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過ぎ去りし想い
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一清は痩せており小柄だ。当然ラッセルより背丈は低い。だがラッセルは一清を前にして、そびえ立つ宝塔を前にしているような圧を感じた。
僧の肉体から読み取れるのは弱々しさではなく、万億の試練を経た巨岩のごとき硬質さだった。
剃髪された頭は年輪を刻んだように皺が深く、白い顎髭は風にそよぐ枯れ草のように長い。
されど、もっとも印象的なのはその眼だろう。
深く沈んだ双眸は嵐の前の海のように静かで、そして鋭い。一清の眼差しに射抜かれると、無意識に背筋が伸びる。自分の浅はかさや焦りが、まるで見透かされているかのような気がした。
彼の袈裟は、かつては濃い黒色だったのだろう。しかし色褪せ、端はすり切れ、繕ったあとが無数にあった。布地は長年の風雪にさらされてかさつき、ところどころ薄くなってもいる。それでも、袖や裾の綻びを直した部分には、一針一針にこめられた意思が感じられた。
それは単なる衣服ではなかった。修行の年月をまとい、数えきれぬ死を目にし、信仰を刻みつづけてきた、一清そのものを映す衣なのだった。
畏敬の念に打たれラッセルは玄関口に両膝をついた。
「助けてくださいッ!」
絶叫するように頭を垂れる。
一清は黙って背を向けた。
老僧の意図をはかりかねラッセルは動けなかったが、
「そこは、話をするべき場所ではない」
声を聞いて飛び上がるように立ち、靴を脱いだ。
奥は本堂だった。
質素な古刹だけあって、堂内は薄暗い。だが板張りの床は丹念に磨かれており、鈍い光沢が室内の静けさと溶け合うようだった。磨きぬかれているのは柱も同様だ。節くれだち、黒く染まった柱に、年月の重みと風情を感じる。
板張りの床に一清は座し、ラッセルにもそうするよう目でうながした。
一清は胡座(あぐら)だがラッセルは正座だ。急な来訪を詫び、おずおずと名乗って用件を告げた。できるだけ順序よく述べたつもりだが、要点をおさえた説明になったか自信はない。
一清はほぼ沈黙していた。相槌すら最小限で、集中しているのか目を閉じて微動だにしなかった。なのでラッセルは、壁か岩を相手に話しつづけているような錯覚をおぼえた。初対面の相手ではあるが隠し事はしたくなかった。いや、隠そうともすぐに見破られてしまうと思った。だからラッセルは自分の『ろっこん!』、鳥に変身できる能力も失われたことも明かした。
一段落したところでようやく、
「あの導手(みちびきて)か」
おもむろに一清が目を開いた。
「はい。晴月は……消えかかっています。だから俺」
さえぎるように一清が言う。
「そなたはこれを何と解釈したか? 晴月が消えるということをどう理解した?」
「神魂の消滅が、もたらしたものだと」
認めるのは辛かったが、ラッセルは言った。
「俺が鳥になれなくなったように、晴月も、存在を失いつつあるのだと思います」
ならば、と一清は説いた。
「それが運命(さだめ)ということだ。そなたは、咲いた花が散るのを惜しみ、落ちる前に枝へ縫い止めようとするのか」
ラッセルは一清のことを『おっかない人物』と想像していた。だから怒号や非難も覚悟していた。
ところがだ。実際に目の前にした一清は激しい口調を使わない。大声すら出さない。
むしろそのほうが、数倍恐ろしいとラッセルは知ったのである。
一清の言には悲しみも怒りもない。ただ厳然と、不可避の理を告げるのみだ。
けれど不可避だなんて、ラッセルはどうしても認めたくなかった。
「い、いつか別れが訪れるとしても、まだその時期じゃない!」
「運命とは、容易に変えられるものではない」
一清は声色を変えない。しかしその意味するものは、降る雪が頬を切るように冷たい。
「……そんなの、受け入れられない!」
心臓が早く鼓動しはじめる。ラッセルは窮地に立たされている自分を認めた。
だがラッセルは退(ひ)かない。
一清という人は、ただ問答を好む人ではない――直感している。
俺を試しているんだ。
だから逃げない。
逃げないぞ俺は!
しかしラッセルの覚悟を吹き飛ばすように一清は告げた。
「過去にもいた。そなたと同じように、定めに抗(あらが)おうとした者がな」
声は木霊のように堂内に響いた。
「だが、結果は変わらなかった」
押し寄せる波のように、現実がラッセルの足元を削り取ってゆく。
「それでも、もし……もし手があるとしたら……!」
喉の奥から絞り出した声が、あえなく宙にほどけた。
「そなたは、まことに晴月のために望んでいるのか」
一清が言い放ったからだ。
「あるいは、己が恐れているだけではないのか。桜井ラッセル」
僧は錫杖を使わなかった。片手を上げることすらなかった。
なのに言葉で、閑かな問いかけでラッセルを打ち据えた。
喉の奥がひりついた。何か言わなければと思った。だが、声にならない。
堂内は静寂につつまれる。まるで、言葉のない時間こそが答であるかのように。
気がつけば、手のひらに爪が食い込んでいた。
ラッセルは荒い息を吐いた。胸が苦しい。だが、目の前の僧から目をそらすわけにはいかなかった。
「……そう。俺は怖い」
言葉にした瞬間、こみあがるものを抑えきれなくなった。拳を膝に打ちつける。何度も。
「
怖いさ! 晴月を失うのが、怖くてたまらない!
でも、それだけじゃない!」
「ふたたび問う。そなたは、まことに晴月のために望んでいるのか」一清の目に光が宿った。「ただ己の恐れから逃れたくて、運命に背を向けているだけではないのか」
「晴月のためだ!」
知らず、ラッセルの頬を熱いものが頬を伝っていた。
「俺は晴月に……生きていてほしい!
たとえ、身代わりに俺がこの世から消えようとも。
そういうことなんでしょう、一清師! 運命に抗う以上、犠牲なく得られるものはないと」
一清は目を閉じ、静かに息を吐いた。世のすべての業を背負うように深く、長く。
やがて一清の目が開いた。
「たどり着いたか」
その声は、どこか遠くから響いてくるような気がした。
「ならばそなたに道を示そう。だが覚悟を決めよ。運命に抗う以上、しばしば重い犠牲が必要となる」
「犠牲なら」
ラッセルは飛び上がりそうになった。自分と一清しかいないはずの堂の暗がりから、かすかな声が漏れたからだ。
「……わらわに……任せよ……」
闇の奥から、ゆらぐ影がにじみ出てくる。九鬼姫だった。
その姿は危ういほどに薄れていた。半透明どころではない。輪郭はかすれ、まるで霧が形をとったかのように不確かだ。肢体は揺らぎ、いまにも崩れそうに明滅している。
そして、這っていた。
袖を引きずるようにしながら、まるで重たいものを背負っているかのように。
それでもなお、九鬼姫は前へと進もうとしていた。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年02月18日
参加申し込みの期限
2025年02月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年02月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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