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台に乗って背伸びして、高い位置の箱を手にした。
よし、あった。
稲積 柚春
は箱を開けた。とっておきのアロマをしまっている箱だ。普段づかいのものではなく、ちょっとばかり値の張るものばかりここに収納している。必要なものは全部そろっていた。
箱の中から丁寧に小瓶を取り出し、ほのかに漂う香りに目を細めた。
手にした最初の瓶は、深みのあるラベンダーの精油だった。フランスはプロヴァンス地方で採れた最高級のものだ。蓋を開けると、甘く穏やかな香りがふわりと広がる。柚春はほんの少し指先に垂らして、紫がかった液体を愛おしそうに撫でた。
次に取り出したのはサンダルウッドの小瓶、インド産の古木から抽出した貴重なオイルで、ウッディな香りがする。深く落ち着くためには欠かせないだろう。瓶のガラス越しに琥珀色の輝きがゆれ、柚春は小さくうなずいた。
ローズオットーの小瓶も手に取った。ブルガリアのダマスクローズから蒸留されたこの精油は、ほんの数滴で部屋中を優雅に満たすほどの濃厚なフローラル香を持つ。貴重な小瓶は柚春の手の中で、まるで宝石のようにきらめいた。
最後に柚春が選んだのはフランキンセンスの瓶だ。オマーン産の乳香樹の樹脂から作られたこのオイルの特徴は神秘的なレジン香、精神を高揚させると言われている。蓋を開けるだけで古代の祭壇に捧げられた香りの記憶が蘇るようで、柚春の胸がわずかに熱くなった。
こんな感じかな。
柚春は小さなガラス製のビーカーに、まずバスオイルベースを注ぐ、つづいて用意した小瓶を順に取り、エッセンシャルオイルを慎重に混ぜ合わせた。ラベンダーを数滴注ぎ、その半分の分量のサンダルウッドを加える。ローズオットーはごくわずかにとどめた。主張が強くなりすぎるからだ。フランキンセンスも同様に少量とした。
混ざり合う香りは、最初はそれぞれが個性を主張するように混沌としていたが、柚春が優しくビーカーをかたむけ静かに揺らすうちに調和が始まった。ラベンダーの穏やかさが土台となり、サンダルウッドの深みがそれを支え、ローズオットーの華やかさが花開くと、フランキンセンスがすべてを神聖に包み込む。
柚春は目を閉じ、香りを鼻先で観賞した。ただの芳香ではない。疲れた心を癒し、寄り添うためもたらされた地球からの贈り物なのだ。ディフューザーにセットして電源を入れると、細かな霧が静かに立ちのぼり、まもなく部屋中にひろがった。
壁に背をあずけ、しばしまどろむ。
春休みの一日、このときなぜ、ちょっと贅沢な芳香浴をしたくなったのかはわからない。でもいいではないか。こんな休みのすごしかたもあっていいと思う。
体の力が抜けていく。するとなんだかお腹が空いてきた。
オリジナルブレンドの紅茶、淹れようかな。
ドライフルーツたっぷりの焼き菓子、まだあったよね。
なんて思ったり、でも行動に移せなかったり。
しかしこのとき、柚春の心の中には小さな波が立っていた。
逆に、波を感じていたからこそ芳香浴を思いついたのかもしれない。
回想する。
ようやく、波紋の原因に思い至った。
この前、先輩と晴月さんの引っ越し、手伝ったけど。
憧れの同棲生活、柚春にはまだ手の届かない夢をラッセルと晴月は実現した。このときの引っ越し作業に、ウォルター・Bと柚春も参加したのだ。といっても晴月にはほとんど荷物はなく、ラッセルも寮から出ただけなので運ぶものは少なかった。ウォルターが車を出してくれたが、ほんの二往復で事足りたほどである。
ふたりは幸せいっぱいだろうと柚春は思っていた。実際、ラッセルはちょっとはしゃいでいるように見えた。
でも晴月さんは――。
笑ってはいた。でも柚春の目には彼女が、無理に笑っていたように見えた。
あのとき晴月が何度か「嬉しいね」「楽しいな」といったたぐいの言葉を口にしていたのも気になった。本当にそう感じているなら、わざわざ口に出さなくてもいいはずなのに。
言葉を選ばずに言えば、疲れているようにも見えた。
マリッジブルー、なのかな?
考えてみれば、晴月が迎えるものは実際に結婚とまではいかなくとも、限りなくそれに近い。つまり生活環境の急変だ。
わかるような気がする。柚春にも似た経験があったから。柚春の場合は同棲ではなく独り暮らしではあったが、開始の直前には緊張したことはまちがいなかった。
晴月さん、落ち着いていたらいいけど。
近々訪問させてもらおうかな、新居に。
様子見という意味合いもあるけれど、けっして唐突な申し出ではないはずだ。
心配が杞憂に終わっていればいい、くらいの気持ちで柚春はスマホを手にした。
晴月の連絡先は知らない。彼女はスマホを持っていないという。
なので柚春はラッセルに連絡を入れた。
驚いた。
『
稲積! 丁度良かった!
』
ラッセルの声色が平静ではなかったから。あきらかに取り乱していた。
自分も電話するところだったとラッセルは言う。
『晴月が……晴月がいなくなったんだ! 書き置きを残して出てった!』
ラッセルの口調には必死の想いがにじんでいる。涙声にすら聞えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年02月18日
参加申し込みの期限
2025年02月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年02月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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