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[TOS] 戦蘭の世紀
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●梓 楓の物語
──私の最初の記憶は、逃げているところだった。
ママに抱きかかえられて。
やがて、ママに手を引かれて自分の足で。
ずっと逃げつづけた。何年も、何年も。
夜中に突然起こされて、靴も履かず走ったことがある。「楓、静かに!」と言うママの声は震えてて、暗闇で白い息を吐いた。荷物なんて持てなかった。毛布も、お気に入りの絵本も、全部置いてった。やっと落ち着けた小さな集落、川のそばの廃屋で、ママが「もう大丈夫よ」ってほほえんだ。
初めて友達ができた。イオリって名前の子。髪を編んでくれる、優しい子だった。でも、数年したある夜、冷たい足音が聞こえた。カツ、カツ、カツ。ママに引っ張られて、川の冷たい水をかぶりながら逃げた。イオリの顔、二度と見れなかった。
学校にも行ったよ。転入した次の日、先生が「楓ちゃん、ようこそ」って笑ってくれた。でも、翌週にはもう転校。ママ、なんで? 何度も聞いたけど、ママはただ「楓は特別だから」って、泣きそうな目で私を抱きしめた。
殞暦(いんれき)十八年、夏の終わり。空は灰色で、風は冷たくて、どこまでも乾いてた。あのころの私は六歳。
やっぱり、私は逃げてた。
ママの手は大きくて温かかったけど、汗で湿ってた。怖がってるのが、私にもわかった。「楓、絶対に離さないでね」ママの声は震えてたけど、優しかった。ママの目はいつも笑ってた。私を勇気づけるように。慈愛って、きっとああいうのを言うんだ。そういえばママの顔は、いまの私とそっくりらしい。でも、ママみたいな目のかたちは、きっと私には一生作れない。
私たちは無人の街を走ってた。計画的移住対象区域って名付けられてたけど、要は住民が強制退去させられただけの廃墟の街。何年も放置されて、墓場みたいになった場所。
逃げこんだはいいけれど、崩れたビルの隙間、ひび割れたアスファルト、錆びた鉄骨の影。どこに隠れても、やつらは追ってきた。
灰色の少女たち。全部同じ顔。瞳には何も映らない。首筋に青い光――
Y.E.S.S.I.R.
(※)が脈打ってる。
ガーナック
。シザクラの殺人アンドロイド。量産型でぞろぞろと、無表情で行進してくる。ママが「楓、目を閉じて!」って叫ぶたび、私はぎゅっと瞼を閉じた。耳をふさいでも、ガーナックの足音が頭に響いた。カツ、カツ、カツ。心臓がつぶれそうだった。
なぜ追われるのか、当時の私にはわからなかった。ただ、ママは「楓は特別だから」って何度も言った。特別? 私、普通の子どもなのに。字が上手く書けなくて、絵を描くのが好きで、ママの作るシチューが大好きなだけなのに。
追われる理由がわかったのはずっと後。シザクラが私の
殞脈(エンミラ)
を嗅ぎつけたんだ。まだ目覚めてない、私のなかの力。シザクラはそんな私を、兵器にするか、殺すか、どっちかにしようとしていた。
やっと足音が聞こえなくなって、暗くなってから、空っぽの倉庫に逃げこんだ。ここで夜明かしね、とママが言った。
けれど突然、風がうなった。倉庫の壁がガタガタ揺れて、ホコリが舞った。ママが私を強く抱きしめた。
「楓、どんなことがあっても、生きて」
その声、初めて聞いた。まるで別れの言葉みたいで、胸が締めつけられた。
次の瞬間、壁が吹き飛んだ。風の刃だ。木っ端微塵になった壁の破片が、私たちの周りに降りそそぐ。
壁のなくなったむこう。月の光を背に受けて、女の子がひとり、宙に浮いてた。
エメラルドグリーンのロングヘア、着ているワンピースは袖がなくて純白、当たり前みたいに空中にとどまってて、裸足の足は地面にふれていない。
ガーナック。でも、普通のじゃない。ギリシャ文字の『蘭つき』。
ガーナックΕ(イプシロン)
