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[TOS] 戦蘭の世紀
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●リオとサツキの物語
なんとか追手の三体を倒して、あたしたちは街から脱出した。
街はずれで運良く、移動手段を拝借することができた。現代では、ほとんど目にすることのないガソリン車、ドアロックも壊れているし廃棄されたものかと思ってたら、奇跡的にエンジンがかかった。どうやってエンジンをかけたかって? それはまあ……生き延びるために覚えたいくつかのテクニックで、とだけ言っておく。
ガソリンが尽きるまで走りに走って、太陽が沈むころ、岩山の影に隠れるようにして一息ついた。
車を降りた瞬間、疲れがどっと押し寄せてきて、あたしはくじいた足をさすりながら地面に座りこんだ。隣にいる彼女も、バールを投げ出すように置いて、肩で息をしてる。月の昇りはじめた空が、静かにあたしたちを包んでた。
あたしたちは移動中、ほとんど言葉を交わさなかった。彼女が助手席で黙って外を見てたから、あたしも何を話していいかわからなくて……。ただ、ときどき彼女が小さく息をつく音が聞こえてきて、生きてるって確認できただけで、ほっとしたんだ。「大丈夫?」って一言だけ聞いたら、彼女が「……うん」って小さく答えてくれた。それだけで十分だった。
ほっとしたらお腹が空いたので、あたしの携帯食を分け合った。待ちに待ったディナーと言いたいところだけれど、実際は地味なココア味のビスケットでしかない。そんなものでも彼女が笑顔で「ありがとう」って言って受け取ってくれたのが嬉しかった。あたしからすればとっくに食べ飽きた味なのに、彼女は目を輝かせて嬉しそうに食べてる。口元にちょっとこぼれた粉を指で拭う仕草が、なんか可愛いなって思ったよ。「ごちそうさま。ほんとおいしかったよ」って彼女が言ってくれたとき、あたしは思わず「また分け合おうね」って返してた。
食事のあと、彼女が湖の方を見つめながら、ぽつりと呟いた。
「私、記憶がないの。名前すら、わからない……。どうしてあそこにいたのかも、何も思い出せなくて」
あたしは少し驚いたけど、そっと彼女の隣に座って、
「そっか……。でも、あたしを助けてくれた。それは本当のことだよ。名前は……これから一緒に思い出せばいい」って言った。
彼女が顔を上げて、「うん、ありがとう」って小さくほほえむ。月明かりに照らされた彼女の顔が、どこか寂しそうに見えた。
それから、湖のほとりで体を洗うことにした。汚れきった服を脱ぎ、冷たい水に体をつける。もちろん真っ裸だけど、女同士だし平気だよね。なのに彼女はひどく恥ずかしがって、ずっと背中を向けてた。
湖の水面が月明かりに揺れるなか、彼女がしゃがんで体を洗う姿に、あたしは目を奪われた。細い肩から腰にかけてのラインは、石膏像みたいになめらかだった。水滴が背中を滑り落ち、月あかりに照らされてキラキラ光ってる。黒髪が濡れて首筋に張り付き、首のうしろの白い肌が透けて見える。あんな綺麗な背中、はじめて見た。
服も洗った。私は迷彩服、彼女のは……なんて言うんだろう、ひどくボロボロだったけど、元はきっと、レース飾りの素敵な衣装だ。着替えなんてないから、生まれたままの姿で草むらに座る。お互い、膝をかかえて。
「私、記憶がないの……。名前すら、わからない。どうしてあそこにいたのかも、何も思い出せなくて」
彼女の声が小さく震えてて、膝を抱える手がぎゅっと強くなるのがわかった。あたしは少し驚いたけど、そっと彼女との距離を詰めた。
「そっか……。でも、あたしを助けてくれた。それは事実だよ」
夜が深まって、湖畔の風が冷たくなってきた。
「ちょっと、寒くなってきたかも」
あたしが呟くと、彼女は「うん」って答えた。
あたしはにじり寄るようにして、肩を寄せた。彼女の肌がひんやりしてて、少し震えてるのが伝わってくる。
もうたまらない。あたしが彼女の肩を抱き寄せると、彼女は恥ずかしそうに顔を上げた。
