のもやもやも置き去りにされているようだった。
(警察が商売繁盛だなんて、ね)
そうでなければ仕事はなくなってしまうのだけれど、事件が起こればいいとは願っていない。なのに寝子島は本土と変わらず
悪質な事件
はあるし、大なり小なり
後を絶たない
ので、気がつけば新年度という多忙っぷりだ。
おまけに、セフレなんだかそれ以上なんだかイマイチ関係性の掴めない
森谷 錠
も、新年度で忙しいという。まあ、それ自体は互いにいい大人なので理解はするが――次に会えるのはGWあたり、ということに話が落ち着いたとき、どこか釈然としない自分もいて。
たかだかセフレなら振り回さないでほしいという気持ちと、そうじゃないなら、もっとしっかり……なんて欠片でも思ってしまった自分に嫌気がさしたのもあって、今日ここへ来ることは彼に伝えていない。
せっかく、ロープウェイを使わず登山道を歩き気分がスッキリしてきたところなのに。また舞い戻ってきたモヤモヤに内心あきれながら、清恋は小道にある道しるべを頼りに予約しているクリアドームへと向かった。
たどり着く頃には、もう日も傾き見事な夕焼け空が広がっていた。
ドームは琥珀色に輝いて、昼間の透けるような透明感とも、夜のほの暗く浮かぶ明るさとも違った表情をしているから、清恋は思わず思ったままを口に出す。
「……ふーん、綺麗なものね」
声に出してみても、返ってくるのは静寂だけ。
けれど、胸の奥から抜けていくまま言葉を発したからか、その静けさでさえ、妙に心地よかった。
他の利用客は、すでにドームにいるからかすれ違わなかったし、このドームもまた他と群れることなく独でり立っている。それがなんだか今の自分にお似合いに思えて、清恋は自嘲するように微笑んで中に入る。
誰もいない空間に、深呼吸がひとつ、ふたつ。小さくこだまするように空気が揺れるのがわかった。肺がいっぱいに膨らんで、静かにしぼんでいくその感覚が、思っていた以上に自分を落ち着かせてくれる。
「――春の終わりと、新しい季節のはじまりに、ね」
ゆっくりとオレンジから群青へとグラデーションを描いて、空にも境界線が引かれる頃。この施設の紹介で見たキャッチコピーを思い出した。
特別惹かれたわけではなかったが、今はやけに胸に残って情景を噛みしめる。
今日が終わり、明日が始まるように。新年度だと言い訳をしている間に新しい季節はやって来て、当たり前のように次の事件に追われているのだろう。
考えたって仕方のないことだとわかっていても、いつも頭の中で騒がしかった。
休みが取れても何をしたらいいのか途方に暮れるくらいには、自分1人でリセットできなくて、気分を仕切り直そうとここへ来た。
(何となくだったけど、悪くなかったかもしれないわね)
体力作りにと言い訳した登山道だって、いろいろな景色を見られたし。
おひとりさまだけれど、この時間は『孤独』じゃなくて、『余白』なんだと思えた。
「何も考えずにいられるのも、いいかもしれない」
それこそ寮でゴロゴロしたり、トレーニングに没頭するのとは違う時間の過ごし方になるだろうと、清恋は木の床に腰をおろし、ベッドを背もたれに移りゆく空の景色を眺める。
夜になれば、もっと雰囲気が出るだろう。けど、それに触発されて何かをしなければいけないこともなく、ただボーッと過ごすことができる。まるで、この空間がひとりの時間を肯定しているような気がした。
――空と地面の境界に、誰かが落としたため息が空に溶けていく。
ふとそんな言葉が脳裏に過って、柄にもないと笑う。
でもここには、それを否定するものも自分以外にはいないのだ。
「たまには……息をつくのも、悪くないわね」
忙しない毎日に区切りをつけるように、息をついて、背伸びして。
次に進む準備をするように、清恋はひとり、もう一度静かに空を仰いだ。
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あとがき
担当マスター:
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから!
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
今はいろんなところで体験できるようになった、クリアドーム。
皆様は、体験したことがありますか?
きっとそのときの天気や一緒に行った人、季節の風景なんかで感じ方も違うと思うので、機会があれば訪れてみてくださいね。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ!」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします~!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年05月22日
参加申し込みの期限
2025年05月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年05月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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