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２大巨大美女南海の大決戦、またはジャイアント弁当の逆襲
●エピローグ●
【南校舎・屋上】
全員が無事異世界から帰還した、その数日後。
屋上でシガレットチョコを咥えてぼんやりしていた桜崎 巴は、背後の足音に振り向いた。
「あん？ ……何だ、あんたかい」
「この屋上も、すっかり元通りね。
ま、あれは別の世界の出来事だったんだから、当たり前なんだけど」
スケバン少女の隣りに並び、ん……と気持ち良さそうに伸びをする桃川 圭花。巨大委員長の体内を長時間彷徨った感覚が、まだちょっぴり残っているのかもしれない。
「おまじないの噂も、この数日で沈静化したみたいだし……」
これは、桜庭 円の働きが大きかった。彼女が異世界で助けた多数の生徒が、この現実世界で（巨大痛弁の件は伏せて）あのおまじないはデマだったと噂を広め直したのだ（痛弁引き受け業を始めようとしていた後木 真央は、タダ飯のアテが外れて悔しがっていたけど）。
「──世は全て事も無し、か」
「あたしに何の用だい？ 助けられた礼なら言わないよ。
あの巨大風紀委員長をぶちのめせなくって、こっちはまだムカついてんだ」
「お礼なんて期待してないわよ。ちょっと聞きたいことがあって。
ねえ。あの痛弁たちがモデルの人を襲ってた本当の理由……
桜崎さんなら、何か知ってるんじゃない？」
「はあ？ 何であたしが、ンなモン知ってると思うのさ」
「だってこっちの世界に帰ってきてから、ずっと様子がヘンだもの」
そこで言葉を切って、じっと巴を見つめる圭花。
「例えば、長時間ＧＫＢと体内で同化しているうちに、
痛弁の心に触れた──とか？」
スケバン少女は、まだそっぽを向いたままだ。
「ねえ、知っているなら教えて。
あの痛弁たちは、何らかの『想い』で動いていた……それは確かだと思う。
でも、食べてもらいたいんだっていう、私たちの推理は違ってたみたい。
じゃあ、その『想い』って一体、何なの？」
しばらく無言で、運動部の練習を見つめていた巴が、やがて面倒くさそうに口を開いた。
「嫉妬、さ」
「……えっ？」
思いもよらない返答に、驚く圭花。
「あたしは気絶してたんで後で聞いたんだが、いけすかない風紀委員の１人が、
こう言ってたそうだね。
──北風さんを亡き者にして、本物になり替わるつもりだったんじゃないかしら？
そいつの言う通り。奴らは、モデルになった生徒を排除して、本物になりたかったのさ」
「えっ、ちょっと待ってよ。本物の存在に……嫉妬していた？」
ぐるぐると回る圭花の思考、その脳裏にこれまでの自分の発言がよみがえる。
──あの痛弁たちは、何らかの『想い』で動いてたんだと思う。
──作った人が自分に込めた、その『想い』を遂げるために、ＧＫＢは行動していた。
「あっ……！ 本物を亡き者にして。
自分を作ってくれた人と、結ばれようとしていた……？
あの痛弁たちは、自分を作った生徒に片想いをしていた」
「馬鹿馬鹿しい、死ぬほど下らない話だろ？
全く……弁当なんざ、どうせすぐ腐っちまうってのにさ」
やれやれ、と大仰に肩をすくめて巴が、中庭の片隅を見下ろす。
その視線が落ちる先には、小さな小さなお墓があった。
ここからでは見えないが、そのアイスの棒には、きっとこう書いてあるのだろう。
〈ビック凛ちゃんのおぱんつは世界いちのおぱんつ〉
その墓の下には、けれど何も埋まってはいない。もう実害は無いと判断したテオが、凛の痛弁を異世界に残したまま、雨寺 凛たちを元の世界に転送したからだ。
「やだやだもっと凛ちゃんのおぱんつ見るー！ 離せー！」と泣きわめく桃原 空音に、ニコニコと手を振り返しながら、最後まであの痛弁はパンツを見せ続けてくれたと言う。
