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萌とユウはねこでんに揺られて島外に出た。
駅構内を歩きながらユウは腕時計に目をやる。
「次、新横浜から乗り換えな。ちっと距離あるけどあとは電車一本だから」
大きな駅ゆえ平日の昼間でもなかなかの混雑ぶりだ。頭上の電光掲示板はせわしなく表示を入れ替え、ビジネスリュックの会社員風、スーツケースを転がす旅行者一行、小学生の集団まで、早回しの動画のようにパタパタと行き交っている。
人の波に乗りながらきびきび歩くユウに比べ、萌の歩き方はどこかぎこちなかった。右足と右腕が一緒に出たり、一歩分進むのに小刻みに二歩かかったり。まるで初めて靴を履いた子猫のようだ。
「……本当に、ボクも行っていいんだよね?」
よほど予想外だったのか、ユウは鳩が豆鉄砲を食ったような反応を見せた。
「へ?」
「蒲田さんのお見舞い」
「どした鬼河内? 急に深刻な顔して何言うかな、驚き桃の木ドルバッキーだぜオイ」
ドルバッキーって、と一応ツッコミつつ萌はうつむいた。
「ボク、そんなキテレツなこと言った?」
「ていうか、蒲田の見舞い行きたい、会ってみたい、って言い出したの鬼河内じゃね?」
「いや、そうだったけどさ」
電池が切れたように萌は立ち止まる。ユウも足を止めた。
「ちょっと緊張してきた、っていうか。ボク、ALSの人に会うのってはじめてだし。失礼な対応しないか気になってきて」
「なんだそんなことか」にししっ、と歯を見せてユウは笑った。「意識しすぎだって。蒲田はな、ごく平然と対応されるほうがむしろ物足りなく思うようなヤツだ。ガチガチに緊張してたって、気の利いたこと言おうとしてスベったってウケるから」
「そんなこと言われると逆に困っちゃうよぅ~」
そう。
これから萌は、蒲田 穂奈実(かまた・ほなみ)と会うのだ。
ユウくんの中学時代を知る友達……。
卒業前、ユウが口にしたことがある。「俺、寝子高に入ってなかったら、ぼっちな高校生活だったろーな」と。
何気ない会話のなかでぽろりと出てだけの一言だったが、きっと本音だと萌は直感した。
裏返せばつまり、かつてのユウはそうだったということかもしれない。
ユウが自分の中学時代について話すことは少ない。滅多にないと言っていい。それでも断片的な情報から伝わってくるのは彼が、クラスではかなり浮いた存在だったということだ。もちろんユウのことだから悪気があったわけではなかろうし、それどころかサービス精神の発露として仕掛けたはずのイタズラやら『ネタ』やらの数々が、穏やかに、あるいは平々凡々に生きる級友たちにとっては、空気を読めない迷惑行為として映ったものと思われる。なのではっきりそうとは言われずともユウは、ヤバいヤツとして敬して遠ざけられていたのではなかろうか。
決まった枠からはみ出さない、周囲の『テンション』になんとなく同調して、目立ちすぎず無難にやっていく――大抵の日本人が生得的に持っている能力なのだろう。でもすべての人がこの能力を有するわけではない。有するはずがない。考えてみれば寝子高いやさ寝子島は、そんなはみ出し者に寛容だ。寛容どころか「その調子!」と奨励している風すらある。だからといって当然、無難にやっている人に厳しいわけでもないわけで、要は包容力のある空間だということだ。
……ボクだって。
寝子島でなければ、受け入れられない個性だったかもと萌は思ったりもするのである。まだ拠点は寝子島のままだが、高校生が終わって視界が広くなって、余計にそう思えるのかもしれない。
それはさておき、蒲田穂奈実のことを考えよう。
ユウ曰く『超変なヤツ』だという。きっと穂奈実もユウ同様、クラスから浮きまくっていたのだろう。のけ者同士の寄り合いと腐す手合いもあるかもしれないが、きっとそれだけではないはずだ。彼女はユウのノリに合わせていたのではなく、奇跡的かもしれないがユウとぴったり波長が合っていたのだと思う。少なくとも、ユウの言葉からはそう思えた。一度となくユウは彼女を『天才』と称した。ユウの辞書において、『変なヤツ』と『天才』はほぼ同一で最高の褒め言葉だ。