という名前はそのときまだ、知らなかった。
「みーつけた!」
その声、子どもみたいに無邪気だった。ピュアで、あどけなくて、歌うみたいに明るい。でも目が怖かった。鼈甲(べっこう)色の瞳は、ただのガラス玉みたいに冷たい。イプシロンは首をかしげて、ニコッと笑った。
「きみが特別な子、楓ちゃんだよね? ドクター・シザクラが、ぜったい捕まえろって! でも、壊しちゃってもいいって言ってたの。どっちがいいのかなぁ~?」
その口調、まるで遊びのルールを決めるみたい。背筋が凍った。
ママが私を背中に隠して立ち上がった。
「楓にはさわらせない」
ママの声、低くて、鋭かった。いつも優しいママが、初めて見せる表情だった。
イプシロンが手を振ると、風が吠えた。倉庫の柱が一瞬で切り裂かれ、屋根が崩れ落ちる。ママが私を押し倒して、瓦礫から守ってくれた。
「ママ!」
私が叫ぶと、ママは私の頬を撫でた。
「大丈夫、楓。ママがいるから」
その微笑、やさしさに満ちてた。でも、目が濡れてた。ママ、泣いてるの? どうして?
ママは私を倉庫の奥に突き飛ばした。板きれを手にして振り上げ、イプシロンにむかって走り出す。
「お母さん戦いたいの? 知ってる? そういうの無謀っていうんだよ~」
風が渦を巻き、刃みたいにママを襲った。
「走って、楓! 絶対に生きて!」
それがママの最後の言葉になった。イプシロンの風がママをバラバラに裂いたから。
赤い血が飛び散り、純白のワンピースに染みを広げた。ママの笑顔が、消えた。私は叫んだ。声にならない叫び。心が、頭が、真っ白になった。イプシロンが近づいてくる。
「次は楓ちゃんの番だよー!」
その声、楽しそうだった。残酷すぎるほど、無垢だった。
胸の奥で何かが弾けた。体が勝手に動いた。足が、腕が、まるで踊るみたいに。瓦礫の間を滑るように走り、私はイプシロンの風を避けた。いまならわかる。あのとき、私の殞脈が目覚めかけてた。でも、六歳の私はまだ理解できず、ただママの言いつけに従うことを選んだ。
逃げた。倉庫の裏口から用水路へ飛び込み、冷たい水に流された。ガーナックΕの声が遠くで響いた。
「あ、逃げちゃった! まぁ、いいや。また遊ぼうね、楓ちゃん!」
対岸の崩れた土手に這い上がり、私は涙を流した。一生分の涙を、一生分の悲しみを。
涙が乾いたとき、私の心は空っぽになった。かわりに、燃えるような憎悪が生まれた。ガーナックΕ。あの風を、あの笑顔を、絶対に許さない。ママの微笑を奪ったやつを、私の手で壊す。
八年後の現在、十四になった私はレジスタンスにいる。背中にブレード、腰には拳銃、拳のナックル。全部、ママの仇を仕留めるための装備。そして、使いこなせるようになった殞脈。
私の殞脈は、復讐のためにある。
あの夜、月光がママの血を照らした。純白のワンピースに広がる赤。あの光景は、私の心に焼き付いたまま。一生消えない。
覚えてろ。私の力は、お前を葬るために目覚める。ママの分まで、絶対に。
ママ……必ず、必ずママの仇を取ってあげる……!
※Y.E.S.S.I.R.:服従回路。ガーナックを制御する装置。Yielding Electro-Systema for Subservient Imprinted Regimenの略
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
ゲーム
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年05月12日
参加申し込みの期限
2025年05月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年05月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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