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[TOS] 戦蘭の世紀
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●
七枷 陣
の物語
雪原のど真ん中で、僕とあいつは向き合ってた。
殞暦二十五年、冬。明け方近く。
あの日僕は、レジスタンスの偵察で北を歩いてた。一面の雪つもる山道。ひどく寒い場所であり時間帯だったけど、明け方の空が雪を照らし、すべてがキラキラしてて、まあ、悪い気はしなかったかな。というか結構気に入ってた。
空気が急に冷えた。すでに氷点下だったのに、それよりはるかに、骨までしみるような寒気を感じた。
目の前に女の子が立ってた。黒髪ショート、赤いスカジャンにジーンズ。吊り目気味の瞳がギラッと光った。
まともな人間ならあんなカッコで雪原を歩いたりしない。しかもこんな時間だ。
つまりガーナックってことだ。それも『蘭つき(オーキッド)』ッ! リアルで見るのは初めてだった。
最悪、って思った。つづいて脳裏に浮かんだ言葉は──マジオワタ。
「なにウロついてんの? マジうざいんですけど」
ギャルっぽい口調、黒い瞳が僕をにらむ。サディスティックな笑みが正直、めっちゃ怖い。
大股にガーナックは近づいてきた。
「核燃料基地でも見つけたつもり? まったくチョロチョロと、キモッ」
ヤバいヤバいヤバい、これ絶対ヤバい状況だ。瞬殺されると思った。さすがオーキッド、量産型ガーナックとは威圧感がレベチだったから。
なのにあのとき、僕は笑っていた。ニヤニヤなんてレベルじゃない。ぷっと吹き出すともうたまらなくなってゲラゲラ、腹を抱えんばかりに。
ビビってたのは本当、でも、笑えたのも本当だ。
「きみはじつにばかだな」息も絶え絶えに言った。
「ハァ!?」ガーナックのこめかみの血管が、ピキッと切れる音が聞こえた気がした。
「『核燃料基地』って白状しちゃってる! もしかしたらと思ってたけど、僕らの予想は正しかったってことだ。本当に基地があったなんて! 語るに落ちたな!」
「超うるさい! キモい!」
ガーナックが鬼の形相になったことからして、やはり図星だったみたいだ。
「あんた殺しちゃえばおんなじだし!」
ガーナックが口を開けた途端、青白い光が飛んで来た。足元に落ちた光線に肝を冷やす。やわらかな雪ががアイスバーンみたく硬く平らになってた。なにこれ冷凍光線!?
あいかわらず心臓は縮みあがってたけど、こうなりゃとことんハッタリだ。僕は腰のブラスターガンを抜いて飛んだ。
「ったく、そうやってすぐ力で解決しようとするのがシザクラ一派のよくないところだぞマジで!」
転がって次の光線を避け、「またハズレ! ひょっとしてユーはガーナックの二軍選手?」と虚勢を張る。普段ならこんな挑発ポンポン出てこないんだけど、面白いようにヒートアップするあのガーナックの反応が痛快で、なんだか舌がなめらかになってた。
「マジ殺すし!」
ガーナックは光線をメチャクチャに乱射した。吐く息は冷たいのに頭は熱暴走しているようで狙いは雑だ。でもその効果たるや絶大、まともに浴びたら終わりだとわかる。僕もブラスターで反撃するのだけど悲しいかな命中にはほど遠かった。雑木林に駆け込む。
「キモッ! あんた、ネズミか何か!? マジうざ!」
冷凍光線がまた来る。雪原が青白く光り、木々が凍って砕ける。僕は走ったけど足が遅い。気づいた。氷が足首を這い上がっていることに。まもなく動けなくなった。慌ててブラスターを構え引き金を引くも、残弾切れの哀しい音が立つばかりだった。
「くそっ……」
体がガチガチと震えた。ガーナックが近づいてきた。
「終わりだね、キモい男」
「さ……」
「さ?」
「さっきからあんた、ほぼ『キモい』と『ウザい』しか言ってないよな。ボキャブラリー貧しくね?」
精一杯の強がりだ。死が目の前に迫っていても、彼女とのやりとりを楽しいと思ってしまう自分がいた。
これでいい。
怒りで真っ赤になったガーナックが口を開くよりも、僕の殞脈(エンミラ)の発動のほうが早かった。
十。
胸の奥で火花が散った。世界が粘つくように緩慢になり、音が遠ざかる。足を鋭く振り上げ氷を砕き、一瞬にしてガーナックの懐に滑り込む。
これが僕の殞脈──《タイムアクセル》だ。常人の数十倍で動ける力、ただし十秒の時間制限付きで。
九。八。七。
拳を腹に叩き込んだ。ガーナックの体は『く』の字型に曲がり、雪を蹴散らして宙を舞う。
六。五。
だが、僕はすでにその先にいた。肘が彼女の顎を捉え、両手を絡めた一撃が、雷鳴のように首筋に炸裂する。
四。三。二。
タイムアクセルが切れる前にガーナックを組み敷いた。同時にショートブレードを抜き、逆手に握って振り上げる。
一。タイムアウト。