萌は彼女が、ユウのガールフレンド(a.k.a.『カノジョ』)だと思っていた時期がある。
だって多感な中学生、しかも男女なんだよ、単なる友情じゃないはず――。
しかしユウはこれを即座に否定した。「そーいうのじゃねえって」と軽く。
でもさー。
ユウと穂奈実を阻んだものは、穂奈実の身に降りかかった病だったのではないかと萌は思ったりもするのだ。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋肉が衰弱していくという難病で穂奈実はほぼ寝たきりらしい。移動は車椅子、会話にも不自由すると聞いた。
穂奈実の病気がなかったら、ユウと彼女は結ばれていたかもしれない。それを思うと萌は、ダメだと思っても嫉妬に身を焼かれてしまうのだ。
なんかフクザツな心境。
ともかく、会うだけは会ってみよう。
「ちょっと電話しとくか。蒲田に」
気がつくとユウがスマートフォンを取り出している。
「あいつ、電話番号変えたんだよな。えーと……」
などと言うユウの手にはメモがあった。
「ちょ! おま!」
「何が『おま』なん?」
「いや、どうして電話するのかなー、って」
「今から行くぜ、って連絡するだけだって。あ、かかったかかった」
萌は肝を冷やした。いきなり電話でご対面!? まだ心の準備が――。
とかなんとか思っている間に、ユウはもう通話を始めていた。
「あー、オレオレ」
なんて気軽に言っていたはずが、「え!?」とユウは一瞬驚いた顔になったものの、「オメーそれボイスチェンジャーでも使ってんのか? スゲーアニメ声」と今度はゲラゲラ笑い出した。
「なーにがマミちゃんだよ、オメーがマミちゃんだったら俺は高畑(コウハタ)さんだっつーの」
電話で話すユウはとても楽しそうだ。萌は唖然とするほかなかった。回線のむこうの穂奈実はどんなレスポンスをしているのだろうか。
「……そりゃあもうドキドキだったわけさ、『サイキッカー魔美子』には。ゴールデンタイムのアニメで、全裸のお姉さんがテレポーテーションだぜ!? 子どもには刺激が強すぎるって! おっ、そのモノマネそっくりだ! ……それ訊く? 俺のベストエピソードはー……」
すごい。
丁々発止だ。
萌は自分だけ、港も砂浜もない孤島になった気がした。
「あの」
このままじゃいけない。おそるおそる切り出す。
「ボクも、話していい?」
「おう」
あっさりとユウはスマホを渡してくれた。
「えっと、ボク……」
『女の子もいる!?』ところが電話の向こうの声は、萌の登場に仰天している様子だった。『な~に? まみちゃんにご用?』
「いえあのー、今日、お見舞いに行く……」
『お見舞い? なんで? っていうか』
ここで電話相手の声が急に変わった。声色だけではない。口調、雰囲気、そのすべてがだ。
『もしかして、これまちがい電話じゃないの』
「ええっ!? 蒲田さんだとばかり!?」
『誰それ? おかしいとは思ってたよ、なんだか話がかみ合わないし』
「し、失礼しましたっ!」
電話が切れる。
「お、どしたどした?」
目を丸くするユウの手から萌はメモをひったくる。
「てっいうかユウくん! 番号! ちがう!」
数字の『8』と『6』をユウがまちがえていたと判明した。ご丁寧にも全部誤認していたのだ。
直後、萌の「ちょめっ☆」(デコピン)が飛んだことは言うまでもない。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年02月18日
参加申し込みの期限
2025年02月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年02月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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