月明かりに照らされた彼女の目は、潤んでて、吸い込まれそう。動悸が早まって、我慢できなくなって、あたしはそっと彼女の唇に自分の唇を重ねた。彼女の指があたしの背中にそっと触れて、冷たい指先で熱い肌をなぞった。甘い疼きが胸を締めつける。
湖の水音と風の音だけが響く夜、彼女の温もりがあたしを包み込んだ。こんな幸福、はじめて知ったよ。
少し落ち着いたころ、彼女があたしの腕の中で小さくつぶやいた。「リオ、私のことは……『サツキ』と呼んで」って。
「思い出したの? 名前」
「……ううん。でも、それが名前だって気がした」
恥ずかしそうに目を伏せる彼女を見て、あたしはほほえんだ。
「サツキ、いい名前だね。よろしく、サツキ」
サツキが小さく笑って、あたしの胸に頬を寄せる。
その瞬間、あたしはこの子を守るためなら何でもできるって、心から思ったんだ。
リオと過ごす日々は、夢を見ているみたいだった。過去の記憶が記憶がない私でも、リオの笑顔を見るたび「ここにいていいんだ」って思える。彼女の強さと優しさに惹かれて、私はどんどん恋に落ちていった。リオがナイフを手に戦う姿を見るたび、私ももっと強くなりたいって思った。眠るとき、リオの手を握ると、このうえもなく安心感があって……。月明かりの下で体を重ねた夜から、私たちの心はひとつになった。
でも、そんな日々は長くはつづかなかった。
ある日、見捨てられた牧場跡で休んでいたとき、遠くから不気味な電子音が響いた。灰色の集団が近づいてくる。ガーナックだ。それも、これまでにない規模の。
先頭に立つ一体だけは灰色じゃなかった。健康そうな肌の色、けれど赤い目が不気味に光ってる。人間の女の子そっくり、でも、改造された『蘭つき』ガーナック──
ガーナックH(エータ)
だ。
リオがすぐに立ち上がってナイフを構えた。「サツキ、隠れてて!」って叫んだけど、私は動けなかった。エータ率いる集団は二十体以上。多勢に無勢だ。リオは勇敢に飛び込んで、エータの攻撃を避けながら一体を切り裂く。目にもとまらない速さだった。きっと、殞脈を使っているのだと思った。
でも多勢に無勢、大量のガーナックに囲まれて、あっという間に追い詰められた。リオの腕から血がしたたり、彼女が苦しそうに膝をつく。私は恐怖で震えたけど、リオの姿を見たら、もう我慢できなかった。
私が死ぬのはいい……でも、リオだけは救いたい。
意識が突然すっと消えた。体が熱くなり、頭のなかが冷たくなる。
このとき、私が持つ殞脈が発動したとわかったのは後からだった。
やがて意識が戻り、私は地面に膝をついた。体が震えて、息が上がっている。なんだろう。とても消耗したように思う。
目の前を見ると、周囲は死の静寂に支配されていた。まるで嵐が荒れ狂い破壊の限りを尽くしたかのように、すさまじい光景がひろがっていた。ガーナックの残骸が散乱し、粉砕された金属と油、それに血が混じった液体が地面を染めている。ほとんどのガーナックは、腕や脚がバラバラに引き千切られ、電磁鞭も焼け焦げあるいは熔けている。あのエータさえも首がねじ切られており、そればかりか、機械の内臓が掻き出されたように露わになっていた。私の手には、バールが血と油でべとつき、爪の間に灰色の破片が詰まっていた。こんな……私がこんなことを……? 戦慄が背筋を駆け上がり、吐き気を覚えた。自分でも信じられない恐怖が、心を締め付けた。
リオが駆け寄ってきて、私を抱きしめてくれた。
「……サツキ、すごいよ」
でもその声が震えていた。
リオ、怖がっていたんだと思う。
私も彼女を抱きしめ返して、涙が止まらなかった。
生きてる。リオが生きてる。それだけでよかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
ゲーム
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年05月12日
参加申し込みの期限
2025年05月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年05月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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