ここで時間いっぱい。殞脈は強制解除されたがこのときには、
「終わりだ」
とどめを振り下ろしていた。
「やめて、お父さん……!」
泣き声が響いた。
え? 何だよ、これ? 僕は刃を止めた。ガーナックが震えてる。
「お願い、お父さん、そんなことしないで……!」
その声、怯えてて別人みたいだ。頭がぐちゃぐちゃになった。このとき、バチッと青白い火花が走った。ガーナックの左胸の下、なにか見える。こいつの服従回路か。最初に殴ったとき、たまたま当たったらしい。だったら、こんなにたやすく『蘭つき』に勝てた理由も説明がつくだろう。運が良かったんだ。それも圧倒的に。
だったら、僕がやるべきことはひとつだ。
「動くなよ、狙いが外れるから」
僕は刃先で彼女の左胸の下を突いた。青い光が弾け、ガーナックが甲高い叫びを上げた。
ガーナックの体が弛緩した。寝起きみたいな目で僕を見あげている。
「誰……?」
声が小さくて気弱だ。さっきとは別人みたいだ。
「七枷陣、協調性の低いレジスタンスだ」
つい素直に応じてしまったのは、彼女の眼に敵意が見えなかったから。
むしろ怯えを感じ取った。怖がってる……僕が怖がらせてる?
刃を突きつけたまま「名前は?」って聞いた。
「ラムダ……
ガーナックΛ(ラムダ)
」
もしかしなくてもマズい体勢だと急に気がつく。僕は慌てて刃をしまい立ち上がった。仰向けに倒れたままの彼女に手をさしのべたけど、彼女はは首を振って自分で立った。
「じゃあ、ラムでいいだろ」
「ラム……?」
「呼び名」
「……なんでもいい」
その後だんだんわかってきたことがある。ガーナックと言っても素体は人間だ。ラムはシザクラに造られる前、実の父親から性的虐待を受けてたようだ。それも長く。トラウマを、うまくY.E.S.S.I.R.に支配されてたんだ。シザクラというサディストは、彼女の記憶の大半を消しておきながら、その部分だけ意図的に残していたのだ。まったく、シザクラのヤツはマジ万死に値するよな!
「もう大丈夫」僕はラムを解放することにした。「どこにでも、好きなところに行っていいから」
僕はまもなく核燃料基地を発見しレジスタンスに報告、その後の総攻撃で基地を奪って、一時的な拠点にすることができた。
──まあ、その後また奪い返されちゃうんだけど。
ラムは立ち去らなかった。そればかりか、僕にずっとついてきて、潜入任務の多い僕の道連れになった。そればかりか勝手に七枷を名乗り、周囲には
七枷 ラム
って呼ばせるようになった。
ラムは気弱で、男性恐怖症だ。男と話すときは尻込みするし、たとえ僕であっても不用意に距離でも詰めようものなら、「ひっ!」ってパニックになる。そのたび僕は四苦八苦だ。あるとき、コーヒーカップを手渡そうとしたとき指がふれてしまって、「触らないで! 怖い!」と声を上げられたのはさすがにへこんだ。でも彼女の生い立ちを考えれば、それも仕方ないことだ。そのころには僕も慣れていて「そこは『キモい!』って言わないと。もしくは『キンモー!』」と茶化して場をなごませたものだ。
それから一年と数ヶ月、ラムは少しずつ変わった。何日も行動をともにして、星空の下で話すうち、笑うようになった。「……陣、変な人……」って。
そのうち、ラムは僕だけなら背中を合わせられるようになった。手が触れるくらいなら平気だ。滅多にないけどラムから触れてくることもある。いちいち、「……陣、怖くない……?」って聞かれるけどね。
十八歳のいま、思う。ラムは僕を無意識に理想の父親みたいに見てるフシがある。「僕、未婚なんですけど? せめて兄扱いでいいだろ」って言っても、ラムは「陣は、陣だから……」ってよくわからないことを言って微笑する。困った。
雪原で出会ったあの日から、ラムは大事な仲間、もっと言えば相棒になった。澄んだ黒い瞳がトラウマで曇らないよう、僕が守る。シザクラのやつをぶっ倒すまで、僕はラムとレジスタンスで戦う。もはやそのレジスタンスも壊滅寸前だけどな!
でも絶望するにはまだ早いじゃないか。絶望にいいところがあるとすればそれは、後からでもできるってことだ。
ってわけで、今日もそれなりに頑張るとしようか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
ゲーム
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年05月12日
参加申し込みの期限
2025年05月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年05月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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