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少女は風の精
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潮の匂いが胸を満たす。
冬の砂浜に降り立った。
といっても、晴月と手をつないでいるあいだは砂から数センチ浮いている状態である。『着陸』したとはいえない。
晴月の手が離れたとたん、ラッセルはのしかかる重力と寒気を感じた。
ざりっと砂音がたつ。よろめいて両膝をつきそうになったがなんとかこらえた。
たしかに不憫、もとい不便だな。人間の体ってのは。
それにしても――ラッセルはコートの襟、あわせ目をかきよせた。
寒ううう、浜辺って海風があるから厳しさもひとしおだな!
歯の根が合わない。本当は泣き言のひとつでも言いたいところだ。しかし晴月が悲しむかと思い顔にすら出さないようにする。
「どうして浜辺に?」
露骨にならない程度に腕をさすりつつラッセルは言った。
「昨日、映画観て」晴月は波打ち際を見つめている。
「映画?」
「昔のフランス映画。なんかね、男のひとと女のひとが意味不明な旅に出て、海辺にたどり着くの。もうめっちゃくちゃな話なんだけどセリフがしゃれてるんだ。『見つかった』『何が?』『永遠が』『海に溶けゆく太陽が』なんてこと言ったりして。意味なんかぜんぜんわかんないんだけどね」
アハハと笑った晴月だったが、ふいに笑顔が消えた。打ち寄せる波に目を細める。
「……でもね私、私もあの映画の一部になりたいな、って思った」
うっとりしているような、悲しんでいるような、あるいは、何かを思い出そうとしているような――何通りにでも解釈できそうな眼だった。
どうしてそんな目をするんだ、晴月。
「冬の海を描いた場面なのか」
「ううん、真夏っ」
「そりゃだいぶちがうぞ」
「かもね」
たちまち晴月は普段の表情に復す。
その映画の話はまた夏にしようぜ、とラッセルは苦笑して言った。
「どこでそんな映画観てるんだ」
「旧市街の名画座ってとこ。なんか古い映画を二本立てとか三本立てでやってる」
「料金払ってるか?」
えっへへへと晴月は頭をかいた。「タダ観! 映写機の裏の窓のとこからさぁ、すぅーって入って」
「そりゃいかんだろう」
「映画館の料金って『一般』と『学生』と『シニア』はあるけど『精霊』はないもん」
あとどうせ、と晴月は言った。
「あの名画座の人、私のこと見える人いないみたいだし」
晴月はぽつりと告げただけだが、ラッセルにとっては重要な情報だ。
やっぱりか。
晴月のことが見える人もいれば、見えない人もいるって、ことだよな。
霊感? みたいなものが必要なのだろうか。晴月を見るには。って、晴月は幽霊じゃないけど――。
「映画ばっかりじゃないよ」ラッセルの思いをよそに晴月は言うのだ。「人間のこと学ぶの、映画だけじゃ知識がかたよるよって言われたからね。前にね、島で知り合った最初の友達にね」
「そうか……。え、最初の友達?」
「うん。大切な友達。夏前から会えてないけど」詳しいことを明かすことなく晴月はつづける。「だから私、図書館で本も読んだりするよ」
「なるほど。おう、読書はいいよな」
「ラッセル、マッチ持ってる? ライターとか」
「マッチかライター?」あまりに話が飛躍したのでラッセルは目を白黒させるばかりだ。「なんに使うんだ?」
「たき火する。それでね、私言うんだ。『その火を飛び越して来い!』」
ラッセルはいくらか合点がいった。古典的文学作品に、そんな話があったような気がする。どうやら晴月はその小説のまねがしたいらしい。
「ははは、さすがに今は持ってないからできないけど、今度までに用意しとこーか。たき火をジャンプするくらいで晴月が喜ぶんならいくらでもやってやるよ」
「火を飛び越した男の子と、待っていた女の子は、そのまま裸で抱き合うの」
「
さっきの俺の発言なしな!
」大慌てでラッセルは両手を振った。
「なんでー?」晴月は口をとがらせる。
「なんででも!」
きっといま俺、赤面してる……。
たしかに晴月の言うとおりの展開だった気がする。昔の文学作品、恐るべしだなとラッセルは思った。
「あっ」
晴月の行動は本当に予測不能だ。今度は、声をあげて岩場を指した。駆けていってしゃがむ。
「ラッセル見て!」
小さなカニが晴月の目の前にいるのだった。
黒っぽい岩場、月面みたいにゴツゴツした磯だまりをカニは無言で横切っていく。晴月の声に動じる様子はなく、ラッセルが近づいても、とりたてて足を急がせることはない。カリカリと音を立て歩むだけだ。
「おっ、可愛いな」
「だね。カニにも人生ってあるのかな?」
「こいつの場合は人生ならぬカニ生(せい)だな。きっと、子孫繁栄のため頑張って生きてるんだ」
「メスに言われて火を飛び越したりもする?」
「かもな。って、こっちがメスかもしれねーけどさ」
岩のおかげかこの場所は、いくらか寒さがましな気がする。ラッセルは言った。
「小さくても偉大だよな。ずーっとこうやって生命のサイクルをまわしつづけててきたんだから」
まるでその言葉が合図だったかのように、カニはすっと岩陰に入って姿を消した。
「でも、いつか死んじゃうよ」
晴月はうつむいた。
「なに、たとえ道なかばで倒れても子がいるさ。尽きた命は他の命を育むんだ。俺らも同じかもな、まわりまわって俺らも生きてるから――って、語りすぎたか、俺」
そよ風のような笑みを晴月は見せた。
「ううん。語りすぎとは思わないけど、なんとも大きな話だね、とは思ったよ」
「そりゃあ、あれだ、物語好きのサガだって!」
照れ隠しにラッセルは頬をかく。だがまた真面目な顔で言うのである。
「いつか死んじゃう……それは、俺たちだって同じだ。でも俺は、俺は後悔しない人生にしたいな。後悔ばかりして自分が嫌いになりそうだったことがあるから。俺を見てくれた人に応えたい、誇れる俺になったら『いい人生だった』って言えると思うんだ」
「ラッセル、死んじゃうの?」
「いますぐじゃねーよ、もちろん。願わくば、百年くらい先だったらいいなあ。ま、実際は七十年くらいだろうけど」
「遠い先だね。でもそのとき」
「うん?」
「私、ラッセルのこと迎えに来るよ」
晴月は空に浮き上がった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年11月05日
参加申し込みの期限
2023年11月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年11月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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