いつまでも。
【南校舎１Ｆ・１年３組の教室】
「はい、こーたろーくん。これ、今日のお弁当な！
いっしょにたべよ？」
そう言った後も、今日の西野町 かなえは逃げ出さない。
だって雨崎 荒太郎が、美味しいってあの時、何度も何度も言ってくれたから。
あの異世界で、事件が終息した後。プールいっぱいに散らばった自分のお弁当を、１人もぐもぐと食べ続ける雨崎の姿を目撃し、かなえは感激したのだった。
「こーたろーくん。もったいないけど、もう食べなくてもええよ……
お弁当ならまた今度……ううん、毎日だって作ってくるから」
「わぁ、ありがとー！ ちょうどお腹すいてたしっ」
そして今日もニコニコと、彼の食べっぷりを見つめるかなえである。
「もぐもぐ……これ、美味しいな〜！
きっと世界一のお嫁さんになれるだろな///（ぼそっ）」
「えっ、こーたろーくん？ いま何て……」
──これはある年の夏、
寝子島高校で一瞬だけ流行った、
恋のおまじないにまつわるお話。
『２大巨大美女南海の大決戦、またはジャイアント弁当の逆襲』 おしまい
【南校舎・屋上】
全員が無事異世界から帰還した、その数日後。
屋上でシガレットチョコを咥えてぼんやりしていた桜崎 巴は、背後の足音に振り向いた。
「あん？ ……何だ、あんたかい」
「この屋上も、すっかり元通りね。
ま、あれは別の世界の出来事だったんだから、当たり前なんだけど」
スケバン少女の隣りに並び、ん……と気持ち良さそうに伸びをする桃川 圭花。巨大委員長の体内を長時間彷徨った感覚が、まだちょっぴり残っているのかもしれない。
「おまじないの噂も、この数日で沈静化したみたいだし……」
これは、桜庭 円の働きが大きかった。彼女が異世界で助けた多数の生徒が、この現実世界で（巨大痛弁の件は伏せて）あのおまじないはデマだったと噂を広め直したのだ（痛弁引き受け業を始めようとしていた後木 真央は、タダ飯のアテが外れて悔しがっていたけど）。
「──世は全て事も無し、か」
「あたしに何の用だい？ 助けられた礼なら言わないよ。
あの巨大風紀委員長をぶちのめせなくって、こっちはまだムカついてんだ」
「お礼なんて期待してないわよ。ちょっと聞きたいことがあって。
ねえ。あの痛弁たちがモデルの人を襲ってた本当の理由……
桜崎さんなら、何か知ってるんじゃない？」
「はあ？ 何であたしが、ンなモン知ってると思うのさ」
「だってこっちの世界に帰ってきてから、ずっと様子がヘンだもの」
そこで言葉を切って、じっと巴を見つめる圭花。
「例えば、長時間ＧＫＢと体内で同化しているうちに、
痛弁の心に触れた──とか？」
スケバン少女は、まだそっぽを向いたままだ。
「ねえ、知っているなら教えて。
あの痛弁たちは、何らかの『想い』で動いていた……それは確かだと思う。
でも、食べてもらいたいんだっていう、私たちの推理は違ってたみたい。
じゃあ、その『想い』って一体、何なの？」
しばらく無言で、運動部の練習を見つめていた巴が、やがて面倒くさそうに口を開いた。
「嫉妬、さ」
「……えっ？」
思いもよらない返答に、驚く圭花。
「あたしは気絶してたんで後で聞いたんだが、いけすかない風紀委員の１人が、
こう言ってたそうだね。
──北風さんを亡き者にして、本物になり替わるつもりだったんじゃないかしら？
そいつの言う通り。奴らは、モデルになった生徒を排除して、本物になりたかったのさ」
「えっ、ちょっと待ってよ。本物の存在に……嫉妬していた？」
ぐるぐると回る圭花の思考、その脳裏にこれまでの自分の発言がよみがえる。
──あの痛弁たちは、何らかの『想い』で動いてたんだと思う。
──作った人が自分に込めた、その『想い』を遂げるために、ＧＫＢは行動していた。
「あっ……！ 本物を亡き者にして。
