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過ぎ去りし想い
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「九鬼姫さんっ!?」
ラッセルは反射的に立ち、九鬼姫を助け起そうとした。
だが一清は身じろぎひとつしない。
「やめよ」九鬼姫は力なく笑った。「無駄じゃ」
ラッセルの手は、九鬼姫の体をすり抜けるばかりだ。
九鬼姫はラッセルではなく、一清に顔を向けている。
「今日、新たに友になった者との会話で思いついた……よき出会いであったぞ」
のう、と九鬼姫は視線をすべらせてラッセルを見あげた。
「ラッセルよ、晴月をよう御してくれた。あれは誰かの支えがなければ、導手の役割を果たすべく、自分から瀕死の者を生み出そうとしたじゃろう、それも大量にな。嵐をおこし街を水没させたやもしれん……あやつには、それくらいの秘められた力があった」
晴月が、そんなことを。そんなことができる力があった……!?
ラッセルとしてはにわかに信じがたい話だ。
しかし事実なのだろう。見立てがまちがっていれば一清が指摘するはずだ。だが一清は黙して九鬼姫を見ている。
「ゆえにわらわは礼をしたい」九鬼姫は言った。「ラッセル……わらわの暮らした街を、寝子島の皆を救ってくれたそちに――」
「わかった」
このときついに、一清が口を開いたのである。一清は九鬼姫に歩み寄り、彼女の目の高さまで屈みこんで告げた。
「九鬼姫。そなたの犠牲は、受け入れられよう」
……!
九鬼姫のいる場所から突如、凄まじい光があふれた。
たまらずラッセルは目を閉じる。だが瞼の裏ですら、赤と白の光が爆ぜていた。
熱いわけではない。ただ、圧倒的だった。
体が浮いたような錯覚に襲われ、聴覚すら曖昧になる。
これは、何だ!?
強烈な光はやがて薄れ、ラッセルはおそるおそる目を開けた。
ラッセルは気づいた。
涼やかな風が吹き抜ける草原に、独(ひと)り立っていることを。
風にそよぐ緑の海が、どこまでも広がっている。
足元にはやわらかな草が茂り、陽の光を受けて淡く輝いていた。遠くで鳥が鳴く。
頬にふれる風は、夏の終わりを思わせる心地よさだ。
ここには重苦しさも恐れもない。ただ、澄みきった空が、青く青く広がっていた。
いい風だ。
すがすがしい。
――晴月。
俺は、本当に風が好きだよ。
でも、それ以上に。
本当に好きなのは『目の前の女の子』なんだよな。これまで散々、「風が好き」て言ってたから説得力ねーかもだけどさ。
本当は晴月という名前でなくても、空を飛べなくても、人でなくても――。
風が頬をくすぐる。ラッセルの髪が吹き上がるほど強く。だけども、優しく。
なんだろう。見えないのに晴月を感じる。気配を。レモングラスの香を。
なあ。
ラッセルは風に話しかけた。
はじめて会ったときのこと、覚えてるか? 逆お姫様抱っこ情けなかったよな。
覚えてるか。
ハロウィンでの苦い思い出を、紙飛行機や、手をつないで浜辺で約束した日のことを。
両想いになれてキスした日を。
全部、隣にいてくれたのは晴月だ
俺の隣にいてほしい。
いつまでも笑って泣いて感じて歩いていきたいから。
「うん」
もう驚かない。
いつの間にか、ラッセルの目の前には晴月がいた。
「覚えてるよ。ぜんぶ。それ以外の思い出も、いーっぱい」
「ははは」
泣きたいくらい嬉しいのに、ラッセルは笑った。
晴月に両腕をのばす。
晴月が手をとる。晴月も笑顔だ。
ふたりは、左右の手で握りあった。
「思い出、これからも作ろうぜ。それこそ、いーっぱい、な」
「いいね! そうしたい!」
「九夜山に登頂して日の出眺めたり、犬を飼ってみたり」
「ご馳走食べたり!」
「そうだな。あと、寝子島の外もたくさん見せてやりたいものがあるんだ」
「でもねラッセル、私の一番の望みは……聞いてくれる?」
「おう、言ってくれ」
「後悔しない人生!」
「それ俺と一緒だ!」
「うん、
前にラッセルが言ったこと
だもん。言うまでもないけど、私の後悔しない人生っていうのは、ラッセルと一緒の人生だからね」
「はは、それってもしかして、け、結婚とか、家族になるとか」
「やだラッセルったら急に、恥ずかしいよぅ。みんなの見てる前で」
「みんな?」
ラッセルの足元が、硬い床板に変わった。
気がつけばラッセルは山寺のお堂で、晴月と向き合い手を取り合っていたのだ。戸が開け放たれているせいで、ずいぶん明るくなってはいたが、同じ場所だ。
「いやあ、見てるこっちまで熱くなってきたねぇ」
ウォルター・B
がニヤニヤしている。
どこか超然としたところのあるウォルター先生が、あーいう表情を見せるのはめずらし……じゃなくて、なんでウォルター先生いるんだよ!?
