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図書館は空いていた。自習室の隅に陣取ると、七瀬は自分のノートパソコンを開き、虹子も持っていたタブレットのロックを外す。剣吉は仕方なくペンを手にした。
「で、何からはじめる? 教育格差って何だっけ?」
剣吉が早くも弱音を吐くと、七瀬が冷静に説明した。
「たとえば、家庭の収入や生まれた地域で教育の質が変わること。データ見ると、都市部と地方で進学率に差があるとか、親の職業と子どもの最終学歴にあきらかな相関関係があるとか、そういう話です」
「ななっち詳しいね。そうそう、私、昨日読んだ論文に所得別の塾通い率のグラフあったよ。ケンケン、それ見てみる?」
「ヘイヘイ、虹子さん。俺にそんな難しいものが読めると思うかい?」なぜか偉そうに剣吉は言うのである。「俺は電化製品の説明書すら読まない男っちゃ」
「……読めなくても書くしかないの。ほら、まずテーマを決めよう」
虹子が剣吉の肩を叩き、七瀬がネットで資料を探す。三人は少しずつ、課題に着手しはじめた。
教育格差か。
七瀬は思う。
考えてみれば僕も、恵まれた側にいるのでしょうね。
世間で言う『親ガチャ』って言葉、正直好きじゃなかですが、半分くらいは当たってるって認めるほかない。世間相場からすれば安いほうらしいけど、寝子島高校も木天蓼大学も、親の経済力がなけりゃ無理やったろうし。
もちろん、ここに至るまで努力はしたつもりです。
とくに、大学入試の勉強はかなり身を入れた。ああして遊び回っているように見える剣吉だって、少なくとも受験勉強はきつい試練やったろうと思う。
努力したのは確かやけど、それだけで威張れるほど厚かましくはない。ましてや、入試に落ちた人、あるいは大学に行けなかった人を「努力が足りない」とか「怠け者」なんて見下すなんてことは、絶対、できません。
なぜって、スタートラインがずっと後ろだったり、そもそも立てんかったりする人がいるのは事実ですから。
大学最初の一年で得た学びがあるとすれば、この認識もそのひとつなんでしょう。
「教育格差ってさあ。要するに金持ちが得するって話だろ?」
剣吉の声で七瀬は我に返った。
「声が大きい。もっと控えめに」ささやくように虹子は言ってから、「ケンケン、雑すぎ」と一刀両断した。「地域とか親の教育意識も絡んでんだよ。ほら、このグラフ見てみな」とタブレットを突きつける。
「うぅ、数字がいっぱい並んでると目がチカチカするっちゃ……」
ふざけながらも、剣吉はタブレットに表示された情報を読んでいる。
「なんとなくわかったし、このデータ引用元にするかなぁ。でも、レポートってどうはじめたらいい? ななっち助けて~」
やれやれ、とため息をついて七瀬はパソコンを渡した。
「なら簡単なとこから始めましょう。まずイントロで『教育格差とは何か』を百文字くらいで書く。それなら剣吉でも書けるでしょ」
「ななっち、俺をバカ扱いしてるっちゃね?」
「事実を言っただけです」
虹子がクスクス笑いながら言う。
「ケンケン、頑張れ。イントロ書けたら私も一緒にデータ探すからさ」
剣吉は渋々キーボードに手を置き、うんうんうなりながら打ちはじめた。七瀬は隣で参考文献リストを整理しつつ、ときおり剣吉の画面を覗いて修正を提案する。虹子は論文から使える引用をメモして渡す。三人の役割分担が自然とできあがり、自習室にカタカタとキーボードの音が立った。
一時間ほど経つと、剣吉が突然立ち上がって叫んだ。
「できた! イントロできたっちゃ! 見てくれよ~!」
「しーっ! ここ、図書館ですよ」
七瀬は言いつつも、パソコンの画面をチェックした。たしかに、ある程度まとまったイントロができているようだ。
「『教育格差とは、家庭や地域による教育のちがいで、子どもの未来に影響する問題である。自分も大学に来れたのは運がよかっただけかと思う』……って、ケンケン、これ自己紹介?」
稚拙な文章に虹子は笑いを隠せないが、剣吉は胸を張った。
「いいだろ? 俺らしさが大事っちゃ」
とにもかくにもベースができたわけで、三人は共同作業でレポートを進めていった。剣吉が「塾って高いんだな」とつぶやいたり、虹子が「地方の学校、予算少なすぎでしょ」と驚いたりしながら、三千字のゴールに向かって突き進んだのである。
夕方近く、ようやく剣吉が「できたー!」と叫び、七瀬と虹子がチェックを終えた。
「うん、引用も入ってるし、データも悪くない。ギリギリ合格点だよ、ケンケン」
「ななっち的にはどう?」
「剣吉にしては上出来です。単位落第の危機はまぬがれたんじゃないですかね」
「やったっちゃ! 俺、成長したぜ!」
「自分でそれ言う?」
七瀬は頬がわずかに緩むのを感じた。
図書館を出て、夕方のキャンパスから駅へ向かう。剣吉は宣言した。
「じゃあ飯だメシ! よーしパパ奮発してファミレス連れてってやるぞ、と」
「奮発、ってファミレスじゃない」
虹子が呆れた声を出すが、
「でもロイヤルキャットっちゃ」
と言うのを聞いて「ロイキャ? ならOK」と即答した。
日が沈みつつある。この季節、陽が落ちるとやはりまだ肌寒い。なんとなく、三人は身を寄せ合うような格好となった。
「なぁ、今日さ」
ぽつりと剣吉が言った。これまでになく神妙な声で。
「助けてくれてありがとな。やっぱ友達って大事っちゃね」
「留年されたら面倒なだけです」
「ななっち、素直じゃないね!」
虹子が笑い、剣吉が「でもそれがななっちなんだ~、惚れる~」となんだか嬉しそうに返す。
はしゃぐ剣吉に笑う虹子を眺め、クールな顔のまま、七瀬は小さく口元をほころばせた。
教育格差も友情も、結局は運と縁の話かもしれませんね。僕は……その両方に恵まれていると、思っていいでしょうか。
今日みたいに、誰かと一緒に何かを乗り越えるのも悪くないです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年03月24日
参加申し込みの期限
2025年03月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年03月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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