自分を作ってくれた人と、結ばれようとしていた……？
あの痛弁たちは、自分を作った生徒に片想いをしていた」
「馬鹿馬鹿しい、死ぬほど下らない話だろ？
全く……弁当なんざ、どうせすぐ腐っちまうってのにさ」
やれやれ、と大仰に肩をすくめて巴が、中庭の片隅を見下ろす。
その視線が落ちる先には、小さな小さなお墓があった。
ここからでは見えないが、そのアイスの棒には、きっとこう書いてあるのだろう。
〈ビック凛ちゃんのおぱんつは世界いちのおぱんつ〉
その墓の下には、けれど何も埋まってはいない。もう実害は無いと判断したテオが、凛の痛弁を異世界に残したまま、雨寺 凛たちを元の世界に転送したからだ。
「やだやだもっと凛ちゃんのおぱんつ見るー！ 離せー！」と泣きわめく桃原 空音に、ニコニコと手を振り返しながら、最後まであの痛弁はパンツを見せ続けてくれたと言う。
いつまでも。
【南校舎１Ｆ・１年３組の教室】
「はい、こーたろーくん。これ、今日のお弁当な！
いっしょにたべよ？」
そう言った後も、今日の西野町 かなえは逃げ出さない。
だって雨崎 荒太郎が、美味しいってあの時、何度も何度も言ってくれたから。
あの異世界で、事件が終息した後。プールいっぱいに散らばった自分のお弁当を、１人もぐもぐと食べ続ける雨崎の姿を目撃し、かなえは感激したのだった。
「こーたろーくん。もったいないけど、もう食べなくてもええよ……
お弁当ならまた今度……ううん、毎日だって作ってくるから」
「わぁ、ありがとー！ ちょうどお腹すいてたしっ」
そして今日もニコニコと、彼の食べっぷりを見つめるかなえである。
「もぐもぐ……これ、美味しいな〜！
きっと世界一のお嫁さんになれるだろな///（ぼそっ）」
「えっ、こーたろーくん？ いま何て……」
──これはある年の夏、
寝子島高校で一瞬だけ流行った、
恋のおまじないにまつわるお話。
『２大巨大美女南海の大決戦、またはジャイアント弁当の逆襲』 おしまい
あとがき
担当マスター：
鈴木二文字
ファンレターはマスターページから！
●どうもおつかれさまでした！ いかがだったでしょうか？ リアクションをお読みになってもしかしたら、「意外とマジメに戦ってる！」という感想を持つ方も、いらっしゃるかもしれませんね。逆にこちらが皆さまのアクションを読んでの感想は、「意外とパンツパンツ言ってる」でした（笑）。ガチバトルとパンツ活劇のハイブリッドリアクション、お楽しみいただけましたら幸いです。
●またリアクション中、ビック凛が雨寺 凛さんを攻撃するのを止めた理由について、説明が明記されておりませんが、こちらは凛さんと桃原 空音さんの個別コメントにて、それぞれご説明させていただきました。もしご興味のある方は、お２人に聞いてみて下さい（ご自分で推測するのもまた良し、です）。
●本リアクションで２名のＰＣさんが負傷を負いましたが（ネタバレ防止のためここでは名は伏せますね）、適切な治療を受けておりますので、シナリオをまたいでの怪我や後遺症などはございません。
●あと、すみません！ 文字数の都合により、後日談関係のエピソードは、ほとんど入れられませんでした。ＰＣの皆さんでそれぞれに（ダイアリーなどで）ご補完いただければ幸いです〜。
●それでは、また寝子島のどこかでお会いしましょう。鈴木二文字でした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2013年12月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年12月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年12月27日 11時00分