ウォルターばかりではなかった。彼の横には柚春もいて、頬を紅くしている。ふたりから少し離れたところに立っている一清が、この状況が夢ではないことを証明していた。
「ワットが車で連れてきてくれたんだよ」柚春が言う。「いちかばちか、一清さんの山寺に行ってみよう、って」
「路駐ならぬ山道駐車になっちゃったけどねぇ。レッカーされなけりゃいいけど」
「こんなとこまでレッカー車は来ないよー」
楽しげな会話をする柚春とウォルターを見るに、危機的状況は終わったのだとわかる。
「でも……」
ラッセルはここにもうひとり、いるべき人間の姿を探した。
「九鬼姫さんは」
まだおるわえ――という声が聞えたのでラッセルはにわかにキョロキョロとした。
「クキヒメさんて?」
柚春が首をかしげる。
「ああ、いや、それは」
わらわには不要なものを、晴月に与えただけのことよ――。
姿の見えない九鬼姫が言う。ただその声は、ラッセルにしか届いていないようだった。
名じゃ。『八幡かなえ』。戸籍もあるぞ。うまいこと移せたらしい。これから晴月は、八幡かなえが書類上の名前じゃ。名前が、晴月をこの世につなぎめる碇になったようじゃわえ。
そうそう、と笑いをこらえるように九鬼姫はつけ加えたのである。
『八幡かなえ』は二十三歳じゃから、そちよりいくぶん歳上になってしもうたがのう……。
逆に自分は身が軽くなったのだろうか。九鬼姫の声にはいくらかの張りが戻っていた。
ただ、ほどなくしてふっと消えてしまい、あとは気配すら感じられなくなってしまったが。
――『過ぎ去りし想い』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
お読みいただきありがとうございました。
桂木京介です。
端っこも端っこながらクリエイターの一人として、それはどうなんだという気もしますが、私は寝子島から神魂が消滅という展開になることはまったく知らず、それどころか予想すらしていなかったというていたらくだったので、最終ホワイトシナリオの結果を知って仰天しました。もちろんこの結末は高く評価しています。
でも神魂がなくなってしまうと、あれやこれやはどうなるの? と疑問が出てきたのも事実です。そこから出てきたのが本作のシナリオガイドでした。
やるべきかどうかはかなり迷いました。でも思いついた以上はどうしても書きたくてこうなりました。
いつも通り結末はまったく決めていませんでした。救いのない終わり方にはしたくなかったのですが、皆様のアクション次第なのが『らっかみ!』なのですから、そうなったらそうなったで受け入れるつもりで覚悟を決めておりました。
結末はご覧の通りです。
短く出てくる草原は、わずかに残った神魂(ほぼ消えただけで完全消滅ゼロになったわけではないので)のもたらしたものと私は解釈していますが、これが正解と断じているわけではありません。読んだ皆様の解釈にお任せします。
今回も本当に、すべての皆様のアクションに感謝しております。ガイドのつづきっぽい話ばかりしてしまいましたが、登場PC様すべてが主役のつもりで書いています。あの映画はもちろん劇場に行きました。二回!(もっと行くかもw)
それではまた、新たなシナリオで会いましょう!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年02月18日
参加申し込みの期限
2025年02月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年